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SICの改組に関する定款変更を承認

 評議会(Trustees)は3月5日に旧Standing Interpretations Committee(解釈指針委員会、SIC)をInternational Financial Reporting Interpretations Committee(国際財務報告基準解釈委員会、IFRIC)に改組する定款変更を承認した。同委員会の改組後第一回会合はすでに実施されている。

3月理事会

 3月19日から22日まで東京で開催され,19日には理事会メンバーと日本の企業会計基準委員会メンバーによる意見交換の場が持たれた。 理事会で話し合われた内容は以下のとおり。

 ■ 企業結合(フェーズ1)

 現在までに合意した内容にそった公開草案を作成することで合意。パーチェス法を適用しない企業結合の条件など、検討課題を引き続き協議。

 ■ SIC(解釈指針)32を承認

 ウェブサイト作成費用を無形固定資産に計上する条件を規定したもの。

 ■ IFRSの初回適用

 以下の事項を討議決定し、公開草案の作成を開始することとなった。

 ・ 開示した最初の年度の期首からIFRSを適用すること

 ・ 従前の会計基準によるヘッジ会計の取扱い

 ・ 売買可能証券の累積損益を剰余金に含める

 ・ 再評価された固定資産の取扱い

 ・ 従前の会計基準による数値との比較を求める項目

 ■ 現存する基準の改訂

 IAS24(関係会社に関する表示)について関係会社の開示を省略できる条件を討議。

 ■ 保険会計

 協議を継続したが決定事項はなし。

 ■ 業績報告

 有形固定資産にかかわる収益の定義と業績報告の様式について意見交換。

 ■ 株式報酬会計

 ストックオプションの公正価値を決める方法としてオプション価格モデルの採用を仮決定した。

 

基準の過重との取組み

 基準の過重 (standards overload) という用語は,会計基準の量とそれが複雑かつ詳細であること,それが要求する過度の注記による開示,および特定の主題に関するすべての会計上の規則を見いだすことが容易ではないことについて使用されてきた。その懸念は,昨年行った諮問会議調査の回答の形で再浮上した。FASBは懸念に同意し,次の課題を進めることになった。

 ・ 簡素化の必要性への取組み

 FASBは,詳細な規則・例外・代替策を含む基準ではなく,基礎になる原則と目的を強調した基準を設定することの実行可能性を評価することに同意した。より大まかな基準への移行は,取引の形式ではなくその実質に関する会計に焦点を置くことになるため,財務諸表の作成者と監査人は,会計基準を適用するに当たり,規定の字義だけではなく,その規定の目的に準拠するよう求められる。また構成員は,多くの取引について詳細な指針がないことを受け入れることになろう。

 審議会は, FASBの基準が取り組むべき問題とそうでない問題の種類を決定する指針を含む枠組み案を作り,次にその枠組みが適用されると現行の基準のいくつかがどのようになるかを示した例示を作って,その両者を含む討議資料を配布して,種々の構成員グループと,遅くともこの夏に討議を開始する計画である。

 将来基準がそれほど詳細でなくなると,類似の取引が異なって処理される可能性が生じる。異なる処理が比較性を損なうときは,基準の導入・解釈指針を提供する権威ある機関が必要となろう。したがって,その枠組みに従った基準の発行に合わせるために現在の基準設定機構をどのように変えるかが次の問題になるが,これは発生問題専門委員会・米国公認会計士協会・SECの代表との小さな集まりで討議し,公式見解の発行および補足する指針の提供に関して関係機関の間でどのように業務を分担するかを決定する計画である。

 ・ 体系化および検索可能性

 特定の主題に関する指針を見いだすために探すべき権威ある文献が増加する一方であるとの懸念に応えて,FASBは会計上の文献の検索可能性と使用可能性を増進することを目標にした多くの課題を遂行することに同意した。FASB職員は,将来の基準が文献の複雑性を増進させず,かつ現行の文献の量を減少させることを保証する方向で,将来の基準を設定する手続を開発する過程にある。FASBは,将来の基準書に現存の文献を取りこむ試みをしているが,これは徐々にだが着実に探すべき文献の量を減らすであろう。

