特 集 

取引の複雑化と収益認識の論点

                    

日本における収益認識規準のあり方と具体的適用問題の検討

藤田敬司

 

 

 

Summary

収益は、企業経営内部においても会計情報利用者から見ても最重要指標であるが、収益をいつ・いかに認識すべきかにかかわる包括的な基準がない。

 法的形式よりも取引の経済実態をより重視する現代会計思考に則していえば、また実現基準による収益の確実性と発生基準による会計情報の信頼性を高めるためには、従来の“モノの引き渡し”は“所有に係るリスクと便益の移転”によって、“サービスの提供”は“顧客満足度”によって置き換えるべきであろう。そのことを米国SECのSAB101号と具体的事例によって確認する。

 

Profile

ふじた・たかし■1963年京都大学経済学部卒業。三井物産梶C日本ユニシス鰍経て,2002年4月より現職(立命館大学経営学部教授)。元企業会計審議会臨時委員。主な著書に『連結財務諸表原則詳解』(共著,中央経済社,1998年),『連結経営会計入門』(税務経理協会,1999年),『クローズアップ現代会計』(共著,東京経済情報出版,2003年)などがある。