雑誌詳細

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2024年9月号

2024年7月19日発売号   1,800 円(税込)

特集1

リモートインハウスを活用した
法務アウトソーシングの実践法

座談会

生成AIと著作権を検討する
――「AIと著作権に関する考え方について」と今後の展望

特集2

デジタルマーケティングの法律入門

特集1
リモートインハウスを活用した
法務アウトソーシングの実践法
リモートインハウス(法務受託)というサービスが浸透しつつあります。顧問弁護士よりも気軽に相談できて,法務部員に近い立場からアドバイスを提供する存在として注目されています。
彼らはリーガルチェックやナレッジ・マネジメントなど,法務機能をまるっと手助けしてくれるのが特長。フレキシブルな法務機能の外注ができ,頼れる存在になるでしょう。
本特集では,リモートインハウスとはどんな存在か,依頼するときのポイントは何かについて紹介します。顧問弁護士との付き合い方にも通ずるので,ぜひ参考にしてください!
企業法務総合

リモートインハウス活用術①
契約書業務
遠藤千尋

法務業務のなかで中心的なものの1つが契約書関連業務である。マンパワー不足が依頼のきっかけとなることがあるが,リモートインハウスサービスは,マンパワーの補完だけでなく,業務の効率化やナレッジの共有にも有用である。
本稿では,リモートインハウスサービスに契約書関連業務を依頼するなかで,過去案件を蓄積する仕組みを作ったり,契約書の審査基準を作成したりするなど,社内にナレッジを蓄積し,業務を効率化するポイントを解説する。

企業法務総合

リモートインハウス活用術②
新サービスのリーガルチェック
遠藤千尋

本稿では,新サービスのリーガルチェックにリモートインハウスサービスを活用するポイントを解説する。新サービスのリーガルチェックは,単純な契約書レビューと比較すると,より深いビジネススキームの理解や,提示されていない事実から推測して事業部門に質問する力等,法務としての総合力が問われる。社内法務だけでなくリモートインハウスサービスの担当者もアサインすることで,より多角的かつ柔軟な対応が可能となる。

企業法務総合 テクノロジー・AI

テック導入による法務受託の効率化
藥師神豪祐・諏訪 匠

法務受託は,正社員と同様の稼働を行うが,稼働時間に上限がある点が正社員とは大きく異なる。そのため,業務を徹底的に効率化し,業務の質やスピードを維持・向上する必要がある。また,手元の案件に注力するのみならず,法務ナレッジを社内に蓄積することも重要である。これらの課題を解決するために,法務受託提供側はさまざまな工夫を行っているが,とりわけリーガルテックの導入はメリットが大きい。

企業法務総合

リモートインハウス活用術③
リーガルリサーチ
植村直輝

企業の法務担当者には,日常業務ではなじみのない法令のリーガルチェックが必要となる場面がしばしばある。しかし,不案内な未知の法律のリサーチは,前提知識がなく,かつ全体像も見えないため,何を調査すればよいかわからなかったり,調査してもそれで十分か不安が残ったりすることも多い。本稿では,このような法務担当者の悩みを解決するために,リモートインハウスが提供するサポート内容について説明する。

企業法務総合 国際

リモートインハウス活用術④
対外・対日進出法務対応
石原尚子

対外進出時における海外事業対応や外資系企業における日本事業対応では,常駐の法務を要するだけの業務量の有無が不確かということもあり,ヘッドカウントの確保も難しい。採用する場合にも適切な人材の確保には時間を要する。本稿では,そのようなビジネスの発展に伴って担当法務がゼロからイチに発展する段階,つまり「ゼロイチ法務」としてのリモートインハウスの利活用について紹介する。

企業法務総合

法務受託と債権回収の併用可能性
藥師神豪祐・諏訪 匠

法務受託においては,担当者は正社員と同様に業務を行い,稼働時間に応じた報酬体系が設定される。他方で,債権回収は代理人への委任であり,成功報酬型の報酬体系となる。債権回収の依頼先に法務受託の追加依頼を行うことが有益であるケースは少なくないが,稼働時間に応じて費用が発生する法務受託の枠組みのなかで債権回収を依頼することは望ましくない。

