特 集 

負債と資本の境界線を探る

                    

 

少数株主持分の性格−会計主体との関連を中心にして

 

佐藤信彦

 

 

Summary

少数株主持分は、連結会計主体観によりその性質について異なる理解がなされる。そこで、まず、個別会計主体を整理し、それと連結会計主体との関連を軸に検討した結果、少数株主持分は、少数株主を外部者と見るのか、それとも内部構成員と見るのかに応じて、それぞれ負債または資本と見ることができる。また、個別会計主体として企業主体説(エンティティー説)は連結会計主体にはまだ存在せず、経済的単一体概念も、代理人説の範疇にある。

 

Profile

さとう・のぶひこ■1982年明治大学商学部卒業、1987年明治大学大学院商学研究科博士後期課程退学。同年4月、市邨学園短期大学専任講師。その後、日本大学経済学部専任講師、助教授を経て現職。著書に『国際会計基準制度化論』(編著、白桃書房)、『財務諸表論の要点整理(第5版)』(中央経済社)がある。