Accounting News

12月理事会

 12月18日から20日までロンドンで開催。

IAS32、39(金融商品にかかわる基準)の改訂

 3月上旬に公開討論会を実施することを決定。公開草案に寄せられたコメントを検討し、論点を以下の項目に整理した。

 ・ 負債か資本かを区分する基準

 ・ 資産としての認識を取りやめる基準

 ・ 金融資産の測定

 ・ ヘッジ会計

■企業結合(第2フェーズ)

 持分の段階的な取得にあたって、支配を獲得した時点で持分を公正価値により評価し損益を計上、以後の増分は資本的取引として処理することとした。持分が減少して支配を失う場合はこの逆となる。

 結合により取得する資産と負債とは公正価値により評価されるが、評価方法を選ぶ優先順位(ヒエラルキー)を定めた。

■コンバージェンス(収斂)

 退職給付会計、ジョイントベンチャーの会計、リストラ費用引当の諸点につき討議。

■財務活動

 IAS32の改訂に関連し、金融商品にかかわるリスクの表示方法について議論。

■初回適用

 公開草案第1号に寄せられたコメントをもとに内容修正を行い、2003年の早い時期に以下の論点について検討したうえで基準の最終文案作成に入る。

 ・ 適用外となる子会社の基準

 ・ 金融商品の処理方法

 ・ 財務諸表の構成と様式

IFRIC関連事項

 IFRIC(国際財務報告基準解釈委員会)から報告されたSIC12(SPE(特別目的企業体)にかかわる処理)などの論点への検討結果について討議。

■既存基準の改善

 連結会計にかかわる2基準(IAS27、28)につき寄せられたコメントをもとに検討。

■損益計算書(業績報告)

 公開草案のドラフトを精査。

■収益の認識

 FASBのEmerging Issues Task Forceによる決定内容を参照しつつ、特殊な取引形態における収益認識の考え方を例をあげて検討。

 

基準書第148号「株式に基づく報酬に関する会計――経過措置および開示――FASB基準書第123号の改訂」

 FASBは,さる12月末に表題の基準書を発行した。基準書第123号「株式に基づく報酬に関する会計」は1996年から強制適用され,株式に基づく報酬に関して公正価額に基づく会計処理を望ましい方法であるとしながら,APB意見書第25号「従業員に発行した株式の会計」が採用した本源的価値に基づく方法も適用することを認め,大多数の企業が後者の方法を適用してきた。しかし,エンロンの倒産を契機として多くの企業が株式に基づく報酬に関する会計方針の見直しを行い,公正価額に基づく方法に変更し,または変更する計画を表明した。

 基準書第123号は,そのような変更の場合には,変更する年度から将来に向かって付与,変更または決済する報奨についてのみ適用することを要求していたため,第148号はその見直しを行うとともに,開示要求を拡大した。

 第148号は,上述の@第123号が採用した方法の他に,A第123号の当初発効日から適用した場合に認識したはずの報酬費用を将来に向かって認識する方法,およびB第123号の当初発効日から適用した場合に認識したはずの報酬費用を過年度に遡って修正再表示する方法の三つのうちいずれか一つを採用することを認めた。ただし,@の方法は,2003年12月15日後に開始する事業年度に公正価額に基づく方法に変更するときには,採用することができない。

 第148号はまた,本源的価値に基づく方法を継続して適用する実体を含むすべての実体が,年次および中間期間の財務諸表ならびに中間財務報告の会計方針に関する注記中に次の開示を要求している。

 @ 損益計算書を表示する各期間においてストックオプションについて採用した会計処理の方法

 A すべての表示期間について第123号の公正価額に基づく報酬費用を認識するまでの間,

  1 各期間の損益中に含まれる,株式に基づく従業員報酬費用

  2 第123号の当初発効日から公正価額に基づく認識規定を適用した場合に損益計算書中に含まれるはずの株式に基づく従業員報酬費用

  3 第123号の当初発効日から公正価額に基づく認識規定を適用した場合の純利益および一株当たり利益

 経過措置は2002年12月15日後に終了する事業年度から強制適用された。また開示要求は,年次財務諸表に関しては2002年12月15日後に終了する事業年度から,中間財務報告に関しては2002年12月15日後に開始する第1中間期間から強制適用された。

 FASBは,国際会計基準審議会が株式報酬制度に関する議題を取り上げているため,基準書第123号の認識および測定規定の再検討はしていないが,近い将来に米国基準の改訂を提案すべきかどうかを検討する計画である。

 

