雑誌詳細

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2024年6月号

2024年4月19日発売号   1,800 円(税込)

特集1

債権管理の「トレンド・基礎・実践」

特集2

テーマ別 最新「ソフトロー」事典

特別企画

インハウスにスポットライトを!
JILAアワード受賞者が語る 企業法務のベストプラクティス

特集1
債権管理の「トレンド・基礎・実践」
現在,倒産企業の増加傾向が顕著になっています。東京商工リサーチによると,2023年の全国の企業倒産は8,690件(「新型コロナウイルス」関連倒産は3,127件)であり,2024年の企業倒産が1万件を超える可能性も指摘されています。一方で,近年は倒産件数が減少傾向にあったため,債権管理実務から遠ざかっていた方も多いのではないでしょうか。
そこで,債権管理実務における近日のトレンドや基礎知識,そして実務上での実践ポイントについて取り上げます。AI技術の導入まで,知識をいまこそアップデートしましょう。
企業法務総合

債権管理・回収のトレンド
大川 治

2008年以降,企業倒産件数は減少傾向にあったが,2022年以降,全国企業倒産件数は明らかに増加件数にある。筆者の所属する法律事務所においても,事業再生・倒産,債権保全・回収に関係する案件数が増加しており,肌感覚で,潮目が変わったと感じている。長きにわたる倒産件数の減少により,各企業において,債権保全・回収を経験したことがない担当者が増えているなか,リスク管理の観点で,債権管理・回収の基礎知識や契約や担保での保全の工夫,ケーススタディをふまえた債権回収のシミュレーション,新たな債権管理手法等について,検討・点検しておく必要性が高い。これらの具体的なテーマについては本特集の各稿に譲るとして,本稿では債権管理・回収の近時のトレンド,留意点を説明する。

企業法務総合 民法・PL法等

契約書レビューの前提となる民法の基礎知識
森 瑛史・上杉将文

債権管理回収の局面において,契約書が作成されているのか,作成されているとしてどのような条項が置かれているのかという点は非常に重要である。契約書を作成し,債権回収に有益な条項を検討するにあたっては,前提となる関係法規がどのようなルールを定めているのかを理解しておく必要がある。そのため,ここでは基準法である民法を対象に契約書の作成,検討の観点から必要となる主要な用語等について解説を試みる。

企業法務総合

債権回収円滑化を実現する契約書レビューのポイント
森 瑛史・上杉将文

債務者が契約内容どおりの履行をしないといった債権回収の局面において,当該状況が発生してから対応を検討するようでは,債務者の財産の有無・所在が不明である,またはすでに散逸している等,満足を得られない可能性がある。そのため,契約書を取り交わす段階から,事前に債権管理や回収を見据えた条項を検討しておく必要がある。本稿においては,債権者にとって債権管理回収の側面で有益と思われる条項例とともにその紹介を試みる。

企業法務総合 争訟・紛争解決

ケース別 有事における自社債権「回収」最大化の要点
渡邊 徹・山口聡子

債務不履行やその他の契約違反という状況まではないものの取引先に信用不安が生じた場合,実際に取引先が支払い等の債務の履行を怠った場合,取引先が,破産,民事再生や私的整理等の倒産処理手続を行うことが判明した場合等,それぞれの有事の場面において自社の債権を最大限に回収するには,どのように対応すべきであろうか。本稿では,各場面において,検討すべき事項やとりうる具体的な方策を整理し,解説する。
なお,本稿では,誌面の制約上,日本国内においての債権回収を念頭に解説を行うが,海外取引においては,執行の観点等,本稿記載の観点とは別の観点からも対応が必要となりえるので,留意されたい。

企業法務総合 国際

海外債権の実務管理
――コモン・ローとシビル・ローの相違点
栗田哲郎

信用取引を日常的に行うビジネスでは,債権管理を適切に行わなければならないのは言うまでもない。ただし,文化も言葉も法律も違う海外において債権管理を行うことは,日本企業のみならず海外企業にとって常に課題である。本稿では,東南アジアの債権回収を中心に,海外での債権管理の実務を紹介する。

