特 集■

変貌する「資本の部」への実務対応

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債務の株式化と会計上の評価

明石一秀

Akashi Kazuhide

 

Summary

 債務の株式化(DES )により取得する株式については,現物出資した債権券面を簿価として計上すると、金銭債権についての貸倒引当金戻入益が生じることは不合理ではないかとの指摘がなされている。

 本稿は、金銭債権と株式との法律構成の異同に遡って検討し,「株式価値」は企業の将来収益を中核として認識されること、将来収益に基づく企業価値のレベルに資本を再構成する方法としてDES を活用できる条件を吟味することにより、上記批判の妥当性を検証し、DES により取得する株式についても、原則として取得原価主義が適用されるべきであるが、一定の例外を定める必要があることを明らかにする。

 

Profile

あかし・かずひで■弁護士、あすか協和法律事務所パートナー。企業法務、事業再編などを幅広く手がけ、東邦生命とGEとの提携、特別公的管理(金融再生法)銀行内部調査委員(貸出金の評価、粉飾決算担当)、そごうの私的整理案作成、同民事再生等申立、マイカルの店舗買収のための資産査定など企業再生、不良債権処理に関連する実務に関与し、産業活力再生法の旧郵政省1号案件としてスカイエンターテーメント(現ジェイ・スカイ・スポーツ)のDES を手がけ、東京地裁民事8部の運用変更の先鞭をつけた。