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国際財務報告基準解釈委員会(IFRIC )会合

 交代メンバー2人を迎えて2月4、5日ロンドンで開催。

・ 使用権

 引き続きリース契約との違いについて検討。リースとして開示される3つの条件を確認した。

・ 排出権

 公正価値を下回る価額で取得した場合は、差額を政府補助金と同様に処理することとした。

・ 共同出資による年金プランについて、IAS19 (退職給付)の適用外となる条件を定義。また、ミニマムの支払額を定めたプランは金融商品ではなくIAS19 の適用対象とすることを決定。

・ 廃棄費用にかかわる負債につき見積額が変動した場合の処理を規定。また、廃棄費用積立金の処理にIAS39 (金融商品)を適用することを合意。

・ 相互関連する取引理事会から提案された会計処理のガイダンス作成にあたり、作成の原則を暫定的に決定。

2月度理事会

 2月19日から21日までロンドンで開催。

・ 企業結合(第2フェーズ)

 少数株主持分が存在する場合の1株当たり損益の計算には、少数株主に属する利益と株式数を、計算の分母分子から除くことを暫定的に合意した。また、持分の取得を伴わずに支配権を獲得する企業結合は、支配の段階的な取得の場合と同様に処理する。

・ コンバージェンス(他基準との統一化)

 退職給付会計、処分のために保有する資産などの項目について米国基準(FAS )との調整を検討。

・ 初回適用

 ヘッジ会計の処理方法を決定。初回適用時の代替的方法を廃して一本化を図る。以上で公開草案に寄せられた論点の議論を終え、今年の第2四半期には基準を公表する見込み。

・ 業績報告(損益計算書の様式)

「営業損益」を設けることとその内容について検討。また、財務活動を開示する様式につき討議。

・ 収益認識

 収益を認識する基準として「負債消滅説」と「広義履行説」の2つにつき優劣を討議。

・ 他に保険会計、現行IAS の改善につき討議。

 

従業員ストック・オプションおよび退職年金

 FASBは,投資家,財務アナリストその他の財務諸表利用者の要求に応えて,3月中に株式に基づく報酬と年金費用に関連する会計および開示を改善する計画を議題に加えた。

 株式に基づく報酬に関しては,そのコストを費用として認識することを要求するかどうかが最大の焦点になる。FASBは,今年中に公開草案を発行し,来年に適用する目標で鍵になる問題点の審議を開始する計画である。

 最近の財務報告に関連するスキャンダルを契機として,FASBは個人・機関投資家,財務アナリストその他からストック・オプションのコストを費用として認識することを強制すべきだとの要請を受けている。

 FASBはまた,ストック・オプションに関連するコストに関連して1つの整合した方法を採用する必要性があると考えている。最近,多くの大会社が自主的にストック・オプションに関連するコストを費用として認識することにしたが,なお他の大多数の会社はそのコストを財務諸表注記中に開示しており,損益計算書中に含めてはいない。

 さらに,米国の会計基準と国際会計基準とを収斂させるよう努力することをFASBは確約しているが,国際会計基準審議会(IASB)の公表したストック・オプションに関する公開草案も関連するコストを費用として認識するよう提案している。これらの要素を検討して,FASBはこの重要な主題を再検討すべきだと結論づけた。

 この計画の一部として,FASBはさらに有益な開示を要求すべきかどうかと,従業員ストック・オプション・コストの測定の精確性と整合性を増進する方法があるかどうかも検討する。FASBは,この議題に関して昨年11月に公表した「株式に基づく報酬に関する会計〜FASB基準書第123号『株式に基づく報酬に関する会計』とその関連解釈,およびIASBの提案するIFRS『株式に基づく支払い』の比較」に対する多くのコメントを含め,この問題についてFASBは多くのデータを入手している。

 それとは別に,アナリストと投資家の懸念に応えて,FASBは従業員年金制度に関連する開示を改善する方法を求める計画を議題に加えることを決定した。この計画の一部として,年金費用・資産・債務および拠出要求に関する開示を各題する方法を識別することにより年金会計の欠陥に焦点を当てる計画である。

 FASBは,年金会計に関する公開草案を本年後半に,また基準書を来年中に発行する計画である。

不動産の共同使用(time-sharing)取引の会計

 FASBは,さる2月に表題の公開草案をAICPAの同じ表題の参考意見書公開草案と同時に公表し,4月30日を期限としてコメントを求めている。不動産取引の会計基準には基準書第66,67号があるが,共同使用に関しては規定に不備があり,業界で種々の方法が採用されているため,このほどAICPAが161頁にわたる参考意見書公開草案を公表すると同時に,FASBは関連規定を第66,67号から削除するよう提案した。

