特 集 

取引の複雑化と収益認識の論点

                    

資産負債中心観における収益認識

徳賀芳弘

 

 

 

Summary

 FASBおよびIASBは,収益認識の方法を現行の実現・稼得過程アプローチから資産負債アプローチへの変更を検討している。実現・稼得過程アプローチでは将来に対する経営者の意図や期待によって過去の収益額が決定されるのに対して,資産負債アプローチでは認識時点での資産負債の価値変動のみで収益額が決定される。

 本稿は,両アプローチの相違を検討するための導入部(問題提起の部分)である。

 

Profile

とくが・よしひろ■京都大学大学院教授、博士(経済学・京都大学)。専門は財務会計論、国際会計論、事業創成会計論。1983年九州大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得。同年熊本商科大学専任講師、1987年九州大学経済学部助教授、2000年同大学院教授を経て、2002年より現職。1990年〜1992年米国ワシントン大学経営大学院客員研究員。現在、公認会計士第二次試験委員。著書に『国際会計論』(中央経済社、2000年)等。