「自分がやらねば誰がやる」
明司雅宏
「弁護士法1条を肝に銘じよ」
今井和男
「常に相手を理解し,ポジティブなトーンで対話せよ」
北島敬之
「冷静なリスク分析,そして小さな違和感を大切に」
國廣 正
「訴訟に負けても,勝負に勝て」
久保利英明
「心は熱く,頭は冷たく」
本間正浩
「会社のお金については締まり屋であれ」
増見淳子
「どのような状況においても,報・連・相は優先して行え」
三村まり子
「他の意見を理解し,自分の意見を確信するまで考えよ」
矢吹公敏
取引先の破綻危機,倒産対応に必要な6つの視点
中井康之
コロナ禍が取引関係に及ぼす影響は計り知れない。外出自粛や営業自粛にともなう売上の消滅ないし減少は,飲食,宿泊,興行,観光はもちろん人の移動を対象とする広範囲の事業で生じている。本稿では,そのような状況のなかで,どのように生き抜くか,生き抜くために必要な視点は何かを考えたい。
取引類型別の留意点を詳解
倒産手続開始後の契約関係をめぐる法的規律
深山雅也
本稿においては,破産手続を中心に手続開始後の規律を解説し,適宜,民事再生手続・会社更生手続における異同についても言及することにする。
取引先の倒産防止のためにできること・すべきこと
──川上・川下企業,金融機関の立場からの支援策
山宮慎一郎
本稿では,取引先の経営破綻を防ぐため,商流の川上・川下にある企業が取り得べき方策と金融機関の立場から取引先事業者の倒産防止のために取り得る方策について場面を分けて検討をしたい。
コロナ禍における特殊性をどう評価するか
倒産前・後の債権回収の実務ポイント
中森 亘
本稿は,かかる状況をふまえ,債権者側の視点から債権回収の基本的事項を再確認し,取引先の経営悪化から倒産に至るまでの段階に応じた債権回収の実務ポイントをできるだけ平易に解説するものである。
コロナ危機下の与信調査,取引条項・担保設定の実務
進士 肇・中江民人
本稿では,融資先や取引先の事業存続を考慮した対応をすべきという原則を確認し,コロナ下において留意すべき与信調査,契約条項,担保設定の具体的な事項について検討する。
危機時に備え信用情報,取引・支払条件の確認を
海外企業の倒産と債権保全・回収
鐘ヶ江洋祐
新型コロナの影響下で,海外の取引先や委託先に信用不安が生じたり倒産に至るというケースが増加している。このような事態に適切に対応すべく,海外企業に対する与信管理について,平常時になし得ることは何か,また実際にリスクが生じた場合にどのように対応すべきかといった点について,場面に分けて説明する。
「押印についての Q&A」,電子署名法に関する新解釈ほか
"押印慣行"の見直しへ向けた最新議論
吉岡正嗣
本稿では,テレワークを阻害する押印慣行の見直しについて政府の取組みを紹介する。押印についてのQ&Aと商慣行における電子メールの定着,有印私文書偽造罪の解釈,電子署名法上の電子署名の定義とクラウド型電子署名の容認と推定効に係る検討の状況について説明する。
座談会 経営者・法務アドバイザー・FAが語る
本邦初! 産業競争力強化法を用いた株式対価M&A(下)
望月俊男・木下万暁・宮下和昌
本座談会では,データセクション株式会社が,2019年12月にクロージングを迎えた,チリの画像解析AI企業であるJach Technology SpAとの資本提携において用いた"クロスボーダー型の株式対価M&Aスキーム"をテーマとして意見交換を行います。本件は,株式対価M&Aとして日本初の産業競争力強化法の認定ケースとして注目に値します。
服すべきルールを社会との対話を重ね検討する
日本企業のプライバシー保護と専任組織(DPO)が果たす役割
小柳 輝
データの適切な活用によって,これまで解決できなかった社会課題の解決や,より豊かな生活が実現することについて,社会の期待は高まってきている。企業も社会の一員であり,いかにしてこの期待に応えていくのかということは,社会においてその企業が受け入れられていくのか否かを決すると言っても過言ではない。
EUにおける「データのための統一市場」構想の実現に向けた立法動向
菅 悠人
欧州委員会は,2020年2月19日に「A European strategy for data」と題する政策提言を公表した。近年,AI技術が飛躍的な発展を遂げたことにより,膨大なデータを機械学習(とりわけ深層学習)の手法で分析することで社会活動に有用なさまざまな成果を得られるようになった。
総論「ルール」「人」「技術」のバランスを意識した対策を
テレワーク導入に伴う情報漏えいリスクと対処法
田中浩之・蔦 大輔
新型コロナウイルス感染症の流行を受けて,その感染拡大防止策として,テレワークの導入またはその利用促進が加速しており,連絡手段またはオンラインでの研修等の手段として,ウェブ会議システムの利用も増加している。本稿では,テレワークやウェブ会議システムの利用に伴い増大する情報漏えいに係るリスクおよび当該リスクへの対応策について概説する。
著作権法,個人情報保護法の抵触リスクを検討する
従業員へのオンライン教育・研修実施に係る法的留意点
田中浩之・蔦 大輔・松本亮孝
オンラインで研修を実施するにあたっては,研修資料の作成および研修の実施に関して,著作権法,個人情報保護法,受講者のプライバシーに注意するほか,情報セキュリティへの配慮も必要であり,対面式での研修と比しても留意すべき点は多い。本稿では,従業員へのオンライン研修を実施するにあたっての留意点を取り上げる。
規程例付 テレワークを前提に「秘密情報」をどう管理する?
