特 集

会計基準と概念フレームワーク

 

利益概念と情報価値

藤井秀樹

京都大学大学院教授

 

 

Summary

 利益概念をめぐる近年の問題状況は,利益概念の二元化=非連携問題の発生・展開によって特徴づけられる。それは,画一的ルールの採用によって会計的判断から「経営者の意図」を排除しようとする基準設定の結果であった。

 本稿では,先行研究の諸成果にもとづき,こうした基準設定が理論的にも実証的にも現実的妥当性を欠いていることを明らかにした。

 

 

Profile

ふじい・ひでき1956年生まれ。1978年京都大学経済学部卒業,1984年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(経済学)。京都大学経済学部助教授等を経て,1998年から現職。主要著作に,『現代企業会計論』(森山書店,1997年),『GASB/FASAB公会計の概念フレームワーク』(監訳,中央経済社,2003年)などがある。