企業法務総合

(座談会)先駆者が語るリモートインハウスの使い勝手
遠藤千尋(司会)・石原尚子・藥師神豪祐

コロナ禍を機に広まった新しいリーガルサービスであるリモートインハウス(法務受託)。外部でありながら気軽にアクセスできる存在は,今までになかった身近でクライアントに寄り添う法律事務所を実現している。その特色と企業にとっての使い勝手について,リモートインハウスに積極的に取り組む3人の弁護士がざっくばらんに語る。

座談会
生成AIと著作権を検討する
――「AIと著作権に関する考え方について」と今後の展望
Ⅰ はじめに――わが国における議論の現在地
Ⅱ 著作権法30条の4と情報解析
Ⅲ 著作権法30条の4とスタイル生成
Ⅳ 著作権法30条の4と記事データベース・スクレイピング
Ⅴ 著作権法47条の5と検索
Ⅵ 生成AIと出力
Ⅶ 海外の動き
Ⅷ 一般企業が生成AIを活用するにあたって
Ⅸ おわりに――今後の展望

【上野達弘(司会)/梅田康宏/竹内 敏/福井健策/古川直裕】
地平線
M&A実施時に求められるDDの「深度」
――人権・ESGの視点とパラダイム変化
M&A

森 幹晴

M&A実行時に求められるデュー・デリジェンス(以下「DD」という)の「深度」にパラダイム変化が訪れるかもしれない。人権やESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から,近年の世の中の変化を概観する。

Trend Eye
スマホソフトウェア競争促進法の成立と今後の展望
競争法・独禁法

渥美雅之・渡邊隆之

2024年6月12日,「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案」が参議院本会議にて可決され,同法(以下「本法」といい,本稿で指摘する条文は本法を指す)が成立した。近く公布され,今後,公布の日から起算して1年6月以内に施行されることになる。

特集2
デジタルマーケティングの法律入門
近年,企業の広告宣伝におけるデジタルマーケティングの重要性が高まっています。法務にとっては,顧客情報をはじめとするデータを取り扱うにあたって,個人情報保護法や電気通信事業法などの遵守が求められます。 データの利活用においては「Cookieレス時代」の到来も見込まれ,新たな実務が芽吹いています。
本特集では,主に個人情報・プライバシーの論点を中心に,法務が知っておきたいデジタルマーケティングの基礎を解説します。社内のマーケティング担当者からの相談にも答えられるよう,ここで押さえておきましょう!
情報法

デジタルマーケティングをめぐる最新動向と法的留意点
鈴木翔平

企業におけるデジタルマーケティングの重要性はいっそう高まっているが,その手法は多様かつ複雑であり,関連する法令や法的リスクも多岐にわたる。本稿では,デジタルマーケティングに関する最新動向をふまえて,個人情報・プライバシーの問題を中心に,法務部門が留意すべき事項を概観する。

情報法

Cookieレス時代のインターネット広告と個人情報保護
角川正憲

Apple社,Google社をはじめとするプラットフォーマー,国内外のデータ保護法の規制に伴い,Cookieを活用したマーケティングの制限が加速している。本稿では,Cookieの仕組みや規制の背景を説明し,Cookieを用いずに同等の目的を達成するための代替ソリューションを活用する場合の留意点について解説を試みる。

情報法

法務部のためのマーケティング・ケーススタディ
内田泰裕

当社のマーケティング部門では,さまざまな情報を収集・分析し,消費者の興味関心の把握,商品開発・改善や販売促進に活用している。しかし,個人情報保護法をはじめとした国内・国外の規制は複雑になってきており,法務部として気をつけるべき規制も多岐にわたっているのが現状である。本稿では,法務部がマーケティング部門から相談を受けることの多い事例とその対応について紹介する。

情報法

デジタルマーケティングにおけるデータ利活用の留意点
――個人情報保護法,電気通信事業法への対応
日置巴美

デジタルマーケティングにおけるデータ利活用は,ECサイトに付随して行うもの,これに組み込まれるCookieその他の情報収集モジュール(以下「Cookie等」という)を活用するもののみならず,サイバー空間のデータとフィジカル空間のデータを掛け合わせて行われるものもある。また,他社サイトへの広告出稿や係る広告をクリックした場合の自社ECサイトへの誘導とそこから得られるデータ利活用や,他社での行動・閲覧履歴等を単に取得しての利活用もある。突合・集積,分析,アプローチ,誘導といった行為が繰り返され,これによってより精度の高いペルソナができ,マーケティングが効果を上げることとなる。
そのような取組みにおいては,パーソナルデータを取り扱うことから個人情報保護法が,また,電気通信役務に関連するために電気通信事業法の対応が要求されうる。本稿では,マーケティング担当者が実務で対応する際の端緒となるよう,近年複雑化する規制について,典型的な場面ごとに説明する。

