ここは押さえたい!
英文メールの基礎構成と海外送付のマナー
大場英樹
本稿では,「ここは押さえたい! 英文メールの基礎構成と海外送付のマナー」として,英文メールを書くにあたっての基礎とマナー,さらに法務担当者としての注意点をまとめている。新人・若手法務担当者の英文メールに対する悩み・質問にも回答をしたため,ぜひお役立ていただきたい。
場面別 英文メールの文例集
小西かおり
本章では,英文メール本文における表現の具体例を場面別に紹介したい。具体例は拙著『法務で使う英文メール』(中央経済社,2015)からの表現がほとんどであるが,同書執筆時には想定できなかったコロナ禍における働き方改革をふまえ,一部に新フレーズを交えた。できるだけ多くの具体例を紹介するため,説明は最小限とさせていただいた点ご了承いただきたい。
ネイティブの弁護士がアドバイス
伝わる英文メール作成のコツ
内藤央真/ジョーダン・バード/アナ・マダフィリオ/エヴァ・イザックニイムラ
本稿では,当事務所に所属している外国法資格をもつ英語ネイティブの弁護士4名,内藤央真,Eva Izsak-Niimura(ニューヨーク州法・イスラエル法),Jordan Bird (豪州クイーンズランド州法),AnnaMadafiglio(豪州ニューサウスウェールズ州法)がそれぞれの視点から,英語を外国語とする相手からの英文メールによくある間違え・気になる点・修正等に対して,具体的な事例とアドバイスをまとめた。
多忙な外国人弁護士・上司から返事をもらう5つの秘訣
久野なつみ
親近感の湧くメール表現を考える
山崎聡士
英文メール上達の近道はマネること
流通業大手法務部員
そのメール,Privilegedにつき
岡本 厚
炎上事案をもとに考える
ソーシャルメディアガイドライン・ポリシー整備の重要性
柴野相雄
10年ほど前,ソーシャルメディアが悪用され,企業の意図しない投稿による炎上事例が頻発した。しかしながら,DX化が進む現代において,ソーシャルメディア,SNSは,ウェブマーケティングにおける重要なツールの1つであり,企業には積極的な利活用が求められている。本稿では,黎明期を経て,次のステージに向かうソーシャルメディアの利用に関するガイドライン・ポリシーを題材に,炎上回避,対応のポイントを解説する。
ソーシャルメディアガイドライン・ポリシーの
整備・改訂プロセス
結城大輔
日々新たなSNSが登場し,若い世代等による流行が敏感に変化する一方で,企業のソーシャルメディアガイドライン・ポリシーについては,何年も前に制定されたものがそのまま現在も用いられている事例が少なくない。本稿では,ソーシャルメディアガイドライン・ポリシーの整備・改訂に関するリスクマネジメントプロセスのあり方を整理する。
従業員へのソーシャルメディアガイドライン
研修のポイント
重枝義樹
事務所規模に関係なく実践できる
セキュリティ対策の具体的ノウハウ
髙橋喜一
昨今,個人や企業の機密を扱う法律事務所がサイバー攻撃の標的になりつつある。大手法律事務所だけではなく,中小の法律事務所も昨今では攻撃の対象となっており,弁護士のセキュリティ対策は避けて通れない課題である。本稿では,大手のみならず中小規模の事務所においても対策をしていただけるよう,セキュリティ対策の具体的ノウハウを解説する。
急増中のランサムウェアの事例をふまえた
サイバーインシデント発生時の初動対応・再発防止策
山岡裕明/千葉哲也
昨今急増するサイバー攻撃について,法律事務所はもはや無縁ではない。むしろ,直接標的となっていた企業がそのセキュリティレベルを高めるにつれ,セキュリティ対策が遅れている法律事務所は格好の標的となっている。本稿では,サイバーインシデント対応を専門とする筆者らの実務経験をふまえ,昨今急増しているランサムウェアの事例をベースに,その初動対応および再発防止のポイントを紹介する。
民事訴訟記録閲覧制度の問題点をふまえた
訴訟当事者の秘密保護に向けた対策
斎藤悠貴
インターネットの発展は,第三者に知られたくない民事訴訟における当事者の情報がインターネット上に公開されて不利益を被るという問題を生じさせることとなった。本稿では,そのなかでも,民事訴訟記録の閲覧制度に焦点を当て,その制度の概要を確認するとともに,秘密保護のために行い得る対策について検討していく。
第204回通常国会で成立したビジネス関連法律
星 正彦
引き続き新型コロナ対策がなされるなか,第204回通常国会では,令和3年度予算のほか,新規の内閣提出法案63件(他に継続1件)が審議され,ビジネス実務に重要な影響を及ぼす法律が成立した。
「手形」廃止への道のりと残された課題
森田 果
現在のわが国の手形法は,ジュネーブ手形統一法条約(1930年)を国内法化したものである。同条約は,大陸法系の多くの国で批准されているが,その解釈・運用については統一されておらず,それぞれの国に特有の手形法制が発達してきた。
温対法の改正ポイントと脱炭素社会に向けた国内外の動向
荻本和彦