企業法務総合 テクノロジー・AI

債権管理システム整備とAI審査モデル
尾木研三

近年,信用(デフォルト)リスクを評価するAIが注目されている。技術革新の進展によって,住宅ローンや教育ローンなどの分野では,人手を介さずにAIで融資の判断を行う商品も増えてきた。AI審査モデルと呼ばれるこの技術は,融資した後のデフォルトの予兆管理やデフォルト後の債権回収率の予測など,債権管理システム整備にも応用可能な技術として期待されている。

地平線
法を学んだ者に見える世界
企業法務総合

東澤 靖

「法」を学んだ者とそうでない者。その違いはなんだろうか。

Trend eye
パブリックドメイン作品との付き合い方
――ミッキーマウスを題材に
知財

野瀬健悟

昨年は,1928年に公開された「蒸気船ウィリー」に登場するミッキーマウス(以下「オリジナルミッキー」という)の米国著作権の保護期間が切れて,2024年1月1日からパブリックドメインになることが大きな話題となった。パブリックドメインとは,著作権が消滅し,誰でも無許諾で自由に利用できるようになった著作物をいうところ,このニュースと時期を同じくして,「蒸気船ウィリー」のカートゥーンに酷似した世界観でネズミのキャラクター同士が撃ち合うシューティングゲームや,オリジナルミッキーを彷彿とさせるモンスターが登場するホラー映画の製作発表など,二次利用のニュースが賑わっていた。米国では,オリジナルミッキーの著作権切れが迫った1998年に,法人著作権の保護期間を発行後95年に延長する法改正が行われ,これにはディズニー社による強力なロビイングの影響もあり「ミッキーマウス保護法」などとも揶揄されていたから,昨年のお祭り騒ぎともいうべき状況は,そうした経緯の反動なのかもしれない。

Lawの論点
事業譲渡における商号続用責任と債務引受広告の留意点
会社法

山下眞弘

事業譲渡に伴い譲渡会社Aの商号を譲受会社Bが続用すると,A社の債権者Cに対しB社も責任を負うことになるが(会社法22条1項),その理由は何か。商号を続用しない場合でも,B社が債務引受広告をすれば,CはB社に対して弁済の請求をすることができる(同23条1項)が,この債務引受広告の方法と内容はどのようなものか。詐害事業譲渡に関する会社法23条の2が追加されたことで,22条は不要となったとする声も一部にはあるが,同条は実務界で十分機能しており,当面これは維持されるべきではないか。

特集2
テーマ別 最新「ソフトロー」事典
わが国では,ハードローのほかにも多種多様なソフトローが公表されています。実際に,ある分野について検討する際に,当該分野を規律するハードローに加えて,各省庁そして団体から公表されている複数のソフトローを参照しなければならない機会も多いことでしょう。
そこで,本特集ではソフトローを5つの分野別に総ざらいします。いずれも大変重要なソフトローばかり,まさに「事典」を眺めるようにチェックしてみましょう。
企業法務総合 会社法

コーポレート・ガバナンス
緑川芳江

日本のコーポレート・ガバナンスは急速に進化を遂げ,海外からの日本企業に対する評価も高まっている。ソフトローによる要請のうち,2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂で盛り込まれた点を中心に取り上げ,上場企業の行動に影響を与える議決権行使基準にも触れる。

M&A

M&A
辻 勝吾・豊島 諒

昨今,M&Aの分野においては,「公正なM&A」「望ましい買収」のあり方に関する議論が活発となっている。かかる議論の文脈において,経済産業省が策定した「公正なM&Aの在り方に関する指針」と「企業買収における行動指針」は,特に上場会社を対象会社とするM&Aにおいて,実務上の重要性がきわめて高いと考えられるため,本稿においてもこれらの指針を中心に取り上げる。その他,中小企業・スタートアップ企業を対象会社とするM&Aや,M&Aに関わる各種法令に関連するソフトローも多数存在することから,主要なものを簡単に紹介する。

