▽三角波△

商法計算書類の改正点

  昨年4月1日に施行された商法施行規則に基く計算書類の作成が今3月期より始まる。また、昨年の商法改正を踏まえた規則改正も4月1日より施行される。一連の改正を踏まえた商法計算書類に関する主な変更点を整理したい。


資本の部の表示
 商法施行規則の制定にあたり、証券取引法に基いて作成される財務諸表としての貸借対照表と商法に基いて作成される計算書類としての貸借対照表とを形式面において調和させるため、貸借対照表の資本の部の表示が、従来の配当可能限度額の算定方法に則した区分方法である、資本金、法定準備金および剰余金という区分から、資本金、資本剰余金および利益剰余金という区分に変更された。また、資本準備金は資本剰余金の内訳となり、資本準備金以外の資本剰余金として「その他資本剰余金」が設けられた。
 これに伴い、「資本の欠損」が生じているのか否か、またその額がどの程度であるのかということが、貸借対照表の資本の部の表示自体から直接把握することが困難になったことから、資本の欠損の額につき注記が求められることとなった。この注記は小株式会社においても省略することはできない。


新株予約権の表示
 平成13年商法改正により新株予約権制度が導入されたことを受け、商法施行規則の制定にあたり、新株予約権(新株予約権付社債に付されたものも含む)が資本の部の注記事項とされるとともに、新株予約権が株主以外の者に対して特に有利な条件で発行された場合には、新株予約権の割当を受けた者の氏名、その者が割当を受けた新株予約権の数、目的となる株式の種類および数、発行価額、行使の条件、消却の事由および条件、有利な条件の内容を営業報告書に記載することとされた。
 しかも、平成15年3月期においては貸借対照表の注記事項である、現に発行されている新株予約権の数、目的となる株式の種類および数ならびに発行価額が、今回の商法施行規則の改正により、平成16年3月期からは、営業報告書の記載事項とされたことに注意が必要である。


役員報酬の開示
 平成13年商法改正により、定款で役員の責任限定規定を設けることが認められたが、この定款規定を置いた会社にあっては、営業報告書に、取締役に支払った報酬その他職務遂行の対価である財産上の利益の額、および監査役に支払った報酬その他職務遂行の対価である財産上の利益の額(個人別ではなく総額)を記載しなければならなくなった。したがって、昨年、定款変更を行った会社は開示する必要がある。


平成14年商法改正への対応
 平成14年商法改正で、委員会等設置会社制度の創設、連結計算書類制度の導入がなされたことに伴い、商法施行規則が改正された。まず、委員会等設置会社に関連しては、営業報告書の記載事項が追加された。第一に、監査委員会の職務の遂行のために必要な事項についての取締役会の決議の概要、第二に、報酬委員会が定める取締役および執行役が受ける個人別の報酬の内容の決定に関する方針である。これらは、今年の株主総会において委員会等設置会社制度を採用した会社について、平成16年3月期から適用される。
 一方、連結特例規定適用会社に関しては、通常の記載事項に加えて、当該会社ならびにグループ会社の会計監査人に対する報酬等の開示が要求されている。この開示は、連結計算書類制度が施行される平成17年3月期からとなる。

〈Y.O 〉