三井住友,ゴールドマン・サックスから資本受入れ

 大手銀行は不良債権処理、経営の健全化、資本増強の必要に迫られている。そのなかで、1月15日、三井住友フィナンシャルグループはアメリカの大手投資銀行、ゴールドマン・サックス(GS)から資本を受け入れると公表した。

 三井住友は1,503億円の優先株を2月に発行し、その全額をGSに引き受けてもらうことで合意した。優先株の配当は4.5%、転換可能期間は2年後から25年後まで、その間に転換されない優先株は25年後に普通株に一斉に転換される。当初の転換価格は331,000 円だが、転換価格は三井住友の株価動向によって下方修正され、下限転換価格は109,200円である。転換によって発行される株式は、現在の転換価格で計算して発行済み株式数の7%となり、筆頭株主に相当する。また、当初の2年間は優先株の譲渡が禁止され、また普通株に転換された株式の譲渡にも制限が付けられている。

 この合意は、GSが2年間は三井住友の経営安定のために全面的に協力することを意味する。これにより、三井住友の自己資本(Tier1)は0.24%ポイント、Tier2を含めると0.48%ポイント上昇する。今後の金融庁検査で不良債権処理が膨らんだ場合であっても、10%程度の自己資本比率を確保できる見通しが強まった。

 三井住友とGSとの関係は1986年にまで遡る。当時、住友銀行がGSのリミテッド・パートナーシップ(当時のGSはパートナーシップの会社だったため、リミテッド・パートナーシップは優先株に相当する)に5億ドルの投資を行った。この関係は2002年に解消されていたが、今回の合意により、新たな関係に入った。

 同時に、三井住友側からは、M&A業務などにともなうGSの貸付等に対して10億ドルを上限として信用補完を行うこと、さらに中程度のリスク商品を引き受けることでの合意を与えた。

 みずほグループやUFJなども資本増強を図ろうとしている。三井住友とGSの合意は、大手銀行の生き残りをかけた動きに拍車をかけることになろう。

 

東証、平成14年9月中間決算発表の集計結果を公表

 東証は、1月10日、平成14年9月中間決算発表を行った東証上場会社の中間決算発表状況の集計結果を公表した。今回の特徴は以下のとおりである。

 まず、中間連結決算発表会社数は、前年の1,564社から14社減少して1,550社となり、9月中間決算発表会社1,685社(10月1日以降に上場廃止となった会社5社、変則決算期の会社1社を除く)に占める割合は、92.0%(前年92.5%)であった。発表会社数が14社の純減になった要因は、新規上場41社、3月期への決算期変更3社、連結の新規作成11社と55社増加する一方、上場廃止58社、3月期以外への決算期変更1社、連結の作成取り止め10社と69社減少したことによる。

 中間決算期末から中間連結決算発表までの平均所要日数は、前年比で1.7日短縮され、47.0日となった。発表時期も10月中に発表を行った会社が前年比で41社増加する一方で、12月中に発表を行った会社が15社減少しており、全体として発表の早期化が顕著に見られた。なお、個別中間決算における中間決算期末から発表までの平均所要日数も46.3日であり、昨年の47.4日と比較して1.1日短縮した。

 中間連結決算と個別中間決算を同時に発表した会社数は、前年の1,480社から29社増加して1,509社となり、連結決算発表会社全体に占める割合も前年から2.8ポイント上昇して97.4%となった。

 その一方で、中間決算発表は引き続き特定日への集中傾向が見られ、11月第4週(18日〜22日)には、中間連結決算発表会社全体の42.1%の652社が発表を行い、特に、11月22日(金)には全体の14.5%の225社が発表した。なお、昨年の最集中日での発表会社数は260社(構成比16.6%)であった。

 中間連結決算発表の所要日数20日以内の会社は、ホギメディカル(10日)、京都きもの友禅(10日)、アドヴァン(11日)、日立機電工業(18日)、KOA(18日)、日信工業(18日)であった。

証券業界、四半期財務情報の作成・開示の検討委員会を設置し、検討開始

 東京、大阪、名古屋、福岡、札幌の5証券取引所と日本証券業協会、ジャスダックは、1月10日、「四半期財務情報の作成及び開示の指針を作るための検討委員会」(座長:首藤恵中大教授)を設置し、16日に第1回の会合を開催した。

 この検討委員会は、四半期開示を自主的に開示する上場会社が増加する中で、明確な作成基準・開示に関する指針が存在しないために開示内容に差が見られるという状況を踏まえ、四半期財務・業績情報の開示導入を目標に、開示内容の最低限の比較可能性、正確性を担保するとともに、関係者間において理解の得られる四半期財務情報の作成・開示方法等に関する実務を早期に整理することなどを目的としている。検討のスケジュールとしては、15年7月を目途に実務ガイドラインなどの取りまとめを行うとしている。

