雑誌詳細

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2024年10月号

2024年8月21日発売号   1,800 円(税込)

特集1

フリーランス法の実務対応
施行直前の総まとめ

特集2

海外動向もふまえた法務・税務の勘所
株式報酬制度の基礎と留意点

特別企画

EUの「AI規制」最新動向

特集1
フリーランス法の実務対応
施行直前の総まとめ
2024年11月1日,「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」通称フリーランス法が施行されます。個人として業務委託を受けるフリーランス(事業者)と企業などの発注事業者の間の取引の適正化,フリーランスの就業環境の整備を図ることを目的としている本法律は,これまで下請法の対象になってこなかった企業にも対応が求められるなど,実務上の対応は必須です。
そこで,本特集では同法について,関連法との共通点・相違点や対応法について解説します。施行まで約2カ月,いざ最終チェック!
労働法 競争法・独禁法

フリーランス法と独占禁止法・下請法との比較
野田 学

フリーランス法の第2章(取引適正化パート)は,独占禁止法・下請法と深く関連している。本稿は,フリーランス法とこれら各法との関係性・相違点について解説を行い,施行に向けた効率的な準備・対応に役立てていただくことを目的とするものである。

労働法 競争法・独禁法

フリーランス法と労働法との比較
白石紘一

フリーランス法の第3章では,フリーランスの「就業環境の整備」として,既存の労働法を参照した規律が定められているが,対象がフリーランスであるゆえの相違点も存在する。本稿ではその異同等について解説する。

労働法 競争法・独禁法

フリーランス法における取引の適正化に向けた実務対応
那須勇太・池田絹助・小野関 翼

特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律,いわゆる「フリーランス法」が2024年11月1日に施行されるため,適用対象の事業者においては,その対応のための体制整備等が急務である。本稿では,フリーランス法に基づき事業者に求められる義務のうち,取引の適正化に関連する事項について,実務対応の内容を中心に説明する。

労働法 競争法・独禁法

フリーランス法における就業環境の整備に向けた実務対応
那須勇太・池田絹助

いわゆるフリーランス法は,個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するために,業務委託をする事業者との間の取引の適正化・就業環境の整備を図ることを目的とした法律である。本稿では,フリーランス法のうち,就業環境の整備に関する規制の概要とそれに関連する社内体制の整備について解説する。

労働法 競争法・独禁法

フリーランス法の「最重要シチュエーション」一問一答
山田康成

筆者はフリーランスからの法律相談窓口であるフリーランス・トラブル110番の立上げから現在まで事務責任者としてかかわってきたが,本稿では,フリーランス・トラブル110番に寄せられる相談傾向をふまえ,シチュエーション別にフリーランス法の注意点について論じるものである。

労働法 競争法・独禁法

【コラム】海外在住フリーランスに発注する際の注意点
宇賀神 崇

海外在住のフリーランスに発注する場合であっても,フリーランス法の適用はあるものと考えて,対応すべきである。これ以外にも,完全リモートで行うやりとりや打合せ,報酬を海外送金で支払う手間と時間とコスト,フリーランスとの間の紛争解決のあり方,準拠法の定め方,いわゆる「PE」課税リスクなど,留意すべき点は多岐にわたる。

特集2
海外動向もふまえた法務・税務の勘所
株式報酬制度の基礎と留意点
令和6年度税制改正において,一定の株式会社が付与するストック・オプションについて年間の権利行使価額の限度額が引き上げられ,その使い勝手が向上するなど,株式報酬をめぐる動きが活発になっています。役員向けのみならず従業員向けの制度導入も広がりつつあり,今後もいっそうの活用促進が見込まれます。
株式報酬制度の設計・運用においては,法務と関係部署の連携が不可欠。税務にまたがる難解なポイントも,本特集では基礎から解きほぐします!
会社法 金商法・資金決済法

株式報酬の導入・運用における法務部門の役割
山下聖志

本稿では,株式報酬の導入および運用において,法務部門がどのような役割を果たし,そのためにどのような制度理解や他部署との連携が必要かについて,実務動向や頻出論点を取り上げつつ,制度設計段階と制度導入・株式交付・運用段階に分けて解説する。

