特 集  

会計上の対立する概念―8つの視点

                    

利益の業績指標性と配分可能性

武田隆二

 

 

 

Summary ◇

「概念」は、時代条件とともに変化する。一方で、「業績指標性」概念はインベストメント・ソサエティーにおける投資判断指標が移りゆく中で、次第にその外延が広がり、「包括利益」概念に接近し、他方、「分配可能性」概念は最近の商法改正により資本概念が曖昧化し、「資本と利益との峻別」が維持されなくなったことにより、分配可能概念が質的に変化するに至った。

 

Profile ◇

たけだ・りゅうじ◇1931年生まれ。大阪学院大学教授・経営学博士・神戸大学名誉教授。企業会計審議会幹事・臨時委員,公認会計士・税理士試験委員,日本会計研究学会会長など公職を多数歴任。精緻に構成された理論をベースにして,会計学研究の先端を切り開いた,多くの業績がある。著作は,『所得会計の理論』『情報会計論』『簿記一般教程』『連結財務諸表』『会計学一般教程』『制度会計論』『最新財務諸表論』『法人税法精説』など幅広く,日経経済図書文化賞,日本会計研究学会賞など受賞。