最新号

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2025年5月号

2025年3月21日発売号   1,800 円(税込)

特集1

実は今が始めどき!
「生成AI×法務」の知らない世界

特集2

法務部員が知っておきたい
「内部統制実務」最新アップデート

座談会

コーポレートガバナンスの現場から見る理想と課題(上)
~同意なき買収時代における価値創造経営の考え方~

特集1
実は今が始めどき!
「生成AI×法務」の知らない世界
「関心はある。でも使うのは難しい......」ChatGPTをはじめとする生成AIが普及した今,そう感じる方も多いでしょう。機密性の高い法務業務では活用しにくい面もありますが,実はAIは楽しく,役に立つツールです。
本特集では,そうした課題を乗り越え,法務がAIを使いこなすための方法をご紹介します。リサーチや契約書レビューなど,実務における活用シーンは多岐にわたりますが,効果的に使うにはコツがあるようです。明日からの仕事が変わる「生成AI×法務」の世界へ,一緒に飛び込みましょう!
企業法務総合 テクノロジー・AI

何から始める? 生成AIの法務活用
――準備のフレームワーク
金子晋輔

日々,進化するAIツールの波に「うまく乗れていない」と感じている人に向けて,2年間の試行錯誤から見えてきた,シンプルで実践的な活用術を紹介する。特に法務の現場では「AIはまだ使えない」と思われがちだが,プロンプトを気負わず,無料版から気軽に試し,コア業務以外から始めることで,確実に業務の幅を広げることができる。AIと賢く付き合うための具体的なノウハウと,活用時の不安を解消するヒントをお届けする。

企業法務総合 テクノロジー・AI

企業法務の業務改善につなげる
生成AIユースケース
三瀬 崇・谷澤和真・渋澤茉里・今岡実結子

IT企業の法務部門で1年以上にわたり,業務における生成AIの活用可能性を試行錯誤している筆者らが,さまざまなユースケースやその留意点等について,業務の質を向上させるために効果的な活用方法を中心に,実体験をふまえながら紹介する。

企業法務総合 情報法

生成AI利活用における個人情報・秘密情報取扱いの留意点
杉浦健二

企業が事業活動において保有する社内情報を生成AIに入力するにあたっては,法律(個人情報保護法,不正競争防止法等)と契約(秘密保持契約等)それぞれについて留意点がある。本稿では,企業が生成AIサービスを社内導入し,利用する場合の法的留意点,特に個人情報と機密情報,秘密情報を入力する場合について解説する。

企業法務総合

生成AIリサーチ活用術
――最大効果を引き出す5つのポイント
金子晋輔

AIを使って調べ物をしたり,文章を作ったりするのがまったく珍しくなくなったものの,仕事や勉強との関係では,まだ使いどころがよくわからない,という人も多いのではないだろうか。本稿では,今のAIツールの簡単な紹介をしつつ,AIの使いどころや,付き合い方について紹介する。

企業法務総合 国際 テクノロジー・AI

海外とのコミュニケーションを行うための生成AI利活用術
――プロンプト入力の実践Tips
加藤勇太

昨今,生成AIがちまたで空前のブームになっており,法務業界においても,生成AIに関連する話題は絶えない。しかしながら,「生成AIの電卓化」といわれるほど,その利用が広まっているかといわれると疑問符がつく。本稿では,生成AIの利用に伴う法的リスクや技術的制約をふまえたうえで,渉外案件に従事する法務パーソンが海外とのコミュニケーションを行う際に生成AIを利用するために使えるプロンプト例等を示すことで,その利用可能性について探っていきたい。

企業法務総合 テクノロジー・AI

メルカリLegalでのAI活用・開発
――問合せbot開発,ハッカソン成功のストーリー
菊池知彦・瀬谷絢子・落合由佳

生成AIの活用は法務分野の重要課題である。大規模リーガルテックの導入ではなく,現場主導の地道な取組みで挑むメルカリLegalの事例を紹介する。1つは,ナレッジ・マネジメントと業務効率化を組み合わせたAI問合せbotの開発。もう1つは,部門全体のAI活用スキル向上を図ったハッカソンである。AIによってメンバーの可能性をどう引き出し,法務サービス向上につなげているのか,その具体的な取組みを解説する。

