特 集

会計基準と概念フレームワーク

 

会計情報の利用目的と会計不信

伊藤邦雄

一橋大学教授

 

 

Summary

会計情報の利用目的は意思決定支援機能と利害調整機能の2つに大別される。最近のエンロン事件を契機とする会計不信は、会計情報の信頼性を高めるよう会計基準の見直しを迫っている。ただ、そうした状況は会計情報の利用目的をめぐって、2つの正反対の潮流の交錯を生んでいる。わが国会計界は、世界標準化の波に呑み込まれずに、そうした問題に主体的に取り組んでいく必要がある。

 

 

Profile

いとう・くにお■1951年生まれ。1980年一橋大学大学院博士後期課程修了。同年、一橋大学商学部専任講師。その後、助教授、教授を経て、2002年8月より一橋大学大学院商学研究科長・商学部長。商学博士。主な著書に『会計制度のダイナミズム』(岩波書店)、『ゼミナール現代会計入門』、『グループ連結経営』、『コーポレートブランド経営』、『EVA 価値創造への企業変革』(訳書)(以上、日本経済新聞社)などがある。