特 集  

会計上の対立する概念―8つの視点

                    

原価主義と時価評価

藤井秀樹

 

 

 

Summary ◇

今日のグローバルな会計規制は,時価評価の適用領域を漸次拡張する方向で展開しつつある。

 本稿は,こうした展開の基底にある本質の一端を明らかにするために,会計上の対立概念である原価主義と時価評価の主要論点を,1930年代以降のアメリカの諸経験を素材としながら,学説史の観点から整理・検討することを目的としている。

 

Profile ◇

ふじい・ひでき◇1956年生まれ。1978年京都大学経済学部卒業,1984年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(経済学)。京都大学経済学部助教授等を経て,1998年から現職。専門は財務会計,公会計,非営利組織会計。日本会計研究学会機関誌編集委員。主要著作に,『現代企業会計論』(森山書店,1997年)『GASB/FASAB公会計の概念フレームワーク』(監訳,中央経済社,2002年)など。