2025年2月号
2025年12月20日発売号 1,800 円(税込)
議事録作成の考え方と実務上の留意点
黒田 裕・水野奨健
本特集は,実際の記載事例等を取り上げつつ,企業の議事録作成担当者が議事録を作成するにあたり留意すべき点や,株主からの閲覧・謄写請求への実務的な対応策について説明するものである。本稿では,総論として,各種議事録作成に共通する基本的な考え方を概観したうえで,実務上問題となりうる論点についても解説を行う。
書式・記載例①
「株主総会議事録」作成のポイント
田原一樹・大島健一郎
本稿では,株主総会議事録について,株主総会議事録が株主総会決議の有効性等をめぐる事後的紛争において最も重要な証拠の1つとなりうるものであり,また,利害関係者が閲覧等をする可能性が相応にあるという観点をふまえて,法令上要求されている記載事項を摘示しつつ,具体的な議案における記載例とともに,企業の議事録作成担当者が株主総会議事録を作成するにあたり留意すべきポイントについて説明している。
書式・記載例②
「取締役会議事録」作成のポイント
田原一樹・片瀬麻紗子
本稿では,取締役会議事録について,取締役会議事録が取締役の責任等をめぐる事後的紛争において最も重要な証拠の1つとなりうるものであり,また,利害関係者が閲覧等をする一定の可能性があるという観点をふまえて,法令上要求されている記載事項を摘示しつつ,具体的な議案における記載例とともに,企業の議事録作成担当者が取締役会議事録を作成するにあたり留意すべきポイントについて説明している。
書式・記載例③
「監査役会・委員会議事録」作成のポイント
田原一樹・甲斐凜太郎
本稿では,監査役会および各委員会(監査等委員会,指名・監査・報酬委員会)の議事録について,各議事録が監査役・監査等委員・委員の責任等をめぐる事後的紛争において最も重要な証拠の1つとなりうるものであり,また,利害関係者が閲覧等をする可能性があるという観点をふまえて,法令上要求されている記載事項を摘示しつつ,具体的な議案における記載例とともに,企業の議事録作成担当者が各議事録を作成するにあたり留意すべきポイントについて説明している。
議事録閲覧謄写請求への対応
井上 聡・壱岐祐哉
本稿は,議事録の閲覧または謄写が許可される要件について簡潔に整理し,また,主として議事録の閲覧謄写請求がなされた際の会社側の視点に立った実務対応のあり方や実務上の論点に焦点を当てることで,会社が議事録の閲覧謄写請求を受けた際に直面する悩みを解決することを目的としている。
大川 治
法にかかわることは実に奥が深い,最近ますますその思いを強くしている......が,まずは法務パーソンの日々の業務に役立つことを考えよう。一人前の法律実務家として業務にあたるためにはなすべきことが無数にある。なかでも社会経済情勢が目まぐるしく変わる今日,最新の法令・判例,新しい制度,実務動向に関する情報を広く収集・インプットすることが必須である。しかも,単に「知っている」(認識)にとどまらず,「使いこなす」(運用)ことが求められる。
中原明日香
企業で働く従業員は,人生のさまざまな局面で,法的問題が絡む出来事に悩み,ストレスを抱えることがある。
最新動向にみる「カスハラ」の考え方
嶋村直登・井村俊介
本稿では,「カスハラ」の一般的な定義を示しつつ,あわせて,最近成立した東京都カスハラ防止条例の概要,カスハラに関する今後の立法化に向けた展望,そして,多くの企業における基本方針策定の動きについて解説する。
民事上の対応と犯罪の成否から導く
カスハラ問題の法的対応策
池内康裕
企業は,カスハラにどう立ち向かうべきか。現行法上,企業がとるべき民事上の対応,刑法上の犯罪の成否を,最新裁判例をふまえて解説する。さらに,①企業に法的措置をとる義務はあるか,②今後どのような法改正がされるか,についても考察していく。
カスハラ対策の「本質」と運用上の留意点
――不当要求対応およびリスクマネジメントの観点から
吉森大輔
