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 日本公認会計士協会、大手金融機関のDCF法の適用に関する公開草案を公表


 昨年10月に金融庁より公表された金融再生プログラム「主要行の不良債権問題解決を通じた経済再生」では、資産査定厳格化の手段の一つとして、主要行における要注意先の大口債務者についてDCF法を基礎とした具体的な手法の適用の検討を掲げている。

 これを受け、日本公認会計士協会は平成14年12月26日付で、@「銀行等金融機関において貸倒引当金の計上方法としてキャッシュ・フロー見積法(DCF法)が採用されている場合の監査上の留意事項(案)」、およびA「銀行等金融機関の正常先債権及び要注意先債権の貸倒実績率又は倒産確率に基づく貸倒引当金の計上における一定期間に関する検討(中間取りまとめ)」を公表した。

 @については、金融機関でDCF法による貸倒引当金の計上が行われている場合、算定が求められる将来キャッシュ・フローの見積りは不確実性

を伴うため、その妥当性判断に際しての留意事項をあげている。

 Aについては、銀行等監査特別委員会報告第4号「銀行等金融機関の資産の自己査定に係る内部統制の検証並びに貸倒償却及び貸倒引当金の監査に関する実務指針」において示されている、いわゆる「1年・3年基準」(正常先債権については、今後1年以内に生じる損失見込額、要注意先債権については今後3年以内に生じる損失見込額をもって貸倒引当金を計上することが認められるもの)について、正常先債権の1年基準については、実務上問題ないとし、要注意先債権については、グルーピングを行い当該グループごとに予想損失を見込むことが望ましいこと、また融資慣行の実態にあった平均残存期間を算定できるシステム構築が必要であり、そのような体制ができるまでは、3年基準の継続は一定の合理性があるとしている。