知財

知的財産分野
松田誠司

知的財産分野において,各法令のほか「特許・実用新案審査基準」その他各省庁が公表する各基準が重要であることはいうまでもないが,企業における知財実務を行うにあたっては,これらのほか各種ガイドラインその他のソフトローを参照することが不可欠である。本稿では,知財のなかでも産業財産権およびデータに関するものを取り扱う場面を念頭に,実務上重要なガイドラインをいくつか挙げておく。なお,著作権分野および農水分野においても多くのガイドラインが公表されているため,適宜参照されたい。

競争法・独禁法

独占禁止法
渥美雅之・渡邊隆之

公正取引委員会は,さまざまな業界分野に対して実態調査を行い,独占禁止法あるいは競争政策上の考え方を明らかにすることで,実社会における経済活動に影響を与えてきた。近年では,社名公表を伴う調査が行われるなど,課徴金や排除措置命令といった本来的なエンフォースメントによらない"執行力"を強めている。本稿では,独占禁止法におけるソフトローが何を示し,社会にどのような変化をもたらしたのかを概観し,ソフトローに対する事業者としての向き合い方を示す。

コンプライアンス サステナビリティ・人権

コンプライアンス・ESG/SDGs
坂尾佑平

コンプライアンス違反により企業がダメージを被った事例,不祥事対応の失敗により企業が危機的状況に陥った事例,ESG/SDGsの観点を軽視した企業が社会的非難を浴びた事例等が大々的に報じられており,コンプライアンス・ESG/SDGsが企業にとって重要なテーマであることは明らかである。このような時代のもと,各分野のソフトローを理解し,適切な取組みを進めることは,企業価値の維持・向上のために非常に重要である。

特別企画
インハウスにスポットライトを!
JILAアワード受賞者が語る 企業法務のベストプラクティス
2024年1月,日本組織内弁護士協会(JILA)が主催する「JILAインハウス・リーガル・アワード」の第1回表彰式が開催されました。優れた取組みを行うインハウス弁護士およびその所属団体を称える本アワードは,団体賞・インハウス賞・特別賞の3部門において,ベストプレイヤーを選出。近年,インハウス弁護士の活躍が顕著なものとなり,その仕事術に学ぶべき点も多いです。
ここでは,本アワードの受賞者が考える「企業法務のベストプラクティス」を,テンポよくコラム形式でお届けします。先駆者たちのメッセージは"グッとくる"ものばかり。楽しみながら読み進めてください!
企業法務総合

JILAアワード創設の意義
坂本英之(ジブラルタ生命保険株式会社)

JILAは,組織内弁護士および企業等の法務部門を対象としたアワードを2023年に創設した。本アワードには数多くの企業および組織内弁護士から応募があり,このなかから特に優れた実績を挙げた企業等に賞を授与した。本特集により,受賞者のベストプラクティスを共有したい。

企業法務総合

自分が別の会社で通用しなくなるのではという不安
渡部友一郎(Airbnb)

20代のころ,閉じた会社ではなく,会社外で賞を受賞している人が輝いて見えた。本稿では,「自分が別の会社で通用しなくなるのでは」という(私を含めた誰にでも共通する)不安を前提に,私の脆弱性と「30代/10年間の計画」への集中を紹介したい。

企業法務総合

「何にでも染まる」が光る場所
星澤みな(バイエルホールディング株式会社)

「芯のない,何にでも染まる」タイプの弁護士でも,「新しいチャレンジを楽しむ心」さえあれば,インハウスとして十分活躍できる。弁護士として一見ネガティブに思える特徴を生かすための,私なりの心構えを記載する。

企業法務総合

ReactiveからProactiveな法務へ
田中聡美(日本アイ・ビー・エム株式会社)

このたび,ありがたいことにインハウス賞(紛争解決部門)を受賞した。本稿では,Reactiveな性格の私が,Proactiveな法務に舵を切ることになった背景やその意義を紹介したい。

企業法務総合

ビジネスパートナーになるために
――イノベーションの推進と思考の多様性
小泉宏文(株式会社LIXIL)