会社法 金商法・資金決済法

株式報酬の設計・見直しの実務留意点
――ストック・オプションを中心に
加藤伸樹

上場会社では,コーポレートガバナンス・コードにおいて,中長期的な企業価値の向上に向けた株式報酬の活用が求められている。非上場会社においても,人材確保の手段として,株式報酬の活用が進んでいる。本稿では,株式報酬の設計・見直しについて,ストック・オプション(以下「SO」という)を中心に,法務,税務の観点から解説する。

会社法 金商法・資金決済法

主要国における従業員向け株式報酬制度
――英米の制度と日本での可能性
柴田寛子

近時,株式報酬の導入促進のための法制度等の整備が相次いでいる。たとえば,2023年4月1日施行の租税特別措置法および関連法令の改正により,税制適格ストック・オプションの権利行使限度額が,条件付きで現行の年間1,200万円から最大3,600万円に引き上げられ,スタートアップ企業振興を念頭に,付与対象者への優遇措置の拡充が図られた。
一方,英米の株式報酬制度においては,付与対象者,特に従業員にとってのメリットを重視した優遇措置が設けられているものがある。日本でこれらと類似の制度を実現するには,立法の手当てが必要であるが,今後の法改正を考えるうえで参照に値することから,本稿において概説する。
また,株式報酬は,株主にとっては希釈化をもたらし,さらに,付与対象者に取締役・執行役等が含まれる場合,利益相反による「お手盛り」の危険を伴う。そこで,株式報酬の適正確保の手段としての株主の関与の程度についても,簡潔に言及したい。

会社法 金商法・資金決済法

株式報酬をめぐるトラブルと対応策
岩崎隼人・大門弘和

本稿では株式報酬に関するトラブル事例と注意事項を解説する。労務上は株式報酬が賃金として扱われるか,労働契約の内容になっているかが焦点となる。契約上は逆インセンティブや行使条件の不明確さが問題となる。税務でも予期せぬ課税をめぐりトラブルになることがある。他にもクローバック条項への関心が国内でも高まっており今後トラブルが生じるかもしれない。これらのトラブルを避けるためには,慎重な設計と対象者への十分な説明が欠かせない。

特別企画
EUの「AI規制」最新動向
AI(人工知能)技術の急速な進歩は社会におけるさまざまな活動のあり方にも影響を及ぼしており,生成AI(ジェネレーティブ AI)をはじめとするAI技術への期待と懸念の高まりを背景に,日本のみならず世界各国においてルール形成にかかわるさまざまな動向がみられます。
本企画では,特に法規制の大きな動きがみられる欧州連合(EU)に着目し,①AI法,②その他のAI関連規制としてGDPR,EUデータ法,EUデジタルサービス法について解説するとともに,③AI技術と特許についても留意点を紹介します。
特別企画
欧州連合(EU)AI法のポイント解説
国際 テクノロジー・AI

白石和泰・古西桜子・牧 昂平

AI技術の台頭に伴い,EUは,さまざまな枠組みを用いてAI技術に向き合おうとしている。本稿では,EUにおける規制動向のうち,AI法について取り上げる。

国際 テクノロジー・AI

欧州連合(EU)におけるAI関連規制
――GDPR,EUデータ法,EUデジタルサービス法
白石和泰・古西桜子・奥山太雅・中山翔太

AI技術の台頭に伴い,EUは,さまざまな枠組みを用いてAI技術に向き合おうとしている。本稿では,EUにおけるAI関連規制動向のうち,データ保護規制として広く運用されているGDPR,データのアクセス制限に着目した新たな規制であるEUデータ法およびオンライン仲介サービスに関して施行済みのEUデジタルサービス法について取り上げる。

国際 テクノロジー・AI

欧州連合(EU)におけるAI技術と特許
竹中俊子

EUでは,昨年6月から単一特許の発行と統一裁判所の運用が始まった。AIについては,AI発明の発明者性や特許を受ける権利の帰属が議論されているので,本稿で紹介する。

地平線
「誠実協議条項」アップデートの可能性
企業法務総合

牧野和夫

「誠実協議条項」は,契約書に定めがない事項や紛争・トラブルなどが発生した際に,契約の当事者間で誠実に協議して円満に解決する旨を定めた条項であるといわれる。

実務解説
第213回通常国会で成立したビジネス関連法律
企業法務総合

星 正彦

政治資金問題が大きく報じられ他の話題がかすんでしまった感もあるが,第213回通常国会では,令和6年度予算のほか,新規の内閣提出法案62件が審議され61件が成立,以下のようなビジネス実務に重要な影響を及ぼす法律も着実に成立した。

