特 集

会計基準と概念フレームワーク

 

連結会計制度と配当可能利益算定機能

広瀬義州

早稲田大学教授

 

 

Summary

商法に連結決算が導入されることになり、日本の企業会計が名実ともに連結中心になる。しかし、連結財務諸表が利害調整機能をもたないままでは、連結中心の企業会計制度が有効に機能するとは考えにくい。

  このような問題意識から連結財務諸表に少なくとも配当可能利益算定機能をもたせるために親会社の単体に持分法を義務づけることを提言し、また持分法投資利益が、仕訳上は未実現であるが、事実上は実現が保証されていることを明らかにし、連結財務諸表による配当可能利益計算について検討する。

 

 

Profile

ひろせ・よしくに■1980年早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程修了。現在、早稲田大学教授・商学博士、経済産業省企業法制研究会(ブランド価値評価研究会)委員長。主な著書に『会計基準論』(中央経済社、1995年、平成7年度日本会計研究学会・太田賞受賞)、『コンメンタール国際会計基準T‐X(全5巻)』(税務経理協会、1999‐2000年、編著)、『連結会計入門(第2版)』(中央経済社、2000年、編著)、『財務会計(第3版)』(中央経済社、2002年)、『FASB財務会計の諸概念(増補版)』(中央経済社、2002年、共訳)、『ブランドの経営と会計』(東洋経済新報社、2002年、監訳)他多数。