企業法務総合 テクノロジー・AI

生成AIによる法務業界の大変革
――未来の弁護士・法務部員によるリーガルテックの利活用
西田燎平

生成AIの登場は,インターネットの普及以来の情報革命であり,法務業界は,今後最も影響を受ける業界であるといわれている。生成AI技術が組み込まれたリーガルテックサービス(以下「生成AIリーガルテック」という)の普及が,現在の法務の業務フローを大きく変更するにとどまらず,弁護士報酬体系の変更など業界に甚大な変化を生じさせることも予想される。
本稿では,今後のリーガルテックサービスや法務業界の変化について,リーガルテックベンダーの立場から私見を述べる。

地平線
公共的知識基盤「デジタルアーカイブ」よ,輝け
企業法務総合

福井健策

われわれの社会には今や,無尽蔵に情報があふれている。そしてわれわれは依然として暗闇の中の迷子である。むしろ,万人が情報の発信者かつ受信者であり,ネットとAIでデータの豊富化が加速する現在,われわれは未整理で錯綜する情報に窒息し,フェイクと攻撃的な言辞に取り囲まれ,かつてないほどの世界的な分断に直面してさえいる。

Trend Eye
マーケティング効果を最大化!
弁護士のためのSNS活用メソッド
企業法務総合

岡野武志

私は,アトム法律事務所弁護士法人の代表弁護士を務める岡野武志です。2008年に弁護士登録後,いわゆる「即独」という形でアトム東京法律事務所を設立し,2010年には弁護士法人化しました。現在は,全国15拠点の体制で,交通事故や刑事事件などの都市型トラブルの解決に取り組んでいます。

特集2
法務部員が知っておきたい
「内部統制実務」最新アップデート
近日,企業コンプライアンスに対する社会の目はますます厳しくなっており,より実効性のある内部統制が求められています。企業法務部員が内部統制の重要性をきちんと押さえておくことは,社内組織や社内管理体制の健全な運営を後押しするためにも重要です。 
そこで,本号では,会社法や金融商品取引法における内部統制の法的位置づけから,内部統制システムの運用上のポイント・課題まで,法務部として「知っておきたい」要点を解説します。自社の統制状況と比較して,問題点を確認しましょう。
会社法 金商法・資金決済法

「内部統制」の法的位置づけ
野澤大和

会社法において「内部統制」という文言は存在しないが,いわゆる内部統制システムの基本方針の決定義務や取締役の善管注意義務に照らしてその構築義務が求められ,金融商品取引法(以下「金商法」という)においては,財務報告に係る内部統制について評価した内部統制報告書の提出等が求められている。他方,米国のCOSO(トレッドウェイ委員会支援組織委員会)のフレームワークを用いた内部統制という流れもみられる。本稿では,会社法を中心に,金商法やCOSOのフレームワークとの関係も含めて,「内部統制」の法的位置づけを概観する。

会社法 金商法・資金決済法

近時の実務をめぐる動き
――基準の改訂とテクノロジーの導入
山口健志・白髭英一

本稿では,現代における急速なリスクの変化に対応するため,内部統制実務がどのように進化しているかを探るため,「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」等に記載された「内部統制の基本的枠組み」が,基準等の改訂によりどのように変化したかを解説する。また,企業グループ全体での内部統制強化の取組みや,内部統制におけるテクノロジーの活用状況についても説明する。

会社法 金商法・資金決済法

内部統制システム整備の留意点
――6つの構成要素の課題と検討
真木靖人

本稿では,効果的な内部統制システムを整備する際の重要なポイントについて解説する。具体的には,グループ全体の統制の統一性と柔軟性,M&A後の統合プロセスにおける内部統制の整備,外部委託業務の管理など,企業グループ全体の視点での内部統制整備の留意点について説明する。また,個々の法人・組織における内部統制整備のポイントについても,よくある課題と検討例を交えながら説明する。

会社法 金商法・資金決済法

内部統制システムの運用プロセスと課題
山﨑利篤

本稿では,内部統制の計画,実行,評価,改善のプロセスについて説明する。特に,内部統制の有効性評価について,評価のステップや,内部統制およびそれに付随するプロセスが円滑に機能するための6つの重要な要素に触れながら,詳細に解説する。また,企業における一般的な内部統制に関する課題や注意点も紹介する。

