査読付き論文コーナー創設にあたって
―ACC Peer-Reviewed―

近年,インターネットの普及により,内外問わず会計に関する様々な情報に容易に触れることができるようになり,雑誌媒体にはそれらの情報とは差異化された付加価値のより高い情報が求められています。小誌では,その情報ニーズに応えるために新たな試みを模索し,この度そうした試みの1つとして,これまで以上に信頼性の高い研究の成果を読者の皆さまに提供するため,「査読付き論文コーナー」を設けることといたしました。
(※)この査読付き論文については,通常の論文その他特集等の記事と区別し,掲載いたします。

「査読付き論文コーナー」編集委員会を代表して   編集長 斎藤静樹(東京大学名誉教授)

このコーナーは,会計の機能や制度に関する基礎的な研究成果の発信を目的に査読付きの論文を掲載します。編集にあたっては,@学術誌としての性格を堅持すること,A基礎的な研究を重視すること,B海外の研究動向に留意しつつ,日本語での発信に期待される役割を考慮すること,を基本原則とします。会計の基礎研究にとって重要な課題でありながら,海外で情報発信の機会が限られているものを含めて,この趣旨に沿った投稿を歓迎します。
(※)制度や実務の解説や提言を中心とする論文は対象ではありません。

投稿方法

投稿要項,執筆要項をご確認のうえ,専用ウェブサイトの投稿フォーム,またはメール(acc-pr@chuokeizai.co.jp)にて投稿してください。詳細は専用ウェブサイトをご確認ください。

                
Scope Eye
重要性を増す業績検査 会計検査院長
小林麻理
会計時評
新しい会計学の考え方(2)
――過去財サービス・フロー測定の有用性
佐々木隆志
Salon de Critique
業績予想・四半期業績の非開示はショートターミズムを是正するか? 奈良沙織
特集

資本コスト
誰のためのものか
Disucussion
オムロン,ナブテスコ,ピジョンの導入事例から学ぶ
資本コスト経営の実践

安藤 聡×斉藤伸太郎×山口善三×野間幹晴[司会]
Articles
改訂コーポレートガバナンス・コードと資本コスト経営
野間幹晴
エクイティ・スプレッドを軸とした資本コスト経営 柳  良平
投資家が資本コストを通じて会社に託すること 神山直樹
M&Aの際に適用される資本コストとその活用法 金子  敦
M&Aの企業価値評価実務における株主資本コストの推定 鈴木一功
査読付き論文コーナー創設のお知らせ
Accounting News
時事解説
サブスクリプションが会計を揺るがす? 榊  正壽
法改正で「暗号資産」に!
仮想通貨の会計上の性格
関口智和
日本との違いは?
米国での監査人変更開示の実態
長谷川茂男
連載
会計「諺」則
 どういう意味や
杉本徳栄
のれんの会計処理に関する調査
 のれんの規則的償却または非償却を支持する理由
徳賀芳弘
宮宇地俊岳
山下知晃
資本コスト再入門 MBAレベルの知識を振り回す奴を苦々しく思っているアナタに
 「企業の資本コスト」というまぼろし
福井義高
Accounting Great Books 2nd
 日下部與市『財務公開制度と監査』
阿部光成
解題深書
 予算・経営計画作成に活かす統計的技法
新井康平
相談室Q&A
〔法人税務〕試験研究費税制の改正ポイント 佐久間裕幸
〔会社法務〕「つながらない権利」と日本法のもとでの留意点 大野志保
書評
水野一郎編著『中小企業管理会計の理論と実践』 河ア照行

COLOR SECTION

三角波
 会計制度・データ政策の国際動向
 ――国際的なルール形成をめぐる地政学
OUTSIDE
 アジアで問われる人権とビジネス 小平龍四郎
経理・財務最前線
データセクション
 コーポレート部門の構築と多様化する雇用形態 望月俊男
『論語と算盤』に学ぶ会計人の心得
 算盤と権利:合理的の経営 杉山里枝
私の学問遍歴
 Aインテグレイテッド・オゥディティングを志向した監査の研究 檜田信男

            
              
 編集室より
▽本号の特集は「資本コストは誰のためのものか」と銘打ち,投資家,企業の方,会計学・ファイナンス研究者という,それぞれの視点から資本コストについて考察していただきました。投資家にとって重要な指標であるのはもちろん,企業価値を高め,維持するための「実務の参考になる有益な内容」となっています。連載「資本コスト再入門」(福井稿,89頁以下)と合わせてぜひご覧ください。ところで,弊誌の投資家(読者)の皆さまに,ご満足いただけるようなリターンを編集部は返し続けることができているのか。永遠の課題です。
▽東京五輪まであと1年。本号の巻頭言で小林麻理先生が述べられているように,関係組織には入念な準備や運営が求められるようです。自国開催も楽ではないですね。大会後のレガシー創出も目指すとされており,文字どおり「国民目線」の方針となっています。業績検査の責務がスポーツにも及んでいることに驚くと同時に,その責務の重大さを改めて実感しています。この大会の成功を切に願う関係組織の方々の努力に頭が下がる思いです。チケットの抽選に一喜一憂するのもよいですが,時には業績検査にも思いを馳せてみては。
▽サブスクリプションモデルは現行の会計基準ではうまく捉えられない(本号「時事解説」榊稿,95頁以下)。榊先生と話すなかで勝手にその影響の大きさに驚いていると,同じような状況はデリバティブでもあったし仮想通貨でもあるとのこと。なるほど,新たな経済事象にも柔軟に対応できたから会計は今の経済の基盤になっているんだと感じました。さて,暗号資産に呼称が変わって注目を集める仮想通貨。法定通貨を基礎とした現行経済ではその扱いが議論されていますが,実際に今の会計の世界ではどう捉えようとしているのか。「時事解説」(関口稿,101頁以下)をぜひ。
 『企業会計』2019年9月号のご案内
〈特 集〉
Non-GAAP指標
の取扱い

【インタビュー】
IFRS適用企業7社の経理が語る
Non-GAAP指標の開示理由と調整方法

【論 稿】

■Non-GAAP指標に対する監査上の取扱い
■投資家はNon-GAAP指標をどうみているか
■海外でのNon-GAAP指標をめぐる動き
■日本でのNon-GAAP指標をめぐる動き


(タイトル・テーマは予告なく変更する可能性がございます。)