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企業法務総合 会社法 2024年8月号・特集1

内部統制システム構築義務と取締役の責任
――大和銀行株主代表訴訟事件
三笘 裕

大和銀行株主代表訴訟事件(大阪地判平12. 9.20判時1721号3頁)は,大和銀行の海外支店の行員による不正取引に関連して,取締役12名に最大7億7,500万ドルの損害賠償を命じた判決である。本判決は,内部統制システム構築義務を明示的に認めた点で先進的な判決であった一方で,その賠償額の巨額さからマスコミでも大きく取り上げられ,株主代表訴訟制度のあり方についての議論に大きな影響を与えた。

企業法務総合 M&A 2024年8月号・特集1

新・主要目的ルールの判断枠組みの展開
――ニッポン放送事件
松本真輔

ニッポン放送事件高裁決定が提示した新・主要目的ルールは,当初懸念されたよりもさまざまな要素を考慮しうる柔軟な判断枠組みとして機能し,実務家の創意工夫と裁判官の法創造を引き出すのに重要な役割を果たしたようにみえる。今後も,ガバナンス環境や買収実務の変化をふまえて柔軟に関係者の利害調整の役割を担うことを期待したい。

企業法務総合 M&A 2024年8月号・特集1

取締役会限りで導入・発動する対抗措置の有効性と限界
――日本技術開発事件
菊地 伸

本決定は,①ニッポン放送事件,②ブルドックソース事件と並び,今世紀初頭の敵対的買収勃興期を飾った決定である。有事に取締役会限りで導入・発動する対抗措置の有効性と限界を示したが,そこでの宿題に20年近い時を経て裁判所が答えを示し,なお示唆するところがある。

企業法務総合 会社法 2024年8月号・特集1

不祥事発覚後の公表の要否と役員責任
――ダスキン株主代表訴訟事件
太子堂厚子

ダスキン株主代表訴訟事件判決においては,違法な未認可添加物が混入した肉まんの販売の事実を事後的に知った取締役と監査役に対し,当該不正を「自ら積極的には公表しない」という方針を決定・容認したことを理由に,高額の損害賠償責任が認められた。 不祥事発覚後の公表の要否の判断が,役員に重大な個人責任を発生させうることを世に示すことで実務にインパクトを与えた裁判例であり,今もなおその教訓は大きい。

企業法務総合 民法・PL法等 2024年8月号・特集1

欠陥建物の設計・施工・工事監理による不法行為責任
――別府マンション事件
早川 学

本稿では同一の建築紛争における2件の最高裁判決を取り上げる。この2件の最高裁判決は,欠陥建築に係る民法の不法行為の特則(しかも,「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」として,安全性の欠如を要素とする点において製造物責任に類似する責任)を創設したかのようなインパクトのある判決であり,現在の建築紛争において,あたかも法律であるかのように責任存否の判断基準として機能している。

企業法務総合 消費者関連法 2024年8月号・特集1

無催告失効条項の消費者契約法10条該当性
――生命保険契約存在確認請求事件
髙山崇彦

本判例(最判平24. 3.16民集66巻5号2216頁)は,実務の適法性を追認したものであるため「法務実務は動い」ていない。しかし,本判例は,消費者契約法10条後段要件該当性の判断における考慮要素を明示していることから,生命保険契約のみならず,Bto Cの約款ビジネスに与えた影響は大きい。加えて,筆者は,上告審から保険会社の代理人の1人として本件に関与する機会を得たことから,本判例を取り上げることとした。

企業法務総合 税務 2024年8月号・特集1

伝家の宝刀による斬り捨て回避の指針
――ヤフー事件
島田邦雄・井村 旭

税務の判例は実務を変える。組織再編成に係る行為計算否認規定(法人税法132条の2)は,税務当局の「伝家の宝刀」と呼ばれるが,最判平成28年2月29日(ヤフー事件最判)は,同条の適用が争われた初めての事案である。同最判は,最高裁が,その判断方法を法解釈によって明らかにすることで,司法機関としての役割を果たしたという意味で画期的であり,現在の実務を作ったといえるが,企業には今なお「不確実性」が残されている。

企業法務総合 M&A 2024年8月号・特集1

2段階のキャッシュ・アウト取引における株式の「公正な価格」
――ジュピターテレコム事件
若林弘樹・菊地 諒

ジュピターテレコム事件最高裁決定は,全部取得条項付種類株式を用いた2段階のキャッシュ・アウト取引における株式の取得価格に関して,最高裁として初めて一般的な判断枠組みを示したものとして,その後の同種の価格決定裁判の実務に大きな影響を与えた。本決定後の裁判例の蓄積により,本決定の判断枠組みが求める手続の公正性の水準やこれを満たさない事案の帰結についても一定の方向性が示されているが,引き続きその動向を注視する必要がある。

企業法務総合 国際 2024年8月号・特集1

「環境対策は人権問題」企業に責任分担を求める新時代の判決
――Milieudefensie et al. v. Royal Dutch Shell plc.事件
中島 茂

オランダ,ハーグ地裁が環境団体の提訴を受けて2021年5月26日,シェル社に対して下した判決は,国連「ビジネスと人権に関する指導原則」が民法の注意義務に導入されるとしたうえで,気候変動対策の不備はオランダ居住者・ワッデン地域住民に対する人権侵害であり,不法行為を構成するとの判断のもと,同社に対しCO2の排出を2030年までに2019年対比で45%削減するように命ずるものであった。判決の基礎には気候変動対策は全世界で取り組むべき緊急課題であり,国,企業,国際社会がそれぞれ責任を分担し実行しなければ達成できないという強い危機感がある。企業にも相応の覚悟を持った取組みが求められる時代が始まった。

企業法務総合 コンプライアンス 2024年8月号・特集1

企業コンプライアンス・プログラムに対する示唆
――MHPS事件(日本版司法取引適用第1号案件)
結城大輔

本件は「日本版司法取引」の適用第1号案件であり,会社が検察の捜査に協力し,不起訴となる一方,関与していた役員らが起訴され,有罪になった事案として,"制度が本来予定していたかたちと異なる"などと話題になった。刑事事件判決ではあるが,企業コンプライアンス・プログラムに関する会社法上の内部統制システム構築義務と取締役の善管注意義務に関連して,実務の姿勢を切り替える潮目になった判決であるとの観点で取り上げる。