LIXILは,JILAインハウス・リーガル・アワードにおいて,企業内弁護士の活躍度,イノベーション,ガバナンスおよびリーダーシップの4部門で団体賞をいただいた。当社法務部の取組みが高く評価されたことを非常にうれしく思う。本稿では,誌面の都合上,上記4部門のうち,企業内弁護士(弁護士資格者に限らず法務部員)の活躍とイノベーションに関する当社の取組みを紹介する。

企業法務総合

「めざせ世界一!」を実現するチームづくり
金子順事(福岡ソフトバンクホークス株式会社)

選考委員の皆さまからは,経営にとって不可欠な貢献,コンプライアンスの積極的な取組みなど,さまざまな観点からあたたかいお言葉をいただいた。小規模であろうと,地方であろうと,法務の役割・期待が減少するわけではない。その期待に少しでも応えるために,ホークスで大事にしていることは......。

企業法務総合

経営改革における法務部門の役割
今仲 翔(株式会社メドレー)

医療ヘルスケア事業を展開する株式会社メドレーでは,ベンチャー出身の上場企業という特性もあり,グローバル企業を参考に機動的に経営体制やグループ・ガバナンス・システムの改革を実施している。そのなかで法務部門がどのような役割を果たしているかを紹介する。

企業法務総合

法的専門性を強みに経営に参画
佐々木英靖・佐川雄規(パナソニック ホールディングス株式会社)

パナソニックは,多様な事業を営むコングロマリットである。各2~4,000億円程度の売上高の事業部が40弱存在し,主な事業だけでも,B2Cの家電・住宅設備・AV機器,B2Bの車載電池・電子部品・車載システム,B2BとB2Cにまたがる空質空調・電気設備など,向き合う業界・地域も多岐にわたる。

企業法務総合

One Global Legalの組織づくり
本間隆浩(ルネサス エレクトロニクス株式会社)

日立・三菱電機・NECの半導体事業が母体となって2010年に設立されたルネサス。2010年代前半の経営危機後の構造改革と積極的な海外企業の買収により,グローバルな多国籍企業へと変革を遂げ,さらなる成長を目指している。本稿では変革・成長を続けるルネサスにおける法務の役割と取組みについて紹介したい。

企業法務総合

消費者庁での経験をキャリアに生かす
小田典靖・兼高淑江・蜂須明日香(消費者庁)

このたび,消費者庁が特別賞を受賞したことをふまえ,消費者庁職員の一員として,消費者庁における業務内容について説明させていただきたい。

実務解説
2024年の最新動向
株主の関心トピックスにみる総会直前対策
企業法務総合

磯野真宇

株主総会の来場者数はコロナ禍以前に比し低い水準にとどまっているものの,個人株主を中心とする一般株主による質問は増加しており,コロナ禍以前の水準を回復しつつある。本稿では,本年総会のトピックスを概観するとともに,来場者の多数を占める個人株主の興味関心もふまえた想定問答の切り口についても検討したい。

金商法・資金決済法 M&A

解説 公開買付制度・大量保有報告制度等WG報告書
浜田 宰・菊田 淳

2023年12月に,金融審議会の傘下のWGは,公開買付制度と大量保有報告制度の改正と実質株主の確認制度の創設を提言した。その内容は,わが国の資本市場や企業と投資家との対話のあり方に大きな影響を及ぼすものと見込まれる。本稿では,この提言内容の主なポイントを概説し,今後の実務への影響を展望する。

企業法務総合 労働法

ライドシェアをはじめとする規制改革の動向
――自爆営業,労働時間通算管理,株式報酬の改革
木村健太郎

政府の規制改革推進会議は,2023年12月に「規制改革に関する中間答申」を公表した。「ライドシェア」に関する議論が最も注目を浴びているが,他にも,企業実務の観点から,改革に係る議論の進展や実際の規制・制度変更のゆくえについて確認をしておくことが望ましい事項は多い。
本稿では,規制改革推進会議やその公表文書の位置づけを示したのち,中間答申のうち,一般的に注目度が高い事項や,企業法務に携わる観点から重要であると考えられる事項を選択し,中間答申公表後に議論の進展があるものについては可能な範囲でそれを含めて解説をするものである。