 ・ 開示の過重

 開示の過重に関する懸念に応えて,財務諸表が一般投資家にとって有用かつ利用可能であるような開示の簡素化に向けたSECの作業を援助し,かつ両機関の間の調整をするためにFASB職員を選任した。

 FASBは,上述の計画により財務報告の基本的な枠組みが簡素化され,また検索が容易になることにより,財務報告を改善する可能性が高まると考えている。

 

環境省、「環境会計ガイドライン(2002年版)」を公表

  環境省(総合環境政策局環境経済課)は、さる3月28日、「環境会計ガイドライン(2002年版)」を公表した。

  これは、昨年10月に設置した「環境会計ガイドライン改訂検討会」において、本年2月に公表した「環境会計ガイドライン2002年版(公開草案)」に対して寄せられた意見を踏まえ、「環境会計ガイドライン改訂検討会報告書」としてとりまとめたもので、平成12年5月に公表した「環境会計システムの導入のためのガイドライン(2000年版)」を、企業等における利便性を向上させることを目的として改訂されたものである。

  環境会計は、企業等の環境保全への取組みを定量的に評価するための枠組みの一つであり、企業等にとっては、自社の環境保全への取組みをより効率的で効果の高いものにしていくための経営管理上の分析手段となり(内部機能)、企業等を取り巻く利害関係者にとっては、統一的な枠組みを通じて企業等の環境保全への取組みを理解するための有効な情報となる(外部機能)。

  そこで環境省では、環境会計への取組みを支援するために、環境会計に関する共通の枠組みを構築することを目的として、「環境会計システムの導入のためのガイドライン(2000年版)」の公表と、その普及を図ってきた。

  この「環境会計システムの導入のためのガイドライン(2000年版)」公表以降、環境会計に取り組む企業数の増加と実務面での進展、昨年2月の環境報告書および環境パフォーマンス指標ガイドラインの公表、国際連合持続可能開発部など海外での調査研究の進展などを踏まえ、企業等でのさなる活用を促進するとともに、取組企業数の拡充にむけて改訂が行われてきた。

  今後の予定としては、環境会計の取組みを一層促進させるため、「環境会計ガイドライン」の普及を図りつつ、企業等の実務者や消費者、取引先、投資家、従業員等の利害関係者の利便性を一層高めるため、環境会計手法のうち、さらに整備が必要な使用時・廃棄時の環境保全効果の算定や維持的な性格を持つコストに対応する効果の測定、環境ビジネスへの応用等について検討を進め、今後の実務、研究の進展に対応していく方針。

  なお、今回のおもな改訂点と改訂検討委員会のメンバーは以下のとおりとなっている。

  1 外部機能の一層の明確化

  環境会計情報の開示を、環境報告書の一部と位置づけ、環境会計の外部報告を念頭にした一般的要件を設定した。さらに、環境会計情報の利用者の誤解を防ぐため、基本となる事項や開示項目などを明瞭に表示することとした。

  2 環境保全コストの精緻化

  環境保全コストについては、既存の枠組みを維持しつつ、個別の環境保全コストの内容をより精緻化した。また、実務の利便性を図るため、「投資額」と「費用額」をそれぞれを財務会計上の「償却資産の当期取得額」、「費用または損失」とした。

  3 環境保全効果の体系化

  環境保全効果については、環境パフォーマンス指標ガイドラインに準拠し、事業活動との関連から、投入、排出、産出、輸送等に体系的な区分をした。また、外部に公表する場合の表現方法についても、同様の体系により区分を明確にした。