2021年5月26日に「2050年までの『脱炭素社会』の実現」が基本理念として明記された「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律が成立した。本稿では,企業における取組みの本格化に向けた,多角的な視点を紹介する。
政府保有の未公開情報をめぐる 日米インサイダー取引規制
上田真二
本稿は,上記の例を素材に,国会議員が政府の保有する未公開の重要情報5を利用して行う有価証券の取引に対する法規制を扱う。具体的には,まず,アメリカにおける法規制を概観し(Ⅱ),次に,わが国における法規制を確認する(Ⅲ)。それらを整理し,若干の検討を加える(Ⅳ)。
AIによる契約書レビューと弁護士法・弁護士職務基本規程に関する考察
水井 大/角川正憲
本稿は,サービス提供事業者とは離れた中立の立場から,弁護士がAIによる契約書レビュー機能を搭載するサービスを業務上利用することが弁護士法(昭和24年6月10日法律205号)ないし弁護士職務基本規程(会規70号)に抵触する可能性がないか考察したものである。
在宅勤務における「従業員監視」はどこまで許されるか?
川端小織
新型コロナウイルス感染症拡大を受けた在宅勤務の普及に伴い,従業員の勤務する様子が見えなくなり,勤怠管理や人事評価が難しくなったとの声が多く聞かれる。そして,在宅勤務中の従業員を"見える化"しようと,ICT(情報通信技術)を用いた各種モニタリング(監視)ツールの利用を考える企業も多い。そこで,本稿では在宅勤務時におけるICTによるモニタリングの法的問題点を考える。
カメラ画像等の利活用時における企業の対応事項
柴山吉報
AIやIoTの技術の発展に伴い,カメラで撮影した顔画像等を解析して利活用することが一般化している。とりわけ新型コロナウイルス感染症の流行後は,マスク着用確認や混雑状況の把握などの感染症対策のための利用が普及しているが,導入時の緊急性の高さからか,個人情報保護法やプライバシーへの配慮の観点から十分な検討ができていないと思われるケースも散見される。かかる現状をふまえ,カメラ画像等の利活用における留意点を解説する。
フェア・ユース認定をめぐる
Google対Oracle訴訟の最新解説
山本隆司
OracleがGoogleをJava SEの著作権侵害で訴えた訴訟について,2021年4月5日,連邦最高裁は判決を下した。GoogleによるJava SEの申告コードの複製に,フェア・ユースが成立することを認めた。従来のトランスフォーマティブ・ユースの概念に,新たな類型を認めた重要な先例である。
フリーランスガイドラインの概要と取引上の留意事項(上)
――独占禁止法・下請法の視点から
佐川聡洋
内閣官房,公正取引委員会,中小企業庁,厚生労働省は,2021年3月26日に,「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を策定・公表した。本ガイドラインは,事業者とフリーランスの取引について,独占禁止法,下請法,労働関係法令の適用関係を明らかにしたうえで,これらの法令に抵触する問題行為を具体的に明確化しており,フリーランス取引に関する実務上の留意事項を示すものである。
社債への利息制限法の適用がはじめて否定された
最高裁判例と実務への影響
月岡 崇
金銭消費貸借の利息には利息制限法が適用され,同法の制限を超える利息の契約がなされても,その超過部分は無効となる。この利息制限法の制限利率が社債にも適用されるかどうかは長年の議論の的であった。最高裁判所は2021年1月26日,この論点につきおそらくはじめてとなる判断を下し,この事案における社債の利息に対する利息制限法の適用を否定した。この論点に関する従来の議論や下級審裁判例とともに本判決を紹介し,今後の実務への影響を考察する。
改正フランチャイズガイドラインの概要と実務対応
石田 健/西野有紀
公正取引委員会は,コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査の結果をふまえて,2021年4月28日に「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」を改正した。本稿では,改正の概要および留意点を中心に解説する。
日本企業によるSPAC活用の実務と留意点
大久保 涼/加藤嘉孝/長谷川 紘
SPAC(Special Purpose Acquisition Company)の新規上場件数が過去最多となり,2021年も昨年を上回るSPACの新規上場が行われている。一方で,SPACをめぐる環境は米国内外でめまぐるしく変化しており,日本企業がSPACの上場およびSPACによる買収案件に関わる場面も増えてきている。本稿では,SPACの概要および動向を説明するとともに,日本企業の目線からみたSPACに関する上場の実務上の留意点について解説する。
LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所編
新連載 解説動画でらくらくマスター!