・重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律
・経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律
・金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律
・事業性融資の推進等に関する法律
・子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律
・情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律
・特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律
・民法等の一部を改正する法律
・出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律
・出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律
・雇用保険法等の一部を改正する法律
・育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律
・食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律
・脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律(水素社会推進法)
・二酸化炭素の貯留事業に関する法律(CCS事業法)
・新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律
・スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律
・流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律

情報法 M&A

コーポレート領域における個人情報の保護
――M&A,株主情報の取扱いを中心に(上)
田浦 一

本稿は,M&A領域における個人情報に関する問題についての解説の上編であり,特にデューデリジェンスの場面における,対象会社の個人情報の取扱状況に関する調査の手法や,調査の結果判明した問題点に対する対応方法について,概観する。

金商法・資金決済法 M&A

公開買付制度に関する令和6年金商法改正と今後の展望
近澤 諒・逸見優香

公開買付制度に関する2006年改正以来の大幅な改正を含む金融商品取引法の改正法が成立した。今後,関連する政省令についても改正が行われる予定である。これらの法改正等は,日本の公開買付けの実務に大きな影響を及ぼしうるものであり,施行に向けた検討・準備が必要となりうる。

競争法・独禁法 サステナビリティ・人権

改定グリーンガイドラインの重要ポイント
武井祐生

2024年4月24日,昨年3月に策定されたばかりの「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(以下「グリーンガイドライン」という)が改定された。グリーンガイドラインは,グリーン社会の実現に向けた企業活動を,独占禁止法の観点から分析・評価しその考え方を示したものであるが,本改定により,さらにその考え方が明確化されたものである。本稿では,その改定内容と実務上のポイントを解説する。

国際 情報法

中国「データ越境流動の促進及び規範化に関する規定」の要点と対応法
孫 彦

本稿では,2024年3月22日に公布,同日施行された「データ越境流動の促進及び規範化に関する規定」の内容とそれまでの個人情報の越境移転にかかわる実務への影響を中心に紹介する。

企業法務総合

リコール事象発生時に求められる事業者の対応と消費者庁の取組み
梅津 希

消費者の暮らしの安全を守るためには身の回りの商品が十分な安全性を備えていることが欠かせない。もし商品に欠陥や不具合が見つかった際は,事業者には速やかな対応が求められるが,この対応を誤ると社会からの厳しい批判にさらされ事業者は企業価値を著しく損なう深刻なダメージを受けることになる。
本稿では,リコール事象発生時に事業者に求められる対応と消費者庁の取組みを紹介する。

テクノロジー・AI

概説 AI時代における自動運転車の社会的ルールの在り方検討サブワーキンググループ 報告書
佐藤典仁

本稿では,「AI時代における自動運転車の社会的ルールの在り方検討サブワーキンググループ」でとりまとめられた,自動運転の実装に向けた,基準認証等,事故・インシデント発生,事故要因・責任判断というフェーズごとの論点整理について概説する。

Trend Eye
「ブルーカーボン」取組みの現在地と今後の期待
サステナビリティ・人権

関本正樹

持続的な企業価値の向上に向け,サステナビリティが重要な経営課題といわれて久しい。特に,気候変動については,2050年のカーボンニュートラルに向けた取組みを進めていくことが求められており,再生可能エネルギーの利用等による温室効果ガス(GHG)の排出削減の取組みが有価証券報告書等でもみられるようになってきたが,このような取組みの1つとして,ブルーカーボンがある。

連載
【新連載】
マンガで事例紹介!フリーランスにまつわる法律トラブル
第1話 発注者も受注者も無関係ではいられない!? フリーランスを取り巻く法環境
企業法務総合 労働法

宇根駿人・田島佑規・ CS合同会社

そもそもフリーランスとは,おおむね業務委託などにより案件を受注し,業務を行う個人事業主のことをいいます。そして,こうしたフリーランスのなかには,ある企業のなかで何十年と勤務をし,ビジネススキルを多く身につけたうえで独立した方もいれば,社会人になると同時に個人事業主になったような方もいます。また,法務や税務といった事業運営に必要なバックオフィス業務に関し,十分に知見がある,あるいは,各種専門家に日常的に依頼が可能であるという方もいれば,正直なところまったく自信がなく,おざなりになってしまっているという方もいるかと思います。

