特 集  

会計上の対立する概念―8つの視点

                    

会計的配分と価値評価

醍醐 聰

 

 

 

Summary ◇

固定資産をめぐる正規の減価償却vs減損会計、のれんをめぐる規則的償却vs非償却・減損処理、税効果会計をめぐる繰延法vs資産・負債法等の対立図式の底流には「会計的配分の論理」と「価値評価の論理」の相克が存在している。

 本稿では2つの論理の概念を整理した上で、両者の相克の原型ともいえるドイツ会計学説上の静態論と動態論の対立を回顧し、一度は会計的配分の論理に吸収された価値評価の論理が復権の兆しを見せているのはなぜなのかを、減損会計を素材にして検討する。

 

Profile ◇

だいご・さとし◇1946年生まれ。京都大学経済学部卒業。京都大学大学院経済学研究科博士課程中退,名古屋市立大学経済学部助手、講師、助教授を経て,京都大学経済学部助教授。東京大学経済学部助教授,東京大学経済学部教授を経て,1996年東京大学大学院経済学研究科教授。経済学博士(京都大学)。主要著書に,『日本の企業会計』(東京大学出版会、1990年),『会計学講義』第2版(東京大学出版会,2001年)などがある。