企業法務総合

スタートアップ支援のための定款認証の負担軽減
藤田正人

株式会社の設立に際して必要となる,公証人(公証役場)の定款認証手続について,創業環境の改善・スタートアップ支援の観点から,2024年3月以降,新たな3本柱の運用見直しにより,負担軽減・迅速化が図られることになった。
会社設立手続のあり方は,わが国の起業実務・会社法務の理解に必須のものであることから,新たに始まった対応と期待される実務を,筆者の私見を交えて概観したい。

連載
【新連載】
ストーリーでわかる 国際仲裁の基本
第1回 国際仲裁手続における初期対応
国際 争訟・紛争解決

伊藤 遼・魚住 遼

本誌の「ストーリーでわかる 訴訟手続の基本」(2019年10・11月号,2020年1〜11月号)および「ストーリーでわかる 労働審判の基本」(2023年6〜12月号)では,各訴訟手続の流れをストーリーに沿って概観し,手続に係る基礎知識や実務上の留意点について解説する連載を行ったが,本連載は,これまでの連載と同様のコンセプトで,国際仲裁の手続についての解説を行うものである。
本連載も,具体的なストーリーを設定し,その進展を追う形で,国際仲裁の基礎知識や実務上の留意点について解説する。なお,本連載では日本商事仲裁協会(JCAA)の定める商事仲裁規則(2021年版)(以下「JCAA規則」という)にもとづき,日本で行われる国際仲裁の事例をもとに解説するが,国際仲裁の手続の枠組みは,基本的に他の仲裁機関における仲裁規則とも共通する点が多いため,可能な範囲で国際仲裁の手続の共通項を抽出して解説を試みるものとする。

企業法務総合

【新連載】
「株式法務」最新Q&A
――株主総会,コーポレート・ガバナンスの現場対応
第1回 電子提供措置の開始期限に遅れた場合
飯塚 元・西口阿里沙

本連載では,株式実務上注意すべき点を中心に設問を用いながら解説していく。当行では,株主総会,コーポレート・ガバナンスや企業買収に関する株式法務対応を行っており,この点に関する世間の注目度も高い。本連載では,6月総会開催会社が多いことをふまえ,第1回から第3回では,株主総会に関連する設例を用いて解説し,第4回から第6回は,コーポレート・ガバナンスに関連する設例,第7回から第8回では企業買収対応に関連する設例,第9回以降では再び株主総会に関連する設例を取り扱う予定である。

企業法務総合

LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所編

企業法務総合

ライアン・ゴールドスティンの"勝てる"交渉術
第3回 空気を読むなよ,日本企業
――ゴールを据えるマインドセット
ライアン・ゴールドスティン

私は古地図や浮世絵が好きだ。
会議室には江戸の古地図やオフィスのある溜池山王や赤坂を描いた浮世絵を掛けて,今と昔を比べながらクライアントと話すこともある。オフィスにはすごろくの古地図を掛けてあり,これは日本橋から京都までを描いたもので,道中の宿場町の名前もなじみがあるから見ているだけでもおもしろい。 さて,すごろくといえば,賽を振って上がりを目指す遊びだと多くの人が認識しているだろうが,果たしてすごろくの遊び方はそれだけであろうか。今回は,すごろくの遊び方に着想を得て,交渉における「ゴール」を据える際のマインドセットについて考えてみた。

サステナビリティ・人権

サプライチェーンの危機管理対応
最終回 サプライチェーンの危機対応をめぐる情報収集・情報開示
福原あゆみ

本連載では,サプライチェーンで生じた不正事案等に関する危機管理対応の要点について解説を行っている。最終回(第6回)では,サプライチェーンからの情報収集やステークホルダーへの情報開示を中心として解説する。

企業法務総合

最新判例アンテナ
第71回 破産財団に属する株式についての株主の地位にもとづく新株発行無効の訴えは,破産財団に関する訴えに含まれるとして,破産管財人に当事者適格があると判断された事例
(仙台高判令5. 5.25 LEX/DB 25595574)