新入法務部員が覚えたい契約英単語・表現
第1回 どの契約書でも頻出する英単語
本郷貴裕
本連載では,入社後1年以内にぜひとも習得していただきたい英文契約で頻出する英単語・表現を紹介していきます。初学者の方にも気軽に取り組んでいただけるように,できるだけシンプルな例文を掲載しています。問題編もぜひチャレンジし,解答・解説はビジネス法務公式YouTubeチャンネルをご覧ください。
法務部員が知っておくべき 米中貿易摩擦に関する法令・規制の最新状況
第2回 米国の法令・規制②──2021年6月の最新動向
井口直樹
第2回では、①第1回で言及した2021年2月24日大統領令に基づく「100日レビュー」の結果が報告され, ② 連邦通信委員会(Federal Communications Commission, FCC)が,中国企業を念頭に置きつつ,特定の中国企業製の通信機器に対する安全保障上の懸念を強く表明した。そこで,まずはそれらの直近の展開を概説したうえで,その後に「各論と最新状況」の概説につなげる。
新連載 相談事例をもとにアドバイス コロナ禍におけるメンタル不調への対処術
第1回 長期化する自粛生活や「死」の報道が
メンタルヘルスに与えた影響とは?
ティーペック株式会社 こころのサポート部
2020年から続くコロナ禍で,働く人のメンタルヘルスケアが今まで以上に重要視されています。メンタルヘルス不調にならないためにどうすればいいのか,どのようなことに気をつければよいのかなど,当社に寄せられたメンタルヘルス相談の内容を参考に読み解きます。
インフラクラウドの法律と契約実務
第5回 クラウドサービスの調達・選定における課題
笹沼 穣/矢野敏樹
第5回は,政府や自治体,教育機関や独立行政法人などの公的機関がクラウドを利用するにあたっての調達・選定に関する課題を海外からの学びをふまえて解説していきたい。なお,本記事であげる課題の多くは官民に共通する論点でもある。
法律事務所の図書担当と弁護士が教える リーガル・リサーチ基本の㋖
第2回 法令・判例・文献商用データベースのサービスと機能
中村智子
本連載では,リーガル・リサーチの対象資料,関連するデータベースのご紹介と特徴・利用にあたってのポイントを解説します。法令・判例・文献のリサーチには,パブリック(またはそれに近い)データベースに加え,商用(有料)のデータベースも重要なアイテムです。法令・判例・文献の情報は,各社が総合データベースとして提供しており,それぞれ提供するサービスや収録コンテンツが異なります。第2回は各データベースの主なサービスと機能をご紹介します。
法とことばの近代史
第12回 〈憲法〉
山口亮介
今回は〈憲法〉ということばのもつ意味合いについて,前近代から大日本帝国憲法の成立までの期間を中心として概観していきます。
最新判例アンテナ
第38回 土地売買契約の買主は,土地の引渡しや所有権移転登記手続を求める訴訟の提起等に係る弁護士報酬を債務不履行に基づく損害として売主に請求することはできないとした事例
三笘 裕/楠木崇久
債権法改正 施行後対応の要点
第3回 金銭消費貸借契約
鹿浦大観
変化や問題点等を解説するものである。今般,改正債権法により「書面」でする諾成的消費貸借が新設され,諾成的消費貸借契約を「書面」による要式契約とする法改正がなされた(民法587条の2第1項)。その他旧法下の判例等をふまえ,利息や期限前弁済等に関する規定の整備がなされた。第3回では(金銭)消費貸借契約の改正内容,銀行実務への影響および対応内容として株式会社三井住友銀行の例を紹介する。
株主・株式からみた中小企業M&Aの実務
最終回 その他の問題
横井 伸/下宮麻子/一色翔太/越川裕太
本稿では,株主・株式からみた中小企業M&Aの実務の最終回として,本稿では今までのどの章にも含まれなかったマイナーな論点について取り上げる。
PICK UP 法律実務書
『教養としての「労働法」入門』
髙橋正俊
本書は労働法制についてまったくの初心者ではなく,労働法制についてある程度学んだ経験のある弁護士,社会保険労務士,人事労務に関わるビジネスパーソン向けの本である。本稿では、本書について紹介する。
要件事実・事実認定論の根本的課題──その原点から将来まで
第33回 事業所得・給与所得(付――不動産所得・山林所得・退職所得)
──要件事実論の視点からみた所得税法
伊藤滋夫