 

企業会計基準委員会、減損適用指針の検討状況の整理および各実務対応報告を公表

 1 「『固定資産の減損に係る会計基準の適用指針』の検討状況の整理」

 これは、昨年8月に企業会計審議会より公表された「固定資産の減損に係る会計基準」を受け、適用指針策定過程の現時点で各論点について広く各界の意見を求めるべきとの観点から3月5日付で公表されたものである。なお、意見募集は4月21日までとなっている。

 2 実務対応報告第9号「1株当たり当期純利益に関する実務上の取扱い」

 3月13日付で公表された本実務対応報告は、昨年9月に公表された企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」および会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」が公表された後、これらについて質問の多い論点を中心に実務上の取扱いをまとめたものである。

 3 実務対応報告第10号「種類株式の貸借対照表価額に関する実務上の取扱い」

 同じく3月13日付で公表された本実務対応報告は、昨年10月に公表された実務対応報告第6号「デット・エクイティ・スワップの実行時における債権者側の会計処理に関する実務上の取扱い」を受けて、デット・エクイティ・スワップの実行により生じた株式の期末評価について検討していたところ、これだけでなく平成13年商法改正により内容が多様化するとともに、近時その発行金額が増加している種類株式の貸借対照表価額に関する取扱いも盛り込み公表された。

 なお、上記公表物は本号別冊付録に収録されている。

 

日本公認会計士協会、学校法人会計関係の取扱い等を明らかに

 日本公認会計士協会は、2月18日付で以下の学校法人会計関連の取扱いを明らかにした。

 1 学校法人会計問答集(Q&A)第15号「理事者による確認書」

 本報告は、平成14年1月に改訂された監査基準の趣旨を受け、監査基準委員会報告書第3号を適用するにあたっての留意点を明らかにし、また収受した寄付金について確認事項となることおよび理事者による確認書文例について収益事業を行なっている場合および寄附行為等の認可申請にかかる監査の場合も記載したこと等が盛り込まれている。これにより、学校法人委員会報告第35号「理事者による確認書」は廃止となる。

 2 学校法人委員会報告第39号「寄付金収入に関する会計処理及び監査上の取扱い」

 本報告は、平成14年10月発出の文部科学事務次官通知「私立大学における入学者選抜の公正確保等について」を踏まえ、寄付金収入と他の科目との区分を明確にし、また寄付金の受入時期や受入方法の適否について上記通知に係る留意事項を表し、所轄庁の指示に反する事項があった場合には参考事項として記載することを明記する点などが盛り込まれている。これにより、学校法人委員会報告第15号「寄付金収入に関する会計処理及び監査上の取扱い(T)」および学校法人委員会報告第26号「同(U)」は廃止される。

 また、同協会は、2月17・18日付で、@公会計委員会研究報告第7号「公会計原則(試案)」、A業種別監査委員会報告第14号「投資信託及び投資法人における当面の監査上の取扱い」の一部改正、B監査基準委員会報告書第2号(中間報告)「特記事項」の廃止について、C「中堅・成長企業における四半期財務諸表に対する公認会計士等による意見表明手続について」も公表している。

日本公認会計士協会、各種監査委員会報告を公表

 日本公認会計士協会は、3月25日付で以下の監査委員会報告を公表した。なお、これらは改訂監査基準および改訂中間監査基準の実施時期に合わせて、平成15年3月1日以後終了する連結会計年度および事業年度にかかる監査ならびに平成15年9月1日以後に終了する中間会計期間に係る中間監査から適用される。

 1 監査委員会報告第76号「後発事象に関する監査上の取扱い」

 本報告は、後発事象に係る開示内容の多様化と開示の適時性に伴い、@実務上の問題点の整理、A連結監査上の取扱いの追加、B事例分析による開示例の見直し、C後発事象に関する監査手続の明示、について対応するためとりまとめられたものである。なお、本報告の確定により監査第一委員会報告第44号「後発事象に関する監査上の取扱い」および会計制度委員会「重要な後発事象の開示について」は廃止される。