三笘 裕・畑中弓佳

X1社は,2020年1月27日,破産手続開始決定を受け,X2およびX3(以下X1社とあわせて「Xら」と総称する)が破産管財人に選出された。X1社は,Y社の発行済株式のすべてである100株を保有していた。なお,Y社株式には譲渡制限が付されていた。

テクノロジー・AI

Web3とコンテンツ産業の最新法務
最終回 DAOの活用可能性
本柳祐介・稲垣弘則・田村海人

本稿では,本連載の最終稿として,新たなコミュニティ運営手段として注目を浴びているDAOに焦点を当てる。
具体的には,DAOの本質と現在のDAOの捉え方を解説したうえで,コンテンツ産業においてDAOを活用する際に,どのような活用方法がありうるか,どのような点に留意すべきかについて解説する。

企業法務総合

いまでも覚えています あの人の「法務格言」
第9回 「え,経営判断にディスクレーマー?」
佐々木英靖

法律事務所から職を転じたばかりで,インハウスとしてはまだ駆け出しだったころ。とあるM&Aのプロジェクト会議で法務としてのコメントを求められたときのことでした。断定的なコメントをするには,プロジェクトの事務局からインプットされた情報に不足があったため,その旨を指摘し,前提を置いてのコメントをしたことがありました。そのとき,プロジェクトのリーダーから間髪を入れずに,「必要な情報があれば,自分で汗をかいて取りにいけ!」と指導されました。もちろん,その場では,こちらとしてはこちらの言い分を伝えはしたわけですが,インハウスとしての自らの働き方を形づくっていくうえで大きなひと言になっています。

企業法務総合

Introduction 宇宙ビジネス
第9回 宇宙旅行ビジネスに関する法規制
――海外における法整備状況と宇宙活動法改正への期待(後編)
稲垣 航・松宮 慎

本稿では,サブオービタル飛行に係る海外における法整備状況を紹介し,わが国における先進的なサブオービタル飛行の事業化の実現に資する法整備のあり方を考えていきたい。

テクノロジー・AI コンプライアンス

不正調査実務とフォレンジック
第3回 機密情報漏えい
寺門峻佑・松岡 亮

機密情報の漏えい事案が増加傾向にあることをふまえ,漏えい事案の類型ごとの事前対策と事後の証拠収集方法を紹介する。また,証拠収集方法として重要なデジタルフォレンジックの基礎知識についても解説する。

企業法務総合

悔しさを糧に――学べば開ける☆
第3話 『ダンス・ダンス・ダンス』を語れるほどに......
木山泰嗣

外資系の会議なら,あなたはクビです。先輩の弁護士が主担当をしていた裁判の会議が終わったときでした。

テクノロジー・AI

AIガバナンス相談室
第4回 開発事業者編①
岡田 淳・羽深宏樹・飯野悠介・ 佐久間弘明

連載第2回・第3回では,AI利用事業者の目線でのガバナンスについて検討してきた。まさにAI活用の「入口」となるのがこの利用事業者としての取組みとなるが,今後AIによる価値創出を本格化しようという企業は,自社でAIモデルや,モデルを組み込んだサービスを開発・運用していくことになるだろう。自社のデータベースを活用したより高度なサービスを実装するなど,「開発」側に取り組むことの恩恵は大きい。今回と次回は,そうした開発事業者としてのAI活用のためのガバナンスについて検討する。

税務 M&A

「周辺学」で差がつくM&A
第7回 税務-税務DD編-
山本晃久・山中啓一郎・八木淑恵

買収対象会社が税務上の問題を抱えていた場合,買主は重大な損害を被る可能性がある。そのため,法務担当者も税務に関する事項を理解し,税務DDで発見されたリスクをM&A契約で適切にカバーすることが重要である。税務DDの対象は多岐にわたるが,今回は,多国籍企業グループを対象とする案件で留意すべき事項に触れる。

特別収録
ビジネス実務法務検定試験®
2級模擬試験問題
企業法務総合