特 集 

負債と資本の境界線を探る

                    

自社株式を対象とした売建プット・オプションと資本の準負債化

古賀智敏

 

 

Summary

金融商品の負債と資本との区分にあたっては、ソルベンシー・パースペクティブと評価パースペクティブとの2つの視点から評価しなければならない。自社株式を対象とした売建プット・オプションについて、株式決済の場合には、一方のパースペクティブでは負債となり、他方のパースペクティブでは資本となる。この場合、負債・資本の連続性の中でその同質性を確保するためには、第3の区分としてメザニン項目を設けることも合理性をもつであろう。

 

Profile

こが・ちとし■1973年神戸大学大学院経営学研究科(修士課程)修了。現在、神戸大学大学院経営学研究科教授、神戸大学博士(経営学)。税理士試験委員を歴任。日本公認会計士協会学術賞、日本会計研究学会太田・黒澤賞を受賞。主要著書として、『情報監査論』(1990年、同文舘)、『デリバティブ会計』(1996年、森山書店、同第2版、1999年)、『価値創造の会計学』(2000年、税務経理協会)、『会計基準のグローバル化戦略』(共著、1999年、森山書店)等がある。