雑誌詳細

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2017年7月号

2017年5月20日発売号   1,609円 円(税込)

特集1

AIによる法務の変革
リーガルテックの最前線

特集2

課徴金・罰金対応の実務ポイント

特集1
AIによる法務の変革
リーガルテックの最前線
2045年頃に、AIが人間を超える「シンギュラリティ」がくるかもしれないと言われています。 法務においても例外ではありません。米国の法律事務所ではすでにAIが導入され、日本の法務部でもRPAを活用する動きがあり、テクノロジー改革の波が押し寄せています。テクノロジーの最新動向をキャッチアップし、うまく活用することができれば、人間にしかできない業務に専念し、よりクオリティの高い仕事をすることができます。 本特集では、「リーガル」と「テクノロジー」の現在を紹介し、法律業務に携わる人々の仕事の未来を考えます。
テクノロジー・AI

法律業務とAIの未来
─あなたはAIとどう向き合うのか
上田恵陶奈

アメリカでAI弁護士Rossが実務をはじめたというニュース、また、レポートによって数字に差はありつつも、法律業務の一定部分はAIによる自動化が可能であるとの調査が英米で発表されたとの報道を目にした方も多いだろう。他方で、AIによる自動化は、単純作業のようなルーチンワークから始まるのではないかと考えると、弁護士業務はAIにとって最も難易度の高い対象のひとつであって、AIにそぐわないようにも思われる。本稿では、AIが担える業務をどのように捉えるべきか、野村総合研究所(NRI)の分析結果を手がかりに概説する。

テクノロジー・AI

より早く・正確に! 契約書処理におけるRPAの活用
田中淳一

デジタルレイバーとも呼ばれるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)により、これまでの自動化の取り組みで対象にならなかった業務も低コスト・短期間で自動化することができるようになった。定型的でルールがある反復業務はRPA化することができるため、契約書処理業務においても契約情報と決裁情報の整合や、契約期限管理のための催促業務など、今まで人が実施している業務をそのまま自動化することができる。このデジタル技術をうまく活用することで、法務部門がさらに高度な社内法律事務所の様な存在になっていくことも可能である。

テクノロジー・AI

Interview 徹底したICT活用で効率アップ
法務部のリーガルテック
舟山 聡

当社は「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」を企業ミッションとしています。その企業ミッションを世界中で遂行するに際して、関連する法規制は多岐にわたります。そうした中で、社内の各部門のビジネスにどう貢献するか、いつも考えています。そこで、クラウドを活用した社内外のイントラネットや各種ツール等のリーガルテックを活用しています。

テクノロジー・AI

事件処理・事務所経営で今日から使える!
法律事務所のリーガルテック
髙橋喜一

日本IBM出身の弁護士が、小規模マチベンでもできるテクノロジーの活用方法を紹介する。大別してⅠ事件処理におけるITの活用、Ⅱ事務所経営に関するITの活用という2つの切り口から、弁護士業務の省力化を考える。本稿では「リーガルテック」という用語の定義にはあまり固執せず、私なりの目線で、普通の法律事務所でも簡単に低価格で導入できるITソリューションの活用法について、当事務所の取り組みをベースに紹介していきたい。

テクノロジー・AI

先進6社に聞く リーガルテックの今と未来
弁護士ドットコム株式会社・株式会社FRONTEO・AOSリーガルテック株式会社・株式会社リーガルフロンティア21・株式会社ココペリインキュベート・株式会社ゴールドアイピー

リーガルテックに関するサービスを提供している6社に、自社サービスの紹介と今後の展望について語っていただく。

テクノロジー・AI

法律業務の本質とちょっとミライのはなし
「AIに代替されない法務人材」を目指して
中村 真

近時、ビジネスでAI("Artificial Intelligence=AI")が利用されるようになり、国内外の法務分野や法律実務の現場でも、一部ですでに運用が開始されていると聞く。 AIを活用することで、サービスを提供する側のコスト減とそれに伴うサービス価格の低下が期待できる反面、どうしても気になるのがAIにより代替される業務を担当している者の行く末であろう。そこで、「AIに代替されない法務人材」について、少しばかり私見を述べてみたい。

特集2
課徴金・罰金対応の実務ポイント
企業法務総合

景品表示法─初の課徴金納付命令で見えた判断ポイント
花本浩一郎

消費者庁は、平成29年1月27日、景品表示法に基づく初の課徴金納付命令(三菱自動車工業株式会社に対する4億8、507万円の課徴金の納付命令)を行った。同命令では、課徴金対象期間、主観的要素、「商品」の範囲、自主申告による課徴金の減額、返金措置による課徴金の減額等につき判断がなされており、実務の参考になる。そこで、本稿では、同命令につき解説するとともに、課徴金制度をふまえた実務上の留意点につき述べる。

