特 集 

会計情報とファイナンスの融合

                    

 

会計情報とファイナンスの接近とその意義

川北英隆

 

 

Summary

 時価会計の本格化にともない、会計とファイナンス的な評価方法とが接近する。そこで、本稿では金銭債権の時価評価、金銭債務や保険債務の時価評価を例に、この問題を論じる。また、会計情報がファイナンス的になれば、会計士の役割がアナリストに接近する。同時に、会計情報に含まれる特定の価値観が一般投資家に与える影響も無視できなくなる。時価会計制度は、会計情報が一般投資家に与える影響を考慮しつつ、設計されなければならない。

 

Profile

かわきた・ひでたか■1974年京都大学経済学部卒業。日本生命保険に入社、資金証券部長、取締役財務企画部長等を経て、2003年中央大学専門職大学院国際会計研究科教授に就任、ファイナンス担当。日本ファイナンス学会理事・副会長。主な著書に、『日本型株式市場の構造変化』(1995年、東洋経済新報社)、『株式市場のマイクロストラクチャー』(1998年、日本経済新聞社、共著)がある。