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人材市場における労働法と独占禁止法の役割
─「人材と競争政策に関する検討会報告書」をふまえて
荒木尚志
芸能人やスポーツ選手の移籍問題をはじめ、人材市場規制に公正取引委員会が乗り出すかと、各種メディアで注目されていた公正取引委員会・競争政策研究センターの「人材と競争政策に関する検討会報告書」(座長:泉水文雄神戸大学教授。以下「報告書」という)が2018年2月15日に公表された。 もっとも、同報告書は、芸能界やスポーツ界等の特定の業界の人材取引問題に焦点を当てたものではなく、役務提供者たる人材をめぐる市場(人材市場)における人材獲得競争全般について、独占禁止法(以下「独禁法」という)の適用の基本的な考え方を、労働法との関係もふまえて、整理したものである。
指導と暴力の境目は?
スポーツにおけるパワハラ認定
関谷健太朗
近時、ハラスメントの問題は企業にとどまらず、スポーツにおいても問題となっており、特にパワーハラスメント(パワハラ)に対する社会的な注目が集まっている。たとえば、女子レスリングにおけるコーチや選手に対するパワハラ問題は大きく報道された。また、直近では、日本代表の選手が所属している女子アイスホッケークラブチームにおいて、男性コーチによるパワハラがあったとして、当該コーチと監督を含めた指導者全員が解任されるというニュースや、大学のアメリカンフットボール部の監督による選手へのパワハラ報道などがあった。
調査のポイント・手法を詳解
「働き方改革」後の労務デューデリジェンス
林 和宏
M&Aにおいて、意図した買収効果を実現し、予期せぬ損失を避けるためには、デューデリジェンス(以下「DD」という)によって、買収判断や事業運営を左右するリスクを調査することが不可欠である。また最近、「働き方改革」の機運が高まっており、今後の企業経営は、これに則ることが求められる。そこでM&Aを成功させるためには、「働き方改革」をふまえた労務DDを行う必要がある。
必修分野③ 労働法 冨田啓輔
まず、「労働法」という法律はない。労働基準法、労働契約法、労働安全衛生法、労働組合法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、職業安定法、労働者派遣法など、労働分野にかかわる法律を総称して、「労働法」という。
解散・総選挙で当初の予定より後ずれしているものの、政府は国会に「働き方改革」関連法案を提出する方針である。その柱は「労働時間規制の見直し」と、いわゆる「同一労働同一賃金」の導入である。これらは、首相官邸の強いリーダーシップの下、公労使の合意のうえで2017年3月に取りまとめられた。「働き方改革実行計画」を法的効力によって推進するためのものである。今回の動きについては、その内容・そこに至る経緯とともに、従来からみれば「異例」であった。労働時間規制の見直しの目玉である「罰則付き残業上限規制」は、長年その必要性が議論されながらも結論を得られなかった、正に「労働基準法70年の歴史の中で歴史的な大改革」(「働き方改革実行計画」より)である。
働き方改革は何を「改革」するのか
改正の全体像と対応ポイント
倉重公太朗
働き方改革関連法律案要綱(以下「働き方改革関連法案」という)は平成29年の194回臨時国会にて審議に入る予定であったが、周知の通り、解散により先送りとなった。その後の報道では、重要法案の提出は平成30年1月召集予定の第194回通常国会に先送りとのことである(本稿執筆の平成29年11月時点)。後述するように、働き方改革関連法案は労働時間の上限規制や脱時間給制度などが一体となっているが、野党は脱時間給制度を「残業代ゼロ法案」などと批判しており、法案審議に多くの時間を要するとみられるため、通常国会に先送りされるであろう。通常国会では、予算審議・予算関連法案が優先されるため、働き方改革関連法案は早くて平成30年4月、遅ければ5月の大型連休明けまで審議できないとの見方もあるようだ。当初の予定では、働き方改革関連法案の多くは平成31年4月の施行を目指していたが、成立時期によっては施行日が1年程度遅れる可能性はあろう。本稿では、働き方改革関連法案の全体像と注目すべきポイントを総論的に述べる。
時間外労働・長時間労働の是正 北岡大介
本稿では、平成29年9月に厚労省が取りまとめた「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」(以下「働き方改革関連法案」という)のうち、時間外労働・長時間労働の是正に係る改正労働基準法案要綱(以下「改正労基法案」という)の内容と実務上の課題・対応策等について解説する。
高度プロフェッショナル制度の導入と課題 岡田和樹
平成27年4月に国会に提出されたものの、労働組合や一部マスコミから「残業代ゼロ法案」と批判され、審議入りすらできないでいた「高度プロフェッショナル制度」がいよいよ実現しそうである。平成29年7月、政府と労働組合の全国組織である連合「日本労働組合総連合会」が、「年104日の休日の確保」などを条件に制度の導入に合意したと報じられたが、連合内の反対により正式合意にはいたらなかったものの、政府は、「合意内容」を盛り込んだ「働き方改革」関連法案を閣議決定し、国会に提出する予定である。平成29年10月の総選挙で与党が圧勝したこともあり、同法案の成立は必至とされている。いよいよ実施されることになる制度の内容と課題を検討する。
働き方改革関連法案では、いわゆる同一労働同一賃金に関する改正も予定されているが、「同一労働同一賃金」は単なるキャッチフレーズに過ぎない。言葉にとらわれず法改正の内容を着実に概観していきたい。