金商法・資金決済法

【新連載】
法務担当者のための金商法"有事対応"の手引き
第1回 インサイダー取引規制対応⑴
矢田 悠

企業の金融商品取引法(以下「金商法」または「法」という)違反トラブルがあとを絶たない。ひとたび,社内で疑義が生じると,普段は経理部・IR部などと分かれて行っている金商法対応について,法務部の役割が飛躍的に大きくなり,負担が集中する。特に規制当局である証券取引等監視委員会の来訪が発覚の端緒になると,少なくともDay1は,当局対応のため弁護士に相談する間もなくすぎ,法務部限りで対応しなければならないことが通常であろう。本連載は,このような金商法"有事対応"について,平時に目を通して要点を理解でき,いざ有事の際にはサッと取り出して活用できるコンパクトな手引きとなるよう執筆した。

企業法務総合

LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所編

2024年6月・7月の法務ニュースを掲載。

■日本版DBS法成立
■商米国財務省,対外投資規制に関する規則案を発表
■ICMA等,サステナビリティ・リンク・ローン・ファイナンシング・ボンドのガイドラインを公表
■国税庁,インボイス制度に関するQ&A追加
■6月総会シーズン,集中日開催率は29.5%
■金融庁,「令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等」を公表
■最高裁,地方公務員の飲酒運転等を理由とした懲戒免職に伴う退職金全額の不支給処分が有効であるとする判決
■金融法委員会,「論点整理 カーボン・クレジットの私法上の位置付け 法的性質及び帰属・移転の法理を中心に」を発表
■金商法金融庁,「公開買付けの開示に関する留意事項について(公開買付開示ガイドライン)(案)」を公表
■公取委,「イノベーションと競争政策に関する検討会」最終報告書を公表
■経産省,私的整理制度見直しに向けて事業再構築小委員会を設置
■金融庁,「市場制度ワーキング・グループ」報告を公表
■最高裁,特定事業者には労働者に対する労災支給処分を争う原告適格は認められないとの判決
■再高裁,退職慰労金につき株主総会決議による委任を受けた取締役会が内規基準額から大幅に減額したことについて裁量逸脱はないとの判決
■最高裁,閲覧制限申立に関する決定
■経産省,重要・新興技術関連品目をリスト規制に追加

ほか

企業法務総合 労働法

マンガで事例紹介! フリーランスにまつわる法律トラブル
第1話 発注者も受注者も無関係ではいられない!?
フリーランスを取り巻く法環境
宇根駿人・田島佑規・ CS合同会社

そもそもフリーランスとは,おおむね業務委託などにより案件を受注し,業務を行う個人事業主のことをいいます。そして,こうしたフリーランスのなかには,ある企業のなかで何十年と勤務をし,ビジネススキルを多く身につけたうえで独立した方もいれば,社会人になると同時に個人事業主になったような方もいます。また,法務や税務といった事業運営に必要なバックオフィス業務に関し,十分に知見がある,あるいは,各種専門家に日常的に依頼が可能であるという方もいれば,正直なところまったく自信がなく,おざなりになってしまっているという方もいるかと思います。

労働法

最新判例アンテナ
第75回 職種限定合意がある以上,使用者は労働者の同意を得ることなく異なる職種への配置転換を命ずる権限をそもそも有していないと判断した事例(最判令6. 4.26裁判所ウェブサイト等)
三笘 裕・伊藤 環

Xは,2001年3月,財団法人Aに,Aを指定管理者等とする県立の施設である福祉用具センターにおける改造および製作ならびに技術の開発(以下あわせて「本件業務」という)に係る技術職として雇用されて以降,技術職として勤務していた。Xと,Aの権利義務を承継した社会福祉法人Yとの間には,Xの職種および業務内容を技術職に限定する旨の合意(以下「本件合意」という)があった。Yは,Xに対し,その同意を得ることなく,2019年4月1日付けでの総務課施設管理担当への配置転換を命じた(以下「本件配転命令」という)。Xは,職種および業務内容の変更を伴う本件配置転換命令は本件合意に反するなどとして,Yに対し,債務不履行または不法行為に基づく損害賠償請求(以下「本件損害賠償請求」という)等をする訴えを提起した。

