特 集 

取引の複雑化と収益認識の論点

                    

収益費用中心観における収益認識

松本敏文

 

 

 

Summary

 産業社会のインカムゲインの測定を目的として形成された収益費用中心観は,金融商品等の資産や負債の価値変動の測定には向かない。ここに資産負債中心観が台頭してきた理由の1つがある。

 また収益費用中心観の損益計算は操作が容易であると批判される。この特性はフローに立脚した収益費用中心観の論理構成から生じてくるが,資産負債中心観を適用してもその帰結は操作対象の質的変化となる可能性がある。

 

Profile

まつもと・としふみ■1953年生まれ。1980年同志社大学大学院博士課程中退。1986年から同志社大学商学部助教授。1999年から1年半,シェフィールド大学マネジメントスクール客員研究員。専門は会計学。主な著書として『あなたの会社の偏差値診断||資料||全上場会社2211社企業力ランキング』(共著,税務経理協会),『エクセルでわかる企業分析・決算書』(共編,東京書籍)など。