カスハラ対策の本質は,「不当要求対応」であり,「リスクマネジメント」である。先進的な企業においては,厚労省マニュアルなどにおいて求められる一定の体制整備を完了し,すでに運用段階に至っている。今後は,体制の整備に満足せず,これらカスハラ対策の本質を意識したうえで,それに基づく運用・検証・見直しといったPDCAサイクルを回していくことによって,カスハラ対策の「実効性」を高めていくことが求められる。
カスハラの実務対応
――基本方針策定,マニュアル策定,研修実施
香川希理
2024年10月4日に成立した「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」によって,事業者はカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」という)の防止に主体的かつ積極的に取り組む努力義務などを負う。2025年4月1日からの施行に備え,最低限事業者が行うべき,基本方針策定,マニュアル策定,研修実施のポイントを解説する。
カスハラ被害にあった従業員のメンタルヘルスケア
涌井美和子
カスタマーハラスメントの被害により,うつ病や適応障害,燃え尽き症候群,急性ストレス障害,心的外傷後ストレス症ほかメンタル不調発生リスクが高くなるだけでなく,スタッフどうしのハラスメント発生リスクも高くなる。特に管理職は共感的態度を心がけ,組織全体でサポートする体制づくりが求められる。
ローソンのカスタマーハラスメント対策
仲摩篤史
ローソンでは,店舗で働く従業員が安心して働くことができるための環境整備として,カスタマーハラスメントに関する基本方針を定めているほか,カスタマーハラスメントに関する各種取組みを行っている。
日本と韓国におけるカスハラ法整備の現状と課題
――実効性ある法制化に向けて
池内裕美
近年,急速にカスハラが社会問題化したことで,行政も法制化に向けて本格的に動き始めた。条例施行から法律制定までのこの動きは,8年前の韓国ときわめて近い道をたどっている。筆者は,日本の法制化の将来像を描くには,韓国の前例が参考になると考え,実際に条例制定に携わった研究者を訪ねて渡韓した。本稿では,法整備後の韓国の現状に関する取材を通して,今後日本が法制化に向けて検討すべき課題について考察する。
近時の法改正・制度改正をふまえた
外国人雇用の実務アップデート(上)
杉田昌平
2024年には,外国人雇用に関する法制度の改正が続き,育成就労制度の創設ならびに特定技能制度の産業分野の拡大および人数枠の再設定などが行われた。育成就労制度は2027年に施行予定であり,今後,施行の準備に向けた作業が続くことになる。本稿ではこれまでの改正の内容を概観する。
第2次トランプ政権の通商政策と日本企業への影響
宮岡邦生
米国大統領選挙で共和党のトランプ前大統領が勝利し,2025年1月に大統領に就任する。本稿では,第2次トランプ政権の主要政策について,国際通商法の観点から注目すべきポイントと日本企業の対応について述べる。
「知的財産取引に関するガイドライン」の概要と改正の要点
――ひな形の改正点もふまえて
高瀬亜富・根岸秀羽
中小企業庁が公表する知的財産取引に関するガイドラインおよび契約書ひな形が改正された。本稿では,あらためて同ガイドラインの位置づけおよび内容を概観したうえで,主な改正事項である発注者・受注者間の適切な責任分担の考え方を中心に,同ガイドラインを紹介・解説する。
法務担当者が知っておきたいステーブルコインの実務
清水音輝
本稿は,ステーブルコインが新たな決済手段として広がる可能性を見据え,「法務担当者が知っておきたいステーブルコインの実務」を紹介するものである。
プライバシーテックの法的論点(下)
――合成データの仕組み,個情法3年ごと見直しにおける議論
宇根駿人・上村俊介・竹之内隆夫・板倉陽一郎・渡邊涼介
プライバシーを保護する技術であるプライバシーテックが国内でも注目を集め始めているが,個人情報保護法上の位置づけを検討するにあたっては悩ましい部分も存在する。そこで,本解説(全3回)では,プライバシーテックの各技術を紹介するとともに,プライバシーテックの個人情報保護法上の(現時点における)位置づけを整理することとした。第3回となる本稿では,合成データの仕組み,および個人情報保護法の3年ごと見直しにおけるプライバシーテックに関する議論について説明する。