座談会
コーポレートガバナンスの現場から見る理想と課題(上)
~同意なき買収時代における価値創造経営の考え方~
コーポレートガバナンス・コードが導入され,10年が経過した。経営改革によって企業価値(株価)を高めることに成功した企業が存在する一方で,低迷している企業も多く存在する。本座談会では,資本市場の変化と価値創造経営の考え方について,現場で対峙している専門家や経営者の声を聞く。

【登壇者】 池谷 誠・藤田泰介・吉村一男・(司会)久保田真悟
実務解説
EUデータ法施行,中国増値税法の成立ほか
海外法務ニュース2025
国際

石田雅彦

2024年は選挙イヤーであり,世界中の人口の約半数に投票権を行使する機会のあった稀有な1年であった。その結果,米国,英国はじめ多くの国で政権交代,あるいは日本を含む多くの国で政治的バランスの変化があり,今後数年間は,法制度,各種規制の動向の予測がきわめて難しい期間となることが予想される。そのような不透明な時代のなかで,本稿は,日本企業が世界各国の各種規制,ビジネス環境について今後の動向を探る一助となるよう,ヒントとなりそうなニュースを厳選して解説するものである。

労働法

施行直前!
東京都カスハラ防止条例のポイントと実務対応
山本一生

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(東京都条例140号,以下「カスハラ防止条例」という)がいよいよ2025年4月1日より施行される。本稿では,同条例の施行にあたり事業者が講じるべき対応につき解説する。

Lawの論点
三ッ星株式に関する課徴金納付命令と大量保有報告制度のエンフォースメント
金商法・資金決済法

梅本剛正

近年,大量保有報告制度の法執行の欠陥に乗じたウルフパック戦術が一部の上場企業を脅かしている。2024年8月にウルフパック戦術のターゲットとうわさされた三ッ星の株主らに発出された課徴金納付命令が注目を集めたが,これは課徴金がオオカミ退治に効果的であることよりも,規制改正の必要性を強く実感させるものであった。ウルフパック対策という見地から,現在の規制改正の動向も含めて検討することにしたい。

連載
【新連載】
Airbnbで学んだ「法務の時間術」6つの金貨
第1回 上位2割の重要案件に8割の力を注げ
企業法務総合

渡部友一郎

 2020年に米国ユニコーン企業として10兆円の時価総額でNASDAQに上場したAirbnb。多忙を極めるAirbnbの日本事業を1人で切り盛りしている日本人弁護士がいるらしい。編集部はその秘密を探るべく都内某所にあるオフィスに潜入を試みた。

テクノロジー・AI 情報法

【新連載】
デジタルマーケティングの法律相談
第1回 典型的なデータ活用スキームと法的留意点
寺門峻佑・林 知宏・榊原颯子・牧 昂平

2025年には世界の広告市場に占めるデジタル広告のシェアは62.7%にまで上昇することが予想されている。日本でも,2021年にインターネット広告がテレビメディア,新聞,雑誌,ラジオ広告の広告費を初めて逆転した。
その背景には,デジタル技術の進展やデジタル端末の普及があり,個人をターゲットにした広告が容易に実施可能になっている。たとえば,オンライン上の行動履歴と実店舗(オフライン)での購買情報を組み合わせることで消費者の嗜好や行動を分析し,消費者の隠れたニーズに訴求する広告施策なども実施されている(過去の閲覧・購買に関連した広告が表示され驚いた経験のある方も少なくないだろう)。
デジタルマーケティングにおいては,消費者の個人情報を取得・分析する機会が増大するとともに,さまざまな事業者間のデータ提供も行われている一方,各事業者においては,個人情報保護法や締結している契約の検証が必ずしも十分ではない例も散見される。
そのため,本連載は,デジタルマーケティングの具体的な手法を概観するとともに,当該マーケティング施策を実施するために,個人情報保護法との関係で,また,データの授受を行う際の契約との関係で留意すべき点について解説を行う。

国際

【新連載】
当局のプラクティスから学ぶ米国法
第1回 米国司法省の捜査 ――「法」の適用範囲に対する考え方
櫻林 賢

本連載では,日本人でありながら米国司法省の検察官を7年(2017年~2024年)務めた筆者が,米国司法省のプラクティスについて解説する。
本稿では,米国法の適用範囲やそれらの根底にある米国の国益保護の観点などへの理解を深めるための解説を行う。第2回と第3回では,米国司法省・捜査機関の使う捜査手段,すなわち,捜査に用いる"tool box"を紹介する。第4回以降は,日本企業にも影響するような法律と事案について解説することを予定している。