 2 監査委員会報告第77号「追加情報の注記について」

 本報告は、連結情報を中心とした開示制度への転換、退職給付会計基準や金融商品会計基準等の新たな会計基準の制定および監査基準の改訂などの制度改正を受け、追加情報の注記に関する項目、記載内容および記載方法の全般的な見直しを行い、現行規則等に基づいて作成される財務諸表等に注記すべき追加情報を明らかにするためとりまとめられたものである。なお、本報告の確定により、監査第一委員会報告第47号「追加情報の注記について」は廃止される。

 3 監査委員会報告第78号「正当な理由による会計方針の変更」

 本報告は、監査基準の改訂において、会計基準等の改正による会計処理の変更も正当な理由による会計方針の変更に該当するとされたため、正当な理由による会計方針の変更についての考え方を改めて見直した結果を取りまとめたものである。なお、本報告の確定により、監査委員会報告第65号「正当な理由に基づく会計方針の変更」およびリサーチ・センター審理情報〔No.12〕「法令の改正等に伴い特定の会計処理方法の採用が強制された場合の監査報告書上の追加記載について」は廃止される。

日本公認会計士協会、「法人事業税における外形標準課税制度の導入に伴う税効果会計適用上の取扱い」を公表

 3月25日付で公表された上記取扱いは、平成15年度税制改正により、平成16年4月1日以後に開始する事業年度から法人事業税に外形標準課税が導入されることにともない、平成15年3月期の税効果会計適用に関し実務の参考に供するため取扱いを明らかにするものである。なお、本文は別冊付録に収録されている。

 

東証,上場会社に「株主の議決権行使の促進に向けた環境整備」や「適時開示の適正性確保に向けた取組み」を通知

 東証は,さる3月18日,上場会社に対して「株主総会における株主の議決権行使の促進に向けた環境整備のお願い」と「会社情報の適時開示の適正性確保に向けた当取引所の取組みについて」という文書を送付した。これらは,昨年8月に金融庁より公表された「証券市場の構造改革促進プログラム」において自主規制機関として対応が求められていたものである。

 まず,「株主の議決権行使の促進」についての要請は,上場会社として議決権行使環境の改善に積極的に取り組むことが,証券市場の活性化やコーポレート・ガバナンスを有効に機能させる意味でも重要であるとの認識を持ってもらうことと,そのための具体的な施策として,「株主総会開催日の分散化」,「招集通知発送日の早期化」,「招集通知の内容を自社のホームページの分かりやすい場所に掲載すること」,「招集通知の全部又は一部の内容の英訳版を作成すること」などの検討をお願いするというものである。

 次に,「適時開示の適正性確保に向けた取組み」は,昨年,わが国においても会社情報の適切な開示について上場会社の姿勢が問われる事態が少なからずあり,特に,公表された会社情報に関する経過の継続的な開示や,結果的に当初の想定とは異なる事態となった場合の速やかな訂正など,投資者から適時開示について一層の改善要望が寄せられてきたことを踏まえたものである。

 具体的には,「適時開示規則に違反した場合に徴求する改善報告書の徴求基準の明確化」,「適時開示規則違反件数(改善報告書,経緯書等の徴求件数)の公表」,「適時開示規則違反事例の紹介」という適時開示規則違反への対応強化を図るとともに,違反行為の未然防止を図るための上場会社サポート体制の充実や電子メールによる情報受付での情報収集体制の強化,関係諸機関との連携強化を行うというものである。

東証,上場会社の株主総会招集通知発送日等をホームページへ掲載

 東証は,議決権の行使に関して投資家の関心が高まる中で,保有する株式についての株主総会招集通知がいつ発送される予定なのか,招集通知の内容がその会社のホームページなどで閲覧することが可能なのか,英訳した資料は作成しているのかといったことに関する情報提供の要望が多く寄せられていることを踏まえ,平成15年3月期の上場会社から,招集通知発送日等に関するアンケート調査を実施し,その詳細を東証のホームページに掲載することとした。

 具体的には,4月末を目途に,上場会社から提出された情報(招集通知の発送予定日,自社等のホームページにおける招集通知内容の掲載の有無とリンク先,英訳した招集通知の有無)をホームページで一覧表示して一般投資者に提供することとした。

 

法務省、平成14年改正商法施行にともなう商法施行規則の一部改正を公布

 さる2月28日、本年4月1日より平成14年改正商法・商法特例法が施行されることにともない、その細目を定める平成15年法務省令第7号「商法施行規則の一部を改正する省令」が公布された。改正は、全般にわたっているが、主な項目としては、@省令に委任されていた財産価額の評価方法、貸借対照表等の記載方法等、A連結計算書類関係の詳細、B委員会等設置会社関係の詳細、C会計監査人の報酬等の開示、D株式失効制度における株券喪失登録時の申請書類の内容、などがあげられる。本改正規則は、4月1日から施行される。

