TOPICS-3

個人株主の保有比率,3年連続上昇


  9月に発表された全国証券取引所「2002年度株式保有状況調査」によると、2003年3月末の上場株式(時価総額236兆円)のうち、個人の保有比率は20.6%となり、1999年の18.0%を底に、3年連続して上昇している。

 一方、銀行(信託銀行除く)や生保等の金融機関と、事業会社の保有割合が下げ止まらない。1995年前後から顕著になった株式持ち合いを解消する動きが依然続いていることになる。2002年度についていえば、銀行の自己資本比率規制が持ち合い解消を促す要因となった。

 一方、1990年代以降、順調に上昇していた年金信託の保有割合であるが、2002年度には5.8%となり、前年度に比べて0.2%ポイントの低下に転じた。株価の低迷を受け、企業が厚生年金の代行部分を返上(いわゆる代行返上)するなど、年金制度が転機を迎えていることが背景にある。

 もっとも、年金資金の運用には年金信託以外の形態も盛んに用いられている。なかでも投資顧問会社の投資一任を用いるのが一般的になりつつある。この場合、年金資金が保有している株式は信託銀行名義となる。また、公的年金も株式を保有している。

 株式保有状況調査に代えて日銀の資金循環勘定で見ると、年金資金全体が保有する株式は市場全体の12.5%に達し、前年よりも0.2%ポイント上昇している。つまり、年金信託以外の形態で運用されている年金資金は、株式の保有を依然として増やしている。

 年金と同様、1990年代に株式の保有割合を増加させ、日本の株式市場の主役に躍り出た海外投資家の保有比率は17.7%と2年連続して低下した。ピークであった2000年度と比べると、1.1%ポイントの低下である。IT関連株のブームが去って以降、欧米の投資家が株式を敬遠していることから、その影響が日本株にも及んでいる。

 このように株式市場での注目は個人投資家の動向に移ってきた。第二次世界大戦が終わった当時、市場全体の7割近くを保有していた個人株主であるが、それをピークに保有比率を下げ、1971年には事業会社よりも下になった。もしも今年度、個人株主が保有比率を上昇させれば、事業会社の上に再度立つかもしれない。32年ぶりに株式市場の主役が交代するのかどうか、注目される。