  さらに、環境保全効果の算定方法について、基準期間との単純比較による方法など新たに一定の考え方を提示した。

 4 環境保全対策に伴う経済効果の体系化

  環境保全対策に伴う経済効果については、発生の確実さおよび発生形態によって概念を整理した。

  また、環境保全対策に伴う経済効果の算定方法について、環境保全効果の算定に準じた考え方を提示した。

  環境会計ガイドライン改訂検討会委員

(座長)河野 正男 横浜国立大学大学院 国際社会科学研究科教授

   郡嶌  孝 同志社大学 経済学部教授

   上妻 義直 上智大学 経済学部長

   國部 克彦 神戸大学大学院 経営学研究科教授

   小林 珠江 株式会社西友 環境推進室長

   多田 博之 ソニー株式会社 社会環境部社会環境リレーション室長

   則武 祐二 株式会社リコー 社会環境本部環境経営推進室長

   水口  剛 高崎経済大学 経済学部助教授日本公認会計士協会 環境会計専門部会長

    宮多  良 キリンビール株式会社 社会環境部担当部長

   森下  研 株式会社エコマネジメント研究所代表

   矢部 浩祥 中央大学 商学部教授

(敬称略、五十音順)

 

東証、上場会社に定性的情報の記載充実を要請

  東証は、さる3月28日、上場会社に対して、決算発表資料等における定性的情報の充実に関する要請を行った。この定性的情報とは、経営方針、経営成績および財政状態ならびに予測財務情報等についての上場会社自身による記述的説明である。東証では、平成11年3月以来、上場会社の事業活動、経営成績および財政状態に関する適切な情報開示を通じて、投資者の的確な投資判断に資するため、決算に関する情報を開示する際の「決算短信」等の添付資料として、定性的情報を「経営方針」および「経営成績」の2つに区分して、各社の実態に応じて記載を求めてきた。

  今回の要請の背景は、上場会社の事業活動に伴うさまざまなリスクや事業の将来見通しといった情報に対する投資者のニーズが急速に高まってきており、従来の定性的情報の記載形式では適切な開示が難しくなってきたことによる。

  見直しの内容は、「経営成績」に関する記載を「経営成績及び財政状態」に改めている。これは、事業活動の成果である経営成績の適切な分析とその将来の見通しを相互に関連付けて記載することを容易にするとともに、キャッシュフローの状況や見通しなどの「財政状態」に関する情報についても、積極的に開示することを期待したものである。

  今回の要請を踏まえた決算発表資料等における定性的情報の内容を例示すると以下のとおりである。

  まず、「経営方針」に関する記載内容としては、@会社の経営の基本方針、A会社の利益配分に関する基本方針、B投資単位の引下げに関する考え方及び方針等、C目標とする経営指標、D中長期的な会社の経営戦略、E会社の対処すべき課題、F会社の経営管理組織の整備等(コーポレート・ガバナンスの充実)に関する施策、G関連当事者(親会社等)との関係に関する基本方針、Hその他、会社の経営上の重要な事項、から構成されている。

  次に、「経営成績及び財政状態」に関する記載内容としては、@「経営成績」とA「財政状態」から構成されている。「経営成績」では、決算発表対象事業年度の分析に加え、公表する次事業年度の業績予想数値に関する根拠や前提条件等に関する記述を求めている。また、「財政状態」では、決算発表対象事業年度のキャッシュフローの状況分析や、次事業年度の財政状態やキャッシュフローに関する見通しおよびそれに重要な影響を与える事象がある場合にはその内容や影響の程度などの記載を求めている。

 

ペイオフ解禁

 この4月から銀行のペイオフ制度が解禁になった。これを受けて資金の流れが変化している。一方、銀行の不良債権の処理額は巨額にのぼり、その処理によって大手銀行の前年度決算はすべて赤字になった。

 4月から解禁となった銀行のペイオフの対象は定期性預金である。当座預金や普通預金という流動性預金のペイオフ解禁は来年4月に予定されている。

 このペイオフを目前に控え、預金の状況に変化が生じている。その特徴は次のとおりである。

 第一に、預金全体では前年と比べて3%近く増加しているものの、その大部分が都市銀行に集中している。地方銀行、信用金庫の預金量はほぼ前年並みにとどまり、第二地銀はわずかではあるが減少している。

 第二に、流動性預金が大幅に増加する一方で、定期性預金は減少している。定期性預金の減少率は、銀行全体では8%程度であるが、都銀では10%に達している。すなわち、他の業態と比べた都銀の特徴は、預金全体では増加しているものの、その増加は流動性預金によるものであり、定期性預金は大幅に減少していることにある。

