▽三角波△

連結納税制度の改正について

  3月決算法人の平成15年度からの連結納税の適用に係る申請期限は昨年末であった。国税庁が公表した資料によれば、昨年10月から年末までの連結納税の申請件数は118件、それに含まれる法人数(親・子)は995法人、1グループ平均8.4法人であった。昨年9月末までの申請件数が164件、2,896 法人であったことから、合計282件、3,891 法人の申請があったことになる。
 先般国会に提出された平成15年度税制改正に係る法案では、連結納税に関し、これまで必ずしも明確でなかった取扱いが明確化されるなど重要な改正がいくつか含まれている。主要な改正点を整理したい。


承認取消しの時期


 現行では、連結事業年度の中途で連結子法人について解散や株式売却などによって連結納税の承認が取り消された場合、その事業年度の期首に遡って、当該連結子法人の連結納税の承認の効力が失われることとされている。このため、当該期首から取消日までの間に行われた当該連結子法人と同じグループの他の連結法人との間で行われた取引などについて、後になって、連結グループ内取引ではないものとして取扱いを変更する必要が生じる。
 今回の改正法案では、取消しが行われるまでは連結法人として扱う、つまり遡及して失効しないこととされている。
 この結果、取消日の前後で事業年度をいったん区切る必要が生じたため、あわせて、みなし事業年度の規定に関する改正が盛り込まれている。また、期首から取消日の前日までは連結法人として扱うことになるものの、そのみなし事業年度の期間が連結親法人事業年度の期間と一致しない場合には、当該期間には単体申告期間として取り扱われることが明記されている。


組織再編成に伴う連結欠損金額の減額


 連結グループ内で「みなし共同事業要件」を満たさない適格合併等が行われた場合には、現行では、被合併法人等の連結欠損金個別帰属額相当額を連結欠損金額から減額することとされているが、今回の改正法案では、この減額措置が廃止される。この措置により連結グループ内の組織再編成はより柔軟に行うことが可能になるものと見られる。


単体課税時の連結欠損金の取扱い

 連結納税開始または連結グループへの加入に際して、連結子法人となる内国法人の単体納税下での欠損金額は切り捨てられることとされ、一度連結申告を経た後は、連結法人が分割、合併、連結グループからの離脱によって単体納税に復帰したとしても、先に切り捨てられた欠損金額は復活しないこととされている。
 ただ、現行規定では、連結親法人が最初の連結親法人事業年度に行う分割型分割や株式移転に係る完全子会社が最初の連結親法人事業年度に行う合併・分割型分割について、これらの法人は連結グループに単体時の欠損金額を持ち込めるにもかかわらず、最初の連結親法人事業年度に分割型分割等を行うと持ち込んだはずの欠損金額が切り捨てられてしまうのではないかといった疑義が生じていた。今回の改正法案では、こうした場合には切り捨てないことが明確化されている。
 また、特例申請の場合には、承認日の前日までに分割型分割を行うと、分割前事業年度は連結法人ですらないことから、そもそも単体時の欠損金額を切り捨てる必要がないことが明確にされている。

〈Y.O 〉