特 集

制度改編期における税効果会計の諸問題

 

退職給付引当金の廃止が及ぼす問題点

―長期的差異の増大と配分範囲―

齋藤真哉

青山学院大学教授

 

 

Summary

 法人税法の平成14年改正により、退職給与引当金制度が全面的に廃止された。そのため会計上と税務上の退職給付に係る数値の差異が拡大し、長期にわたって解消しない将来減算一時差異の金額が増大することとなった。このことは、税効果の認識対象とする差異の限定を検討する必要性を生み出しているものと思われる。

 

Profile

さいとう・しんや■1959年生まれ。1989年一橋大学大学院商学研究科博士後期課程単位修得。青山学院大学経営学部専任講師、助教授を経て、現職。1993年4月より2年間、ドイツ・マンハイム大学にて在外研究。単著『税効果会計論』(森山書店、1999年)、共著『簿記と企業会計の新展開』(中央経済社、2000年)等。