 

平成15年度税制改正要綱閣議決定

 政府は,さる1月17日に,「平成15年度税制改正の要綱」を閣議決定した。

 この要綱は,昨年12月13日に決定された与党3党の「平成15年度税制改正大綱」を踏まえたものであり,これに沿って,来年度の国税関係の改正法律案が作成・国会提出されることとなる。

 主な企業関係の改正の概要は,次のとおり。

 1 法人税関係

 1 研究開発減税

 @ 試験研究費の総額に係る特別税額控除制度の創設

   試験研究費の総額の一定割合(8%〜10%。時限措置として2%上乗せして10%〜12%)を税額控除する制度を増加試験研究税制との選択制で創設する。

 A 産学官連携の共同研究・委託研究に係る特別税額控除制度の創設

   研究開発税制において,産学官連携の共同研究・委託研究について,一律12%(時限措置として15%)の税額控除率を適用する。

 B 中小企業技術基盤強化税制の拡充

   研究開発税制において,中小企業に対し,一律12%(時限措置として15%)の税額控除率を適用する。

 (注) 上記3つの措置は,平成15年1月1日以後に開始する事業年度で,かつ,平成15年4月1日以後に終了する事業年度について適用する。

 2 設備投資減税

 @ IT投資促進税制の創設

   IT関連設備の取得等をした場合に,50%の特別償却または10%の税額控除制度を創設する。

 A 開発研究用設備の特別償却制度の創設

   開発研究用設備の取得をした場合に,50%の特別償却制度を創設する。

 (注) 上記の2つの措置は,平成15年1月1日から平成18年3月31日までの間に取得等をして事業等の用に供した場合について適用する。

 B 研究開発の成果である最先端技術を活用した実用化第一段階の設備の取得に対し,最大で取得価額の40%の特別償却措置を講ずる。

 3 中小企業税制

 @ 研究開発税制において,中小企業に対し,一律12%(時限措置として15%)の税額控除率を適用する。(再掲)

 A 同族会社の留保金課税制度について,自己資本比率が50%以下の中小法人については,留保金課税を適用しない措置を講ずる。

 B 交際費等の損金不算入制度について,400 万円の定額控除を認める対象法人の範囲を資本金1億円以下の中小法人(現行資本金5,000 万円の中小法人)に拡大するとともに,定額控除額までの金額の損金不算入割合(課税させる部分)を10%(現行20%)に引き下げる。

 C 中小企業について,30万円未満の少額減価償却資産の取得価額を取得した事業年度に全額損金算入(即時償却)する特例制度を創設する。

 2 消費税関係

 1 中小事業者に対する特例措置

 ・ 事業者免税点制度の適用上限を1,000 万円(現行3,000 万円)に引き下げる。

 ・ 簡易課税制度の適用上限を5,000 万円(現行2億円)に引き下げる。

 (注) 上記の改正は,平成16年4月1日以後に開始する課税期間について適用する。

 2 申告納付制度等

   直前の課税期間の年税額が4,800 万円(地方消費税込6,000 万円)を超える事業者は,中間申告納付を毎月(現行3月ごと)行うこととする。

 (注) 上記改正は,平成16年4月1日以後に開始する課税期間について適用する。

 3 消費税法において,事業者がその相手方である消費者に対して商品の販売,役務の提供等の取引を行うに際し,予めその取引価格を表示する場合には,消費税額(含む地方消費税額)を含めた価格を表示することを義務付ける。

 (注) 平成16年4月1日から適用する。

 

日本監査役協会は,理事会を開催し本部事務所を千代田区丸の内の「丸の内中央ビル」に移転することを決定

 日本監査役協会は,1月9日の理事会で次のような議題について決議・報告を行った。

 1 本部事務所の移転

 本部事務所を東京都千代田区丸の内1丁目9番1号 丸の内中央ビル13階に移転することが承認され,移転作業は3月21日〜23日に行うことになった(登記上の移転日は本年4月1日とする)。

 2 報告事項

 ア 第30期第1四半期事業報告

 イ 商法施行規則改正公開草案に対する協会意見の提出の件

 ウ 米国企業改革法に対する官民合同調査団報告

  ※ 米国企業改革法が外国企業にも適用されるおそれがあることから官民合同調査団が派遣されることになり,吉井会長が参加したのでその結果が報告された。

 エ 協会創立30周年記念事業実施の件