競争法・独禁法

独占禁止法─裁量型課徴金制度・確約制度導入の影響
鈴木剛志

カルテル等に対して公正取引委員会が課徴金を賦課できることは、社会的にもある程度認知されてきている一方で、課徴金制度の詳細についてはあまり理解されていない場合もあり、これが事業者の対策の漏れにつながっているようにも思われる。裁量型課徴金制度の検討、確約制度の導入が見込まれる中で今一度、課徴金制度を紹介したうえで、若干ではあるが事業者として取るべき対策について意見を述べたい。

会社法

金融商品取引法─証券取引等監視委員会の動向に注目
木目田 裕

金融商品取引法(以下「金商法」ともいう)は、開示規制違反(虚偽有価証券届出書や虚偽有価証券報告書の提出等)および不公正取引(インサイダー取引、相場操縦等)について、刑事罰のほか、行政処分としての課徴金制度を設けている。本稿は、近時の注目すべき動向を交えつつ、金商法の課徴金制度の概要を説明するものである。

競争法・独禁法

海外の独禁法・贈賄法─高額化する課徴金から企業を守る
山田香織・藤田秀人・佐々木裕介

本稿は、特に現時点で海外当局の執行が顕著である、独占禁止法と贈収賄の分野について、課徴金、罰金の執行の現状を紹介するとともに、日本企業の取るべき対策についても、考察を加えることとしたい。

座談会
今、ベンチャー法務がおもしろい!
起業成功の道程とサポーターの役割(上)
企業法務総合

淵邊善彦×菅野健一×津村陽介×斎藤祐馬

今回は、ベンチャー企業をとりまく状況、スタートアップ期の課題をテーマにお送りする。

地平線
変わる独禁法「課徴金制度」改革への期待
競争法・独禁法

岸井大太郎

硬直的な課徴金制度を柔軟化し、事業者の調査協力のインセンティブを高めることを主な内容とする、公取委が開催した独占禁止法研究会の報告書が公表された。これにより、課徴金の国際的整合性を確保し、また、公取委と事業者が協力して事件処理を行う「協力型の法執行」を推進することが目指されている。今後、報告書をふまえた具体的な法改正作業が進められることになるが、ここでは、制度改革の基本的な考え方を述べてみたい。

Trend Eye
「実行計画」決定! 働き方改革の社内検討を急げ
労働法

小鍛冶広道

平成29年3月28日、安倍晋三内閣総理大臣がみずから議長を務める「働き方改革実現会議」が、「働き方改革実行計画」(以下「本実行計画」という)を決定したことは読者諸氏においても認識されていると思う。本実行計画の内容は多岐にわたるが、本稿では、同計画の目玉である「同一労働同一賃金」と「時間外労働の上限規制」が各企業の法務部門にもたらす影響について概観しておくこととする。

実務解説
海外子会社における従業員情報の取得・利用の手引き
国際 テクノロジー・AI

メーカー法務部

昨今、情報システムのセキュリティ確保、贈収賄防止その他の観点から実施される内部監査、ディスカバリーへの対応またはリニエンシー申請などのため、会社が国境を越えてその従業員の保有する情報を取得・利用する場合が増加している。そこで、その対応策の1つとして従業員から同意書を取得する場合における実務上の論点について概説する。

会社法

実務担当者のための
D&O保険再検討の重要ポイント
中江透水・山越誠司

D&O保険は難しい保険だといわれる。攻めのコーポレートガバナンスが求められる中、D&O保険の重要度が増し、多くの企業がみずからのD&O保険について再検討しているが、実務担当者にとってこの保険を正確に理解するのは容易ではない。 そこで本稿では、実務担当者がこの保険に対する理解を深める一助となるよう、広範囲にわたる補償範囲のうち特に重要と思われるいくつかの点に的を絞り、この保険が意図する射程範囲について考察したい。

会社法

定時株主総会直前チェック
失敗しない役員登記実務マニュアル
鈴木龍介

定時株主総会(以下「定時総会」という)と商業登記は密接に関連しており、とりわけ役員等の変更については、定時総会の主要な議案の1つであって、商業登記が必須である。そこで、本稿では、本年の定時総会における役員変更等に関する商業登記手続について、近時、頻繁に行われた商業登記規則の改正等による各種の取扱いの見直しをふまえて、失敗のない実務という観点から、そのポイントを解説することとする。

国際

政府間協力方針の合意で注目が高まる
サウジアラビア進出の法務
西尾賢司

サウジアラビアは、2016年に「ビジョン2030」を公表し、石油依存型経済からの脱却および雇用創出実現のための施策を推進している。さらに、2017年3月13日に日本と二国間協力の基本的な方向性および具体的なプロジェクト・リストを掲げた「日・サウジ・ビジョン2030」について合意に至っており、「日・サウジ・ビジョン2030」において掲げられている9つの重点分野をはじめ、さまざまな分野での日本企業の進出が加速することが期待されている。本稿では、注目が集まるサウジアラビアへの進出方法およびこれに関連する留意点について解説する。