情報管理規程整備のポイント
大野志保・松本亮孝
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い,感染拡大防止のために,テレワークが積極的に推奨されることとなり,数多くの企業がテレワークを実施するに至っているが,テレワーク実施にあたっては,社内規程がテレワークに即した内容になっているかを確認・検討することが重要になる。本稿では,主に不正競争防止法上の営業秘密の保護の観点から,テレワークを前提とした場合の情報管理規程の整備のポイントについて検討することとする。
コロナ禍において運営のあり方が大きく変容
2020年6月総会振り返り
牧村卓哉
本稿では,各種公開資料のほか,三井住友トラスト・グループにおける証券代行業務の受託会社を対象とする調査結果に基づき,本年6月総会の概況を説明するとともに,今後の株主総会に向けた取組み等に若干触れるものである。
米国連邦倒産法363条譲渡の手法に基づく事業買収
ディストレストM&Aの近時の動向
粕谷宇史・遠藤聖志・鈴木惇也
本稿は,ディストレストM&Aの基本的な視座および米国におけるディストレストM&Aの中心的手法であるアメリカ連邦倒産法(Bankruptcy Code)363条に基づく資産譲渡について,主に買主の視点から,簡潔に説明するものである。
不祥事発生時の初動調査・社内調査の
重要性と実務課題(上)
竹内 朗
本稿は,日本CSR普及協会が2019年12月4日に開催した「不祥事発生時の初動調査・社内調査~不祥事対応の出発点,うまく機能させるには?」と題する内部統制研修セミナーの内容をベースに,(上)(下)にわたり登壇者が書き下ろしたものです。前半の基調講演では,初動調査・社内調査の重要性や基本事項を確認し,後半のパネルディスカッションでは,実務において生じる諸論点や失敗例を交えて解説します。
コロナ禍における新たな資金調達方法として注目
投資型クラウドファンディングに係る法規制と課題
宮田 俊
新型コロナウイルス感染拡大の影響で収縮する従来型の資金調達方法に代わり,新しい資金調達方法を試みようとする動きも出ているなか,本稿では,近時の規制の動向もふまえて,投資型クラウドファンディングに係る法規制と現状の課題を改めて整理してみたい。
貸金業法上の「貸付け」との相違点とは?