企業法務総合

失敗事例から学ぶ「ナレッジ・マネジメント」
第2回 ひな形の整備・運用
今野悠樹

本連載では,架空の「ナレマネリーガル株式会社の法務部門」の事例をもとに,ナレッジ・マネジメントの失敗の背景に迫っていく。連載第2回目の本稿では,以下の2つの【Case】を通じて,契約書ひな形の整備と運用に関するナレッジ・マネジメントの失敗と解決策を取り上げる。

企業法務総合

ライアン・ゴールドスティンの"勝てる"交渉術
第7回 結果をどこで判断するかで結論は変わる――交渉決裂の捉え方
ライアン・ゴールドスティン

日本の古美術が好きな私はギャラリーやアンティークフェアを尋ねて歩く。狙いを定めて探しにいくというよりも,出合いを楽しみに赴くのである。掛け軸や陶器を目の前にして,当時の持ち主の生活や環境に思いをはせるのがとても楽しいのである。これまで,いくつかの素晴らしい出合いがあったが,そのうちのひとつに「金継ぎ」が施された茶碗があった。「金継ぎ」は日本古来の伝統技術で,漆と蒔絵の技術を融合して欠けた茶碗等を修復するために用いられ,発展したとされている。千利休が大成した「茶の湯」時代に流行したという。今回は,欠けた茶碗をお払い箱ではなく,美術品として昇華させる職人や,それを愛でる日本文化の姿勢に敬意を表し,交渉決裂の捉え方について考える。

企業法務総合 消費者関連法

いま知りたい! 食品業界の法律
第2回 健康食品に関する法律と近時の動向
渡辺大祐・佐藤敬太・宮﨑一輝

昨今の健康ブームに伴い,健康食品に対する消費者の関心度は高い。機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)も広く普及していることは周知の事実であろう。そこで,今回は健康食品に関する法律や関連する近時の動向について解説していく。

企業法務総合

悔しさを糧に――学べば開ける☆
第7話 初めてのセミナー講師。当日に風邪をひく大ピンチに......。
木山泰嗣

初めてセミナーの講師を担当したのは,15年前。半年ほどまえに事務所に電話があり,役員規程のセミナーをしてもらいたいという依頼がありました。当時,労務専門の媒体で連載をしていたものが目にとまったようです。29歳で弁護士になったわたしが,初セミナーの依頼を受けたのは34歳のときでした。

知財

事業展開×知財×法務
第3回 事業で生まれた発明の取扱い
笹本 摂・佐藤武史・今 智司

事業を進めていく過程では,さまざまな有用な知財が社員によって創出される。創出される知財のなかで事業にとってインパクトが大きいものの1つが発明である。その発明の取扱いについて理解しておくべきことは,職務発明の扱いおよび営業秘密の管理である。第3回では,これらと発明のノウハウに関して法務担当者が念頭に置くべき点について解説する。

労働法

労務コンプライアンス最前線
――働き方改革2.0に向けて
第4回 同一労働同一賃金問題の現状と課題
石居 茜

同一労働・同一賃金に関しては,法律の施行以来,さまざまな裁判例が出ているが,近時,定年後再雇用者の基本給が争点となった名古屋自動車学校事件最高裁判決が出された。今後の差戻審の判断に注目が集まっている。また,同一労働・同一賃金へ対応し,非正規労働者との待遇差をなくすために正社員の手当等を廃止する等の就業規則の変更の合理性について判断した裁判例が出ており,実務的に参考になると思われる。以下,解説する。

企業法務総合

PICK UP 法律実務書
『ひとり法務』
長澤 斉

本書は,著者の現職での「ひとり法務」経験をもとにした心構えとアクションの具体的な方法が書かれた実践ノウハウ本といえる。

会社法

「株式法務」最新Q&A――株主総会,コーポレート・ガバナンスの現場対応
第5回 指名委員会等設置会社の移行状況とその理由
飯塚 元・西口阿里沙

 自社に最適な機関設計の検討をしているが,指名委員会等設置会社を選択している上場会社はあまり聞いたことがない。なぜ指名委員会等設置会社を選択する会社が少ないのか。一方で,指名委員会等設置会社を選択している会社の選択理由はなにか。

特別収録
ビジネス実務法務検定試験® 3級/2級演習問題
企業法務総合