国際 情報法

デジタルマーケティングに関する欧米の個人情報保護規制
――GDPR / ePrivacy指令,CCPA対応
田中浩之・髙橋玲哉

デジタル時代のマーケティングにおいては,個人情報保護の観点から広告に適用されうる規制への留意が必要不可欠である。そのうえで,従来のCookie(クッキー)を用いた広告手法の適切性,さらに到来しつつある,クッキーを利用しない「ポストクッキー時代」においてデータ利活用をどのように図るか,国内外を問わずデータが取り扱われる状況においては,欧州や米国といった主要国の個人情報保護規制をふまえた対応が求められる。

実務解説
令和6年育児・介護休業法改正の要点
――育児・介護と仕事の両立支援制度の拡充
労働法

樋口陽亮

2024年5月24日,育児・介護休業法等を改正する法律(以下「本改正法」という)が,参院本会議で賛成多数で可決,成立した。本改正法の施行は,2025年4月1日から順次予定されている。本稿では,本改正法の概要と実務対応のポイントについて解説する。

税務

令和6年改正産業競争力強化法の要点
――中堅企業関連措置,ストックオプション・プールの整備
池田宣大

令和6(2024)年5月に成立した改正産業競争力強化法では,中堅企業に関連する税制優遇や,ストックオプション・プールの整備など,実務上の関心の高い内容が複数含まれている。

消費者関連法

令和5年改正景品表示法の要点
――確約手続の導入を中心に
木川和広

令和5(2023)年5月に不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」という)の改正法が成立し,2024年10月1日に施行される。改正点としては,以下の7項目である。
① 確約手続の導入
② 課徴金制度における返金方法の弾力化
③ 課徴金額の推計規定の新設
④ 再違反事業者に対する課徴金の割増し規定の新設
⑤ 不当表示に対する直接の刑事罰の新設
⑥ 国際的な法執行に関する規定の整備
⑦ 適格消費者団体による開示要請規定の導入
本稿では,事業者の関心の高い①から⑤に絞って,制度の概要と実務的な展望を解説することとしたい。

コンプライアンス

政治資金規正法改正の要点
――政治資金の収支の公開と国会議員の責任
今泉憲人

2024年6月19日,改正政治資金規正法(以下「改正法」という)が参議院本会議において賛成多数で可決され,成立した。改正法の大部分は,2026年1月1日に施行される。本稿では,政治資金規正法の概要や政治資金問題の解説をふまえつつ,改正法を詳説し,最後に今後の企業としてのかかわり方についてもあ論じる。

情報法

「秘密情報の保護ハンドブック」「限定提供データに関する指針」の改訂に伴う実務上の留意点
千賀福太郎

社会経済情勢の変化や関連法令の改正を契機として,「秘密情報の保護ハンドブック」および「限定提供データに関する指針」が2024年2月に改訂された。これらの改訂内容を概観するとともに,改訂および近年の動向をふまえた秘密情報の保護のあり方について実務上の留意点を解説する。

国際 テクノロジー・AI

AI技術の台頭に伴う誤情報・偽情報リスクの現在地
白石和泰・古西桜子・國井耕太郎

AI(人工知能)技術の台頭に伴い,悪意を持つ者による誤情報・偽情報のリスクが増加している。本稿では,高度化したAIの利活用におけるリスク情報の把握について,「認知戦」・「情報戦」の側面もふまえて解説する。

労働法 国際

海外へ人を「送る」際の労務上の留意点(下)
松下佳南子

下編では英国,オーストラリア,中国の基本的労働法制について,労働時間等の労働条件およびハラスメント関連を中心に解説する。

連載
【新連載】
失敗事例から学ぶ「ナレッジ・マネジメント」
第1回 なぜ,ナレッジ・マネジメントは失敗するのか
企業法務総合

奥村友宏

「ナレッジ・マネジメント」――多くの組織において課題として認識され,取り組まれながらも,多くの挫折がある分野であろう。なぜ,ナレッジ・マネジメントは失敗するのか。本連載では,さまざまな視点の事例を通じて,ナレッジ・マネジメントの失敗の背景に迫っていく。