ファクタリング取引の輪郭
髙尾知達
フィンテック企業の台頭により非対面で利用可能なサービスが登場し,中小企業やフリーランスの資金繰り手段としてファクタリング取引の利用が拡大している。フィンテック企業と組んで銀行が新規参入する流れも本格化しつつあり,その注目度は高まっている。他方で,ファクタリングを装い違法な資金提供を行う業者が存在し,当局による注意喚起もなされているところである。このように2つの異なる角度からスポットライトが当てられる反面,その法的位置づけが解説される機会は少なく,このことがファクタリングの実像理解を容易ならざるものにしているように思われる。本稿は,このような現状をふまえ,ファクタリングの主要な法的論点を解説することを通じて,同取引の輪郭を掘り抜くことを目的とする。
LEGALHEADLINES
森・濱田松本法律事務所編
東南アジアの贈収賄規制・執行の最新事情
第3回 インドネシアの贈収賄――贈収賄撲滅への「努力」で意識向上
大塚周平 Chandra M. Hamzah
本連載では、東南アジア各国の贈収賄法制度・執行実務・近時の傾向および留意点とともに、贈収賄対応におけるポイントを、現地の経験・知見をもとに解説する。第3回は,しばしば贈収賄の懸念が寄せられるインドネシアについて解説する。
最新判例アンテナ
第30回 歩合給の計算にあたり,残業手当等の割増賃金相当額を控除する賃金規則が,通常の労働時間の賃金に当たる部分と労働基準法37条の定める割増賃金に当たる部分との判別性を欠くとした事例
三笘 裕・大住 舞
今回は,タクシー事業等を営むY社(被告,第二次上告審被上告人)に雇用され,タクシー乗務員として勤務していたXら(原告,第二次上告審上告人)が,歩合給の計算にあたり,売上高(揚高)等の一定割合に相当する金額から残業手当等に相当する金額を控除する旨を定めるY社の賃金規則上の定めが無効であるとして,Y社に対し,未払賃金等の支払を求めた事案である。
米国ジョイントベンチャーの最新実務
第8回 プットオプションおよびコールオプションに係る条項
竹内信紀・田中健太郎・松永耕明
本連載は、米国にて、米国の州法を準拠法として組成されたJVについて、公開情報をもとに、米国JVの実例や件数、その一般的なスキーム等を検討し、英文のJV契約のサンプル条項を明示しながら、米国JVに係る検討事項および問題点を紐解く連載である。本稿では,いわゆるプットオプション(Put Option)・コールオプション(Call Option)に係る条項を中心に論ずる。
「個人情報保護法」世界の最新動向
第9回 メキシコ
石川智也・津田麻紀子
近時、各国の個人情報保護法制の厳格化・執行強化の動きが指摘され、グローバルでのデータプライバシー・コンプライアンス体制の構築を重要課題として掲げる日本企業が増えてきている。本連載では、その構築のための基礎知識と、日本企業が特に関心を有している法域における個人情報保護法制の概要について紹介する。第9回では、メキシコの個人情報保護法について紹介する。
証拠からみる 独禁法違反認定の鍵
第10回 第一興商事件
向 宣明
本連載は、独占禁止法違反を疑われる行為の当時の文書が、証拠としてどのように評価されることになるのか、実例をふまえた検討を行うことで、同種事案への対処についての示唆を得ようとするものである。第10回は、不公正な取引方法(取引妨害)に関する事例である第一興商事件を取り上げる。
株主・株式からみた中小企業M&Aの実務
第6回 株券不発行化の手続
辛嶋如子
中小企業M&Aの大半は後継者問題に起因する「事業承継型M&A」である。背景にあるのは日本社会の現代的課題である少子高齢化問題であり、国策と合致することから大変な盛り上がりをみせている分野である。第6回では、株券不発行化の手続についてさまざまな視点から解説する。
法とことばの近代史
第4回〈権利〉 その2
山口亮介
本連載では、法に関するさまざまな言葉の来歴について、江戸期をはじめとする前近代から明治初期にかけてのさまざまな情報や史料などを手がかりにしながら解説する。第4回は前回に引き続き,漢語を通じた西洋法概念の参照から始まった〈権利〉ということばが法実務や法学上の用法をこえて一般用語としての地位を獲得していく過程で,このことばにいかなる意味合いが込められているのかに特に注目していきます。
対話で学ぶ 法務対応の勘所
最終回 コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)
朝倉 亮
大学卒業後、総合商社の法務部に配属された新人Aは、法律事務所での勤務経験がある社内弁護士Bが率いるチームに所属し、さまざまな案件を担当することになった。最終回は、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)投資について検討する。
ストーリーでわかる 訴訟手続の基本(刑事編)
最終回 第一審判決と控訴審,受刑者の情報取得
沖田美恵子・門田和幸
本連載では、民事・刑事訴訟の全体像について読者の概括的理解に資するべく、ある具体的なストーリーを設定し、その進展を追う形で、各局面における訴訟手続の概要や実務的な留意点を解説する。連載期間は約1年を予定しており、前半が民事訴訟編、後半が刑事訴訟編となる。最終回では、第一審判決と控訴審,受刑者の情報取得について解説する。
世界の法律実務・遊歩録
最終回 新型コロナウイルスの「排除」に成功
ヒュー・グッドウィン
「世界の法律実務・遊歩録」では、国際法律事務所のさまざまなオフィスで活躍するロイヤーが、世界のおもしろい・びっくり・どっきりな法律実務やエピソードを紹介していきます。最終回は,新型コロナウイルス封じ込めに成功していると言われているニュージーランドの対策についてご紹介します。
要件事実・事実認定論の根本的課題 ── その原点から将来まで
第29回 「所得区分」というものの持つ意味
――要件事実論の視点からみた所得税法
伊藤滋夫