連載
民法改正で変わる業務委託契約
最終回 責任制限条項、譲渡禁止特約、支給品・貸与機器等条項
民法・PL法等

遠藤元一

税務

法務部員のための税務知識
第2回 契約書の作成・取引関係の検討において生じる税務問題(1)
岩品信明

契約書の作成・取引関係の検討において生じる税務問題としては①対価や費用負担等の適正、②スキームの適正、③国際取引における課税問題、④印紙税などがあげられる。

労働法 国際

東南アジア諸国の最新労務事情
第4回 インドネシア
野原俊介・ヒマワン・G・ハットマン

連載第4回目では、インドネシアの最新労務事情を紹介する。世界第4位の人口と東南アジア最大の国土を有する同国は、親日国家でもあり、日系企業の進出先として人気が高い国の1つである。労働法制に関しては、労働者保護の傾向が非常に強く、日本にはない労働者保護手続や手当等の支給制度が存在する。以下、具体的に解説する。

テクノロジー・AI

情報・テクノロジー法最前線
第3回 AI②――AI生成物の法的保護と侵害責任
齋藤浩貴・呂 佳叡

人工知能(Artificial Intelligence=AI)技術の開発・実用化が進んでいる。 芸術の分野においても、AIが鑑賞に堪えうる作品を創作するようになっている。AIが創作した作品にも、人間が創作した作品と同様に法的保護を与えて良いかという課題が生じている。

国際 コンプライアンス

グローバル時代のクライシスマネジメント
第3回 クライシス発生時の行動原則
三木 要

いかなる企業もクライシスが発生した際、企業価値の毀損を限りなくゼロに近づけるために、クライシスが発生した場合の具体的な対処について常に備えるべきであり、本回においては、対処に係る全体像や行動原則について述べていきたい。

国際

BRUSH-UP 法務英語
第2回 Plain Englishで読みやすい英文を作るコツ②
橘川真澄

国際

英文M&A契約書の交渉ポイント
第8回 コベナンツ(2)各論~通知義務・同意取得・競業や勧誘の禁止
西 理広・ニック・ツァイ

前号では、コベナンツの意義、機能や種類を解説した。本号では、個別のコベナンツのサンプル条項や交渉ポイントを掘り下げていく。

会社法

業種別 M&Aにおける法務デュー・ディリジェンスの手引き
第9回 介護事業に対するM&A
宮下 央・田中健太郎・木宮瑞雄

今回のテーマは、介護事業である。最近では、SOMPOホールディングスによるワタミの介護や、有料老人ホーム大手であるメッセージの買収案件などが記憶に新しい。また、事業者数が非常に多い介護業界だが、中小中堅クラスの介護事業者の経営悪化も進む一方、高齢化社会を迎えるにあたって巨大化するマーケットへの参入を狙う異業種の企業も存在することから、今後も多くのM&Aが行われることが予想される業界である。

会社法

会社のステージ別で見る 
株式・インセンティブ報酬の選択のポイント
第5回 ≪会社のステージ別解説≫①上場後間もない会社
川村一博・村松頼信・寺田芳彦・藤原優子・吉永 誠

第5回から第8回まではステージ別の適用事例(①上場後間もない会社、②上場後年数が長く株価の安定している会社、③上場を目指している会社、④上場を予定していない会社)を例にとり具体的な留意点に触れていきたい。本来、状況に応じて最適な選択肢は異なるが、具体例に即して各制度の特徴にフォーカスして検討していく。

国際

Next Issueはどこにある? 海外の今を読む
第4回 株主至上主義の先を目指すB Corpの可能性
和田宗久

アメリカではいくつかの有名企業を含め、B Corpの数は増加傾向にあり、また、多くの州で立法による一部手当てなどもされてきている。本稿では、こうした動きを外観しながら、営利と社会的善を同時に追求する法人(ビークル)に関わる制度について考えてみたい。

民法・PL法等

要件事実・事実認定論の根本的課題―その原点から将来まで
第12回 評価的要件における判断の構造①
─要件事実・事実認定論における「事実と評価」の問題の一環として
伊藤滋夫

物事をさまざまな視点から見ることの必要性をふまえて、民事訴訟による適正迅速な解決を目指す要件事実・事実認定論の視点から、事柄の性質に応じた判断をすることの重要性を、最高裁判例なども題材として、具体的に考えた。その大事な例として、契約の解釈という問題も、基礎となる具体的な諸事実をふまえて、その評価をするという性質を持つものであることを説明した。本号では、そのような評価を内容とする要件における判断の構造を考えることにする。

企業法務総合

LEGAL HEADLINES
森・濱田松本法律事務所 編