企業法務総合 競争法・独禁法

【新連載】
いま知りたい! 食品業界の法律
第1回 産地偽装問題と企業の対応
渡辺大祐・森 大輝・水村優太

事業者の規模を問わず,食品に関する不祥事や事件は昔から多い。また,2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の1つ(12番)に「つくる責任 つかう責任」との項目があるが,食品ロス(食ロス)削減はこの目標に直結するものであり,事業者・消費者の関心は非常に高いものである。
食品はすべての国民生活に関係する(欠かせない)ものであり,上記に挙げた事情も含め,食品業界は特に注目度が高い業界であるといえる。そこで,本連載は食品業界に関する近時の動向・事案をふまえたうえで,それに関連する法律(食品関係の法律)を解説し,実務上重要となる点を押さえていく。

企業法務総合

LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所 編

2024年5月・6月の法務ニュースを掲載。

■政府,第六次環境基本計画を閣議決定
■危機管理EU,「コーポレート・サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)」を制定
■公取委,「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」の改正を公表
■金融庁,「金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令」等の改正(案)を公表
■規制改革推進会議,スタートアップの資金調達の活性化を含む「規制改革推進に関する答申~利用者起点の社会変革~」を公表
■東証等,「上場審査に関するFAQ集」を公表
■公取委,特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の施行に伴う関係政令等を公表
■政府知的財産戦略本部,「知的財産推進計画2024」を決定・公表
■政府知的財産戦略本部,「新たなクールジャパン戦略」を策定・公表
■金融庁,「金融・資産運用特区実現パッケージ」を公表
■環境省,令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書を公表
■「事業性融資の推進等に関する法律」が成立
■消費者庁,ステマ規制に関する措置命令第1号事案を公表
■「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」が成立
■金融庁,「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」を公表
■金融庁,「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正を公表
■「育成就労」制度を創設する改正出入国管理法等が公布

ほか

会社法

最新判例アンテナ
第74回 株券の発行前にした株券発行会社の株式の譲渡は,譲渡当事者間においては,株券の交付がないことをもってその効力が否定されることはないとした事例(最判令6. 4.19裁判所ウェブサイト等)
三笘 裕・高井志穂

株券発行会社である公開会社ではない訴外甲社の設立時発行株式(本件株式1)を引き受けたY1社から訴外Aに本件株式1が譲渡され,また,訴外甲社の募集株式(本件株式2)を引き受けたY2から訴外B,訴外Bから訴外Cに本件株式2が譲渡された。いずれの譲渡についても,訴外甲社取締役会の譲渡承認決議が行われている。訴外甲社は株券発行会社でありながら,設立以来,株券を発行したことがなかったため,訴外Aおよび訴外Cが,債権者代位権に基づき,Y1社およびY2の訴外甲社に対する株券発行請求権をそれぞれ行使し,株券の交付を受けた。

サステナビリティ・人権 M&A

「周辺学」で差がつくM&A
最終回 M&Aとサステナビリティ・ESG
山本晃久・渡邉貴久・益田美佳・ 中久保菜穂

近年,サステナビリティ・ESG(環境,社会,ガバナンス)における関心の高まりや規制強化等の動向を受け,M&Aを検討・実施する際にも,買収対象会社の選定やスクリーニング,DDや契約交渉,M&A後のPMIに至るまで,M&Aの全過程において,ESGの観点からの検討や対応の必要性が高まっている。一口にESGといっても,その内容は多岐にわたり,また,企業の業種・規模・地域的な要因等によっても検討すべき事項は異なるが,今回は,特に多国籍企業を買収する案件で留意すべき事項に触れる。

企業法務総合

悔しさを糧に――学べば開ける☆
第6話 運動会の徒競走で2年連続転んだ人がいる?
木山泰嗣

令和時代の現在は,5月から6月が学校の運動会の多い時期でしょうか。わたしが小学生のころは,春の運動会と秋の運動会と2回も運動会がありました。いま思うと,不思議な実施回数ですよね。でも,小学生的にはイベントが多いことが,楽しみでした。