 なお、本改正規則については本号別冊付録にて新旧対照表形式で収録している。

 

相次ぐメガバンク増資

 年度末にメガバンクの増資が相次いだ。その中で際立つのが、みずほの1兆円を超える自己資本の調達である。この増資によってもメガバンクに対する不信感は消えず、株価の底入れも確認されていない。

 昨年10月以降、金融庁がメガバンクの健全性維持を厳しく要請しはじめ、2002年度末にかけて不良債権処理が加速されるとの見方が有力になるにしたがい、メガバンクは自己資本の調達を活発化させた。

 三井住友銀行がゴールドマン・サックスと、UFJがメリル・リンチとそれぞれ提携し、優先株や子会社株式の形態で自己資本を調達した。一方、みずほは幅広い取引先から1兆円を超す自己資本を調達した。また、東京三菱銀行は3,000 億円近い自己資本を公募中心に調達した。

 これらのうち、みずほの自己資本調達が注目を集めた。調達が優先株によるものであり、その総額が10,830億円にものぼったことが第一の注目点である。この調達額のうち、生損保からの調達が1,500 億円に達した。銀行が生保などの自己資本を供給し、その生保が銀行の自己資本を供給するという、もたれあいの関係が批判されているなか、その関係を強化するようなみずほの行動が改めて注目された次第である。

  みずほの場合、優先株を第三者割当の形態で発行したが、それを取引先3,500 社という未曾有の数の企業に割り当てた。また、臨時株主総会と取締役会で増資を決議した2月6日以前に、取引先各社に引受の打診があったとも報じられている。もしもそれが事実であれば証券取引法に抵触しかねない。また、取引先への引受依頼がメインバンクとしての地位を利用したものであるのなら、独占禁止法に抵触する。2月、金融庁が第三者割当増資時におけるコンプライアンスに関し、事務ガイドラインを改正したのも、みずほの増資を意識したものと市場は受け止めている。

  これらの増資によって金融に対する不安の解消が期待されたが、実態はそのとおりに進んでいない。むしろ、相次いで発行された優先株の配当負担と、それらがいずれ普通株に転換されることによる希薄化(ダイリューション)への懸念が強まっている。そのダイリューションによって、みずほや三井住友の場合、発行株式数が現在の倍以上になる可能性さえある。3月に株価はバブル以降の安値を更新したが、その要因の一つがメガバンクの増資にあったことには疑問の余地がない。

 

56回監査役全国会議開催

 日本監査役協会は、4月15日(火)にパシフィコ横浜国立大ホールにおいて、第56回監査役全国会議を開催する。同会議では、ソニー代表取締役会長の出井伸之氏や弁護士の中坊公平氏による各基調講演、KPMGファイナンシャルの木村剛氏と東京海上火災保険会長の樋口公啓氏をむかえてのパネルディスカッションなどが催される。テーマは「選択制の時代と監査役」。

「継続企業の前提に関する監査役と会計監査人との連携(中間研究報告)」の発表

 日本監査役協会関西支部と日本公認会計士協会近畿会は、継続企業に関する共同研究において、中間報告「継続企業の前提に関する監査役と会計監査人との連携」を発表した。日本監査役協会ホームページ(http://www.kansa.or.jp)よりダウンロードが可能。継続企業の前提に関するチェックリスト付。

商法改正対応に関するNetアンケートの実施

 日本監査役協会は、4月1日施行の商法改正をうけて、委員会等設置会社導入についての各社執行部の意識および企業動態に関する調査をインターネット上から実施する。対象は同協会会員会社約4,100社。4月16日より同月末日まで実施し、5月中旬に同協会のホームページに結果を掲載する予定。

日本監査役協会本部事務所の移転

 日本監査役協会本部事務局は、3月23日に中央区日本橋2 ‐3 ‐4より、千代田区丸の内1 ‐9 ‐1に移転した(登記上の移転は4月1日)。住所、電話、FAXは以下のとおり。

 〒100 ‐0005東京都千代田区丸の内1 ‐9 ‐1

  丸の内中央ビル13階

  電話03‐5219‐6100  FAX 03‐5219‐6110