外国子会社合算税制上の非関連者基準に係る「保険の目的」の意義
(最判令6. 7.18)
武田涼子
最一小判令6.7.18(裁判所ウェブサイト)は,外国子会社合算税制における適用除外要件のうち,再保険における非関連者が介在する場合の非関連者基準の適用要件について,初めて実質的な判断を下した最高裁判決である。一審判決と異なり納税者勝訴とした原判決(東京高判令4.9.14判タ1511号128頁)を破棄した最高裁判決であり,その解釈手法や実務への影響についても,検討する意義は大きい。
法務部員が知っておきたい公開買付けの開示のポイント
――公開買付開示ガイドラインの公表をふまえて
邉 英基
金融庁は,2024年9月17日に,同年6月28日から7月29日までに実施していたパブリックコメント手続の結果とともに,「公開買付けの開示に関する留意事項について」(以下「公開買付開示ガイドライン」という)の内容を公表し,同年10月1日からその適用を開始した。本稿では,公開買付けを実施する際の開示の概要や特に知っておくべき実務上の重要なポイントについて,公開買付開示ガイドラインの内容をふまえて解説する。
生方紀裕・隈 大希
上場会社の支配権をめぐる対立から,定時総会が流会となり,その後新株等発行差止仮処分を含む法廷闘争が激しく行われ,会社側・株主側の双方が並行して株主総会を開催することとなった最近の事例について,実務上の留意点を紹介する。
森・濱田松本法律事務所編
2024年10月・11月の法務ニュースを掲載。
■金融庁,「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項」に対するパブリックコメントの結果を公表
■「スチュワードシップ・コードに関する有識者会議(令和6年度)」第1回が開催
■総務省,「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」改訂案に対する意見募集の結果および改訂版(第8版)を公表
■公取委・厚労省,フリーランス取引の状況についての実態調査結果およびガイドライン改定を公表
■厚労省,スタートアップ企業で働く者の労働者性および管理監督者性等の判断や新技術・新商品の研究開発従事者の取扱いにおける基本的考え方についての通達を公表
■金融庁,契約締結前等の顧客への情報の提供等に係る「令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等」を公表
■公取委,スマホ競争促進法の事業者指定に関して意見募集開始
■米国財務省,対外投資規制の最終規則を公表
■金融庁,顧客等の最善の利益の勘案義務等に係る「令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等に関するパブリックコメントの結果等」を公表
■最高裁,大学教員職の任期法4条1項1号の「教育研究組織の職」該当性について初判断
■特許庁の産業構造審議会知的財産分科会,海外サーバーを利用した国境をまたいだ発明の実施に係る国内特許の適用の検討を開始
■経産省,「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂案に対するパブリックコメント募集を開始
■金融庁,「記述情報の開示の好事例集2024(第1弾)」を公表
■環境環境省,「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン2024年版」「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2024年版」を公表
■政府知財戦略本部,「知的財産推進計画 2025」の策定に向けたパブリックコメント募集を開始
契約書表現「失敗ゼロ」のオキテ
第2回 定義〜名は体を表す〜
藤井 塁
契約書レビューの際,「定義の意味内容」はよく確認するが,「定義された語」にはそこまで注意を払っていないという方もいるかもしれない。
しかし,名は体を表すというように,「定義された語」が適切でないと「定義の意味内容」について誤解が生じるおそれがある。したがって,「定義された語」は,なるべくその語だけを読んでも「定義の意味内容」がある程度理解できるようなものにしておくことが望ましい。