企業法務総合

ライアン・ゴールドスティンの"勝てる"交渉術
第6回 弁護士のように話してはならない
――言葉は量より質で勝負
ライアン・ゴールドスティン

私は大学の法学部や法科大学院で教鞭をとることがある。弁護士にならなければ教師になりたかった私にとって,学生たちに自分の知識や経験を伝えることは「別の人生」を疑似体験しているようなもので,非常に楽しい。熱心に耳を傾ける学生たちに少しでもわかりやすく法務の楽しさを教えようと,日頃から日本語の語彙力を鍛えている。若い世代が使う言葉も少しは覚えて使ってみるものの,それが笑いを買ってしまうこともあるし,若い時の恥ずかしい失敗談も話すから,「ライアン先生はホントに弁護士なの⁉」と笑いが沸き起こる。
そんなとき,私はとてもうれしくなるのだ。なぜなら,「弁護士らしくない」私の一番の褒め言葉だからである。今回は言葉の力と口数について考える。

会社法

「株式法務」最新Q&A――株主総会,コーポレート・ガバナンスの現場対応
第4回 監査等委員会設置会社への移行に伴う現場対応
飯塚 元・西口阿里沙

 X社は,今般,監査等委員会設置会社への移行を検討しているが,以下のガバナンスを構築するにあたり,留意しておくべき事項としてはどのような点が考えられるか?

①機関投資家の議決権行使基準をふまえた実務上の対応
②補欠の監査等委員の候補者

知財

事業展開×知財×法務
第2回 他社と共同で新規事業を展開する際の盲点
笹本 摂・佐藤武史・今 智司

第1回は自社のみで事業展開する場合に念頭に置くべき点について解説した。しかし,サプライチェーンのすべてを自社単独で担っているのであればともかく,ほとんどの商品・サービスのサプライチェーンにおいては,他社もなかば必然的にかかわってくることが実情である。そこで,第2回では,事業展開を自社のみではなく,他社との共同で行う場合に法務担当者が念頭に置くべき点について解説する。

企業法務総合

PICK UP 法律実務書
『法律文章読本』
柴田堅太郎

本書は某「短文SNS」において法務関係者の間で話題沸騰となった,白石忠志教授による法律文章に関する指南書である。2022 年に一新された「公用文作成の考え方」の解説にとどまらず,読み手に伝わる法律文章のあり方を説くものであり,法務関係者としては必読の一冊であり,また契約書をはじめとする法律文書起案の際に座右に置くべき一冊である。

労働法

労務コンプライアンス最前線
――働き方改革2.0に向けて
第3回 脳心疾患,精神障害の労災認定基準改正
岩出 誠

心理的負荷による精神障害について,厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月26日基発1226第1号等。以下「旧精神基準」という)に基づき労災認定が行われてきたが,裁判例でも同基準より柔軟に労災認定する動きもあり,同基準が改正された(「心理的負荷による精神障害の認定基準」令和5年9月1日基発0901第2号。以下「改正精神基準」という)。同基準は即日施行されている。
これに伴い「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」(令和3年9月14日基発0914第1号)も改正されている(令和5年10月18日基発1018第1号。以下「改正脳心基準」という)。
脳心疾患や精神障害等の労災認定が増えるなかで,企業としては従業員に対する安全配慮義務および社会的責任・リスク回避の観点から,"予防策"が重要になってきている。本稿では,改正脳心基準と改正精神基準の変更点と実務対応上の留意点について解説する。

国際 争訟・紛争解決

ストーリーでわかる 国際仲裁の基本
第4回 国際仲裁における証拠開示手続
伊藤 遼・魚住 遼

【前回までのあらすじ】
日本の化学品メーカーである甲社は,米国の化学品メーカーである乙社から,乙社の日本子会社であった丙社の発行済株式すべてを譲り受けた。しかし,株式譲渡実行後,丙社の工場敷地内に特定有害物質が含まれていることが判明したため,2024年4月,甲社は,日本商事仲裁協会(JCAA)に対して,乙社を相手方とし,表明保証違反を理由とする補償請求を申し立てた。
仲裁廷が成立した後,仲裁廷は,当事者の意見をふまえ審理予定表を策定した。その後,審理予定表に基づき,申立人および被申立人がそれぞれ1回目の主張書面および証拠の提出を行った。

企業法務総合

いまでも覚えています あの人の「法務格言」
第12回 「ややこしいこと大好き」
松井さやか

法務という仕事では避けて通れない,ややこしくてどうしようもない状況――そんな状況を乗り越えるための魔法の言葉を紹介します。

特別収録
ビジネス実務法務検定試験® 3級演習問題
企業法務総合