企業法務総合

【新連載】
農林水産業法務を知る!
第1回 農業 ――複雑な法律・制度と改正動向
菅原清暁・小野 渡

わが国の農林水産業は,従事者の減少や高齢化等の深刻な問題を抱えている一方で,企業の新規参入が期待されている領域でもある。そこで,本連載では,全3回にわたり農林水産業にまつわる法務について解説する。第1回は,農業法務の全体像を俯瞰したうえで,特に重要な法律である農地法を概説する。

企業法務総合

LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所外国法共同事業編

2025年1月,2月の法務ニュースを掲載。

■第2次トランプ政権が発足
■最高裁,労働組合の活動に参加した組合員らの威力業務妨害行為につき,労働組合の執行委員長の共謀を認める判断
■厚労省の労働政策審議会,「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」についておおむね妥当との答申
■経産省,「営業秘密管理指針(改訂案)」に対する意見募集の開始
■経産省・環境省・農水省,改正地球温暖化対策推進法に基づく国際協力排出削減量(JCMクレジット)の記録等に関する省令等を公布
■金融庁等,「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針2025年版(案)」を公表
■環境省,「カーボンフットプリント表示ガイド」を公表
■経産省,「インセンティブ報酬ガイダンス」を公表
■法制審議会,「会社法制(株式・株主総会等関係)部会」を設置
■法制審議会,「担保法制の見直しに関する要綱」を答申
■経産省,「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を約3年ぶりに改訂

会社法 コンプライアンス

法務担当者のための金商法"有事対応"の手引き
最終回 虚偽記載対応⑶
矢田 悠

今回は,虚偽記載問題発覚後の事後対応(証券取引所対応,規制当局対応,虚偽記載に派生して生じる訴訟対応等)について解説する。なお,近時,非財務情報の重要性が高まりつつあり,その虚偽記載リスクにも注目が集まっている。筆者は現在,このようなリスクが実際に顕在化しやすいのは民事訴訟の場面であると考えており,具体的に想定される問題について,事後対応の一部として解説する。

企業法務総合

契約書表現「失敗ゼロ」のオキテ
第5回 表から書くか裏から書くか
藤井 塁

契約書レビューの際,法務部門で修正文を書くことも多いだろう。その書き方のコツの1つに,"表"から書くか"裏"から書くか,という問題がある。何かというと,条文は基本的には原則("表")から書いていくことが多いと思われるが,場合によっては例外規定("裏")として書くことでリスクを小さくできる,というものである。

会社法

最新判例アンテナ
第82回 株主名簿閲覧謄写請求に対する不服申立ておよび株主提案に対する意見表明について,招集手続または決議方法が著しく不公正なものとは認められないとされた事例
(東京地判令6. 3.27金判1700号32頁等)
三笘 裕・高井志穂

2023年6月29日開催のY社定時株主総会に先立ち,①Y社の株主Xが,同年4月12日,同総会基準日時点の株主名簿閲覧謄写請求をしたところ,Y社は,Xが経済的利益の提供を伴う委任状勧誘を行わない旨を誓約しない限り閲覧謄写には応じられないと回答した。

企業法務総合

企業法務担当者のための「法的思考」入門
第2回 「企業」とは何か
野村修也

前回述べたように,企業法務担当者の「法的思考」を洗練させるためには,関係諸科学の知見を取り入れることが重要である。今回は,経済学や経営学が企業をどう捉えているのかを考えることで,会社法の理解を深める手掛かりを得たい。

企業法務総合 競争法・独禁法 知財

マンガで事例紹介!
フリーランスにまつわる法律トラブル
第8話 著作権譲渡の考え方
宇根駿人・田島佑規・ CS合同会社

マンガの事例で栗田はクライアントから著作権譲渡および著作者人格権を不行使とする内容(以下あわせて「著作権譲渡等」といいます)を要求されていますが,まずはこの意味を理解することが重要です。

テクノロジー・AI

〈業種別〉テクノロジー法務の最新トピック
第2回 スポーツ・エンタテインメント
殿村桂司・小松 諒・加藤志郎

近年の生成AIの普及にみられるように,新たなテクノロジーの活用はあらゆる業種において急速に進んでおり,それに付随して業種ごとに異なる新規かつ複雑な法的問題が生じ,また,各国における法制度の見直しも急ピッチで進められている。本連載では,テクノロジー法務を扱う弁護士が,各業種について知見を有する弁護士とともに,業種別のテクノロジー関連の最新トピックやそれらを検討する際の実践的な視点を紹介する。
第2回は,スポーツ・エンタテインメント業界について取り扱う。