失敗事例から学ぶ「ナレッジ・マネジメント」
最終回 コンプライアンス業務
柄澤愛子
本連載では,架空の「ナレマネリーガル株式会社の法務部門」の事例をもとに,ナレッジ・マネジメントの失敗の背景に迫っていく。連載最終回の本稿では,以下の2つの【Case】を通じて,コンプライアンス業務に関するナレッジ・マネジメントの失敗と解決策を取り上げる。
事業展開×知財×法務
最終回 特許権を使うことができなくなるときの留意点
笹本 摂・佐藤武史・今 智司
特許権は原則として出願から20年間存続させることができる(ただし,特許庁の審査が遅れた場合や医薬関連発明については存続期間を延長できる場合がある)。他方,存続期間中であっても,法律上,権利が「なくなる」場合や権利として「使えなくなる」場合がある。法務部門には,自社の特許権について他社からライセンスの相談が来ることや,他社と新たな共同研究開発をする際に開発部門から自社の特許権を使用できるか否かについて問合せを受けること,あるいは営業部門から自社の特許権を侵害している他社製品が存在するという情報が上がってくること等がある。そのため,自社特許の生存や使用可否の把握は重要である。
最終回では,特許権の状況確認,そして特許権がなくなる場合や使えなくなる場合に必要な措置等に関して法務担当者が留意すべき点について解説する。
最新判例アンテナ
第79回 総合職にのみ社宅制度の利用を認めることについて,男女雇用機会均等法が定める場合に該当しないとしても,性別に基づく間接差別として不法行為が成立するとした事例
(東京地判令6. 5.13労判1314号5頁)
三笘 裕・伊藤 環
Ⅰ 事案の概要Y社は総合職(1999年のY社設立時から2020年4月までの在籍者のうち男性は33名,女性は1名)にのみ社宅制度の利用を認め,一般職(同期間の在籍者のうち男性は1名,女性は6名)には社宅制度の利用を認めていなかった。
Y社に一般職として勤務する女性従業員Xは,男性である総合職にのみ社宅制度の利用を認めることは,性別を理由とする直接差別(男女雇用機会均等法6条2号,同法施行規則1条4号)に該当すると主張した。
労務コンプライアンス最前線
――働き方改革2.0に向けて
第7回 新しい働き方(テレワーク・副業・ジョブ型雇用)と法的留意点
織田康嗣
人々の生活スタイルや仕事に対する価値観は多様化している。特に新型コロナウイルスの影響から,テレワークが広く社会に浸透し,それぞれのワークスタイルに合った働き方を見いだす動きが活発になった。また,旧来は企業での副業禁止が当然とされていたが,柔軟な働き方が広がり,副業も解禁されるようになってきている。
加えて,労働市場の変化も著しく,人口減少に伴う深刻な人出不足の環境下では,中途採用人材の活用など,企業の人材戦略にも変化が生じている。一部の企業では,高度専門職などでジョブ型雇用を採用する例もみられる。
本稿では,テレワーク,副業,ジョブ型雇用といった近時のキーワードに関し,実務上生じるトラブルや留意点を解説する。
スタートアップのための社内規程整備マニュアル
第4回 情報管理に関する規程
早乙女明弘・味香直希・安富有輝・ 張 麗娜
本連載では,全6回にわたり,スタートアップのための社内規程整備について,具体的な条項例を交えつつ解説を行う。第4回では,スタートアップにとっては社内体制の整備の観点から重要度の高い情報管理に関する規程について,策定のポイントを概説する。また,社内規程とは異なるが,個人情報保護の観点からプライバシーポリシーについても言及する。
悔しさを糧に――学べば開ける☆
第11話 弁護士3年目で長期入院のアクシデント――学んだこと(その1)
木山泰嗣
子どものころから,横浜(当時は大洋ホエールズ。現在は,DeNAベイスターズ)を応援しています。あまりないタイプの試合が,記憶にあります。2005年9月23日,神宮球場のヤクルトとの試合でした。8回まで0-0の投手戦が,9回表に横浜が4本もホームランを打ち,5-0で勝利したのです。
マンガで事例紹介!
