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改正産業活力再生特別措置法に係る認定基準について

  

 改正産業再生法(産業活力再生特別措置法)が4月9日に公布・施行された。
 同法に基づく諸計画の認定要件は、経済産業省告示「我が国産業の活力の再生に関する基本的な指針」において明らかにされている。多くの企業の活用が予想される事業再構築計画と共同事業再編計画について要件を整理したい。


財務健全化基準の導入

 旧法における認定要件との大きな相違点は、財務健全化基準が一般的に課された点である。従来は、金融支援(債権放棄)を受けた場合のみ課されていたが、今後は、事業革新設備導入計画を除くすべての計画は、財務健全化基準をクリアしなければならない。
 具体的には、計画(3年以内)終了時点において、@有利子負債(有利子負債合計額−現預金−信用度の高い有価証券等の評価額−運転資金の額)をキャッシュ・フロー(留保利益+減価償却費+前事業年度からの引当金の増減額)の10倍以内に圧縮すること、かつ、A経常収入が経常支出を上回ること、である。


事業再構築計画の場合――生産性向上基準

 事業再構築計画に関する認定要件としては、旧法以来の要件(生産性向上基準)が課されている。すなわち、計画(3年以内)終了時点において、@自己資本当期純利益率(ROE )が2%ポイント以上向上、A有形固定資産回転率が5%以上向上、B従業員一人当たり付加価値額
が6%以上向上、のいずれかを満たすことである。
 ただし、後述の過剰供給構造にある事業分野を持つ企業の事業再構築計画については、供給能力の増加を伴わない等、当該事業分野の過剰供給構造の解消を妨げないことも要求される。


共同事業再編計画の場合――4つの要件
 共同事業再編計画に関しては、@対象となる事業分野が過剰供給構造にあること(過剰供給構造判定基準)と、A供給能力削減基準、B共同事業再編要件、C競争性要件の4つの要件をクリアする必要がある。まず、過剰供給構造判定基準とは、当該業界が、「概ね過去3年以上」にわたって「稼働率の低下等」需要と潜在的な供給力が著しく〓離している状況が認められ、「当面需要の回復が見込められず、かつ需要の変化に対して可変的に対応できない業態特性、固有の事情があること」である。「稼働率の低下等」とは、次のいずれかに該当する場合を指す。@稼働率が測定可能である場合には、当該稼働率が、バブル以降の最大値である96年前後の水準に比べ、直近3年間の平均値が7%ポイント以上低下している場合、A直近3年間の機械装置資産回転率の平均値が過去20年間の平均値を下回っている場合、B直近3年間の売上高営業利益率の平均値が過去20年間の平均値を下回っている場合で、なおかつ、それがコスト割れ等の要因で生じている場合、である。
 過剰供給構造判定基準をクリアした場合、そのような過剰供給構造の改善が見込まれていることが必要である。具体的には、@キャッシュ・フロー(修正ROA)の2%ポイント以上の向上、A有形固定資産回転率もしくは機械装置資産回転率の5%以上の向上、Bこれらに相当する供給能力の削減を示すほかの指標の改善を達成すること、である。
 これらの基準に加えて、複数の事業者が共同で事業を再編すること(共同事業再編要件)と当該業界における適正な競争が確保されること(競争性要件)を満たすことが必要である。


〈Y.O〉