企業法務総合

悔しさを糧に――学べば開ける☆
第14話 数学の先生からのメッセージ
木山泰嗣

小学6年生のときに勉強のコツをつかむと,中学時代の成績は9科目のうち,運動神経のせいで3しかとれなかった「体育」以外は,ほとんどが5になりました。いわゆるオール5に近い成績です。高い内申点を武器に入試をクリアし,地元の公立高校に進学しました。いまは東大合格者数が公立で全国2番の高校です。自由な校風のもと個性派が多く,活気ある学校でした。

企業法務総合

PICK UP 法律実務書
『海外子会社リーガルリスク管理の実務〔第2版〕』
北島敬之

日本企業とその法務部は大変な時代に突入している。事業内容のグローバル化に応じたリスク管理が必要になるが,ビジネスを取り巻く環境の変化に応じたリーガルリスク管理体制の構築が追いついていないと感じる企業が多いのが現状なのではないだろうか? 本書は,海外リーガルリスク管理体制をどのように構築していくかを悩んでいる企業の経営者,法務組織責任者にとっては格好の羅針盤となる。

企業法務総合

「eスポーツビジネス」法的論点と対応
第2回 大会運営にかかる法規制
西方夏樹・横山裕一

eスポーツ市場が拡大した背景には,プロシーンを中心とする大会の存在がある。一方で,国内では興行を規制する法律が存在することから,実際に大会を運営するにあたっては,各種法規制に注意する必要がある。そこで,本稿では主として大会運営に関する現行法上の問題を整理する。

企業法務総合

経営の一翼を担う法務――CLO/GCの役割と実践
第3回 CLO/GCが発揮すべき役割(総論:後編)
――何をすれば経営陣に評価されるのか?
今仲 翔

第3回では,第2回に引き続き,CLO/GCが経営陣の一員として企業において発揮すべき役割のなかで,特に外部弁護士に求められる役割と大きく異なる点について説明する。第2回では,①意思決定および②法令等の遵守体制の構築について説明したが,本稿では,③法務組織の運営について論じる。

企業法務総合

ライアン・ゴールドスティンの"勝てる"交渉術
第14回 交渉相手をも味方につける
ライアン・ゴールドスティン

自分にとって望ましい意思決定を引き出そうと,論理的に説得したことはないだろうか。こちらにも論理はあるけれど,相手にも相手の論理がある。言うまでもなく,お互いの立ち位置からの見解であるから,ある意味ではいくら話しても平行線のままになってしまうこともある。そんな膠着した状況において,私は努めて「感情」に着目する。「腑に落ちない」「胸騒ぎがする」などといった感情を表現する日本語と同様に,英語にも"gut feeling"という言葉がある。感情と論理(理性)のどちらが優位であるかというよりも,「感情」も理論(理性)と同様に意思決定に影響すると私は考えている。
今回はその感情に着目して,交渉相手をも味方につける交渉術について考える。

労働法

労務コンプライアンス最前線
――働き方改革2.0に向けて
第9回 ハラスメントの増加と多様化するマイノリティ
難波知子

昨今,セクハラ,パワハラ以外にも,マタハラ,パタハラ,カスハラ,フキハラ,モラハラ,アルハラ,SOGIハラ,オワハラ等々,さまざまなハラスメントがいわれている。今回は,セクシャルマイノリティの方や妊娠,出産,育児,介護の場面に直面した方々へのハラスメントについて,どのような行為が該当するのか,法令や判例はどうなっているのか,どのような対応をすべきかにつき解説する。

情報法

「パーソナルデータ」新しい利活用の法律問題
第4回 位置情報データが描く未来
――LBMA Japanが挑む社会課題とその展望
川島邦之

位置情報データは,私たちの日常生活から生成される膨大な情報として,都市計画や防災,マーケティングなど幅広い分野で活用が進んでいる。一般社団法人LBMA Japanは,このデータを安全かつ効果的に活用するため,倫理的指針やガイドラインの策定を通じ,社会課題解決とビジネスの発展を支援している。

特別収録
第56回ビジネス実務法務検定試験®
1級 本試験問題
企業法務総合