フリーランスにまつわる法律トラブル
第5話 ステマ規制
宇根駿人・田島佑規・ CS合同会社
ステルスマーケティング(以下「ステマ」といいます)は,消費者に広告と気づかれないように行われる広告のことを指します。典型的には,広告主である企業がインフルエンサーなどに対価を支払ったうえでSNSでの投稿などを依頼し,依頼を受けたインフルエンサーなどが(当該企業からの依頼であることを秘したうえで)あたかも自分の感想・おすすめであるかのように,当該企業の商品・サービスの広告をSNSで投稿するようなケースがあげられます。ステマは,実際は広告主自身が発信する,または,関与する情報であるにもかかわらず,消費者が広告主と無関係に発信されている情報だと誤認することで,適切な商品・サービスの選択が阻害されるおそれがあることから,問題とされます。
いま知りたい! 食品業界の法律
第4回 食中毒・食品の異物混入問題に関する法律と企業の対応
渡辺大祐・森 大輝・水村優太
食中毒や食品の異物混入に関する事故・事件について,ニュースなどの報道で,見聞きすることは多いであろう。過去,食品メーカー等における食中毒・異物混入に関する不祥事事件として,社会的に大きな問題となったものは少なくない。
本稿では,食品業界の企業にとって大きな課題となる,食中毒・異物混入問題に関し,食中毒・異物混入が発生した場合の法律関係について解説し,企業がとるべき対応について法的な観点から述べることとする。
PICK UP 法律実務書
『設例で学ぶ個人情報保護法の基礎』
中島一精
法務担当者として,事業上個人情報の利活用で法務相談に対応することは日常茶飯事である。私自身,いわゆるマチ弁から企業内弁護士になってから,かなりの相談件数を対応するなかで個人情報の取扱いについて何度も頭を悩ませてきた。
そんななかで,本書が発売されることを知り,はしがきに「個人情報保護法の世界への入口になることを切に願う次第である」という著者の言葉のとおり,本書によって法務担当者として個人情報保護法の世界に入ることができたので,本書の特徴を紹介する。
ライアン・ゴールドスティンの"勝てる"交渉術
第11回 ウソとごまかしが招く結末
――世界を相手に戦うために備えておきたい「正直」さ
ライアン・ゴールドスティン
日本人は優しい。常に目の前の相手を思いやる。争いごとを好まず,穏便にものごとを解決しようとする。これは私が日本と日本人を敬愛する理由でもある。しかし,それゆえに交渉で不利益を被っていると感じることが多い。日本企業の多くは優れた技術をもつとともに,勤勉で誠実なビジネスを展開しているが,グローバル・ビジネスのプレイヤーたちは,日本人の優しさや思いやりの精神に付け込もうと躍起になっている。そんな事案を数多く目の当たりにしている。優れた事業を行っている日本企業が損失を被っているとすれば,それを見過ごすことはできない。そんな思いから私は日本企業の代理を務めるようになった。
今回はグローバル・ビジネスで遭遇する「ウソ」や「ごまかし」について考える。
法務担当者のための金商法"有事対応"の手引き
第4回 虚偽記載対応⑴
矢田 悠
今回からは,上場企業の開示書類について,虚偽記載や記載すべき重要な事項の不記載(以下まとめて「虚偽記載等」という)が発覚した場合の対応について解説する。筆者自身は,1年中この対応に追われている弁護士であり,前回まで以上に個人的な経験・主観に基づく記載が増えそうであるが,ご笑覧いただければ幸いである。
「株式法務」最新Q&A――株主総会,コーポレート・ガバナンスの現場対応
第9回 未成年者の親権者の株主総会への出席
飯塚 元・西口阿里沙
Q
上場会社であるX社は,定時株主総会の開催にあたり,未成年である株主(Y)の親権者(Z)から,「Yの代理人として定時株主総会に出席したい」旨の申出を受けた。X社は議決権行使の代理人資格を議決権のある株主に限定する定款の定めを設けているが,Z自身が株主ではない場合,X社としては,①Zの株主総会への出席を認めるべきか。また,②Zの出席を認める場合,どのような資料の提供を求めるべきか。