 これらの状況から、ペイオフに備えて預金の預け替えが相当あると推察される。地方公共団体に代表されるように、定期預金を流動性預金に預け替える動きである。都銀の場合、この動きが極端に現れている。また、「都銀のような大きい銀行は簡単にペイオフにならない」との思惑も影響していよう。

 4月12日、金融庁の特別検査の結果が公表された。これは昨年10月末から金融庁が、銀行経営の実態を把握し、またシステムに対する不安を情報開示で和らげる目的で、大手銀行(4大銀行グループ、大和銀行グループ、中央三井信託、住友信託の13行)の大口貸出先(貸出残高100億円以上の先)に対して実施していたものである。

 それによれば、特別検査の対象となった貸出12.9兆円のうち、要管理先が4.2兆円、破綻懸念先以下が3.7兆円であり、いわゆる不良債権は合計で7.9兆円に達していることが判明した。昨年9月末比で不良債権は4.7兆円増加したことになる。

 破綻懸念先に分類されると、銀行は3年以内に法的整理や債権売却などの最終処理を求められる。今年に入り、問題先と目されていた企業に対して銀行は債権放棄やデット・エクイティ・スワップなどを相次いで実施していたが、その背景には、この特別検査の厳しい結果があったと考えられる。

 この特別検査にともない、大手銀行は昨年度決算で7.8兆円の不良債権処理損失を計上する方針である。この処理額は特別検査開始時点での予想額5.9兆円を1.9兆円上回り、その結果、大手銀行はすべて赤字決算となる。

 以上のように、ペイオフが始まり、預金の大幅変動、業務純益を大幅に上回る不良債権処理など、銀行を取り巻く環境は依然として厳しいものがある。

 

租税特別措置法の改正法,参議院本会議で可決・成立

 さる2月1日に閣議決定され,同日に国会に提出されていた国税関係の平成14年度の税制改正法案である「租税特別措置法等の一部を改正する法律案」については,2月19日に衆議院本会議で財務大臣の趣旨説明と審議が行われ,財務金融委員会に付託された。2月27日には,衆議院財務金融委員会において提案理由の説明が聴取され審議が開始された。3月6日には審議を終え,賛成多数で可決された。さらに,同日の衆議院本会議で可決された後,参議院に送付された。

 参議院においては,3月13日の参議院本会議において,財務大臣の趣旨説明と審議が行われ,財政金融委員会に付託された。参議院財政金融委員会では,3月19日に提案理由の説明が聴取され,3月26日および28日に審議が行われた後,賛成多数で可決された。そして,翌3月29日には参議院本会議で可決・成立した。

 今国会で成立した「租税特別措置法等の一部を改正する法律」は,社会経済情勢の変化や厳しい財政状況を踏まえつつ,構造改革に資する等の観点から,中小企業関係税制および金融・証券税制等につき所要の措置を講ずることを内容としており,概要は,次のとおりである。

 第一に,中小企業関係税制について,同族会社の留保金課税の特例の拡充,交際費の損金不算入制度に係る定額控除限度額の引上げ等を行うこととされている。

 第二に,金融・証券税制について,老人等の少額貯蓄非課税制度を障害者等を対象とした制度に改組するほか,特定口座内の上場株式等の譲渡等に係る申告不要の特例制度の創設等を行うこととされている。

 第三に,社会経済情勢の変化に対応するため,中高層耐火建築物等の所有権等の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置,金融業務特別地区における認定法人に係る所得の特別控除制度の創設等沖繩の経済振興のための措置等を講ずることとされている。

 その他,製品輸入額が増加した場合の特別税額控除制度の廃止等,既存の特別措置の整理・合理化を行うとともに,特別国際金融取引勘定に係る利子の非課税制度等期限の到来する特別措置についてその適用期限を延長する等,所要の措置を講ずることとされている。

 なお,本法律は,3月31日に関係政省令とともに公布されている。

 また,平成14年度税制改正事項のうち,連結納税制度を創設すること等を内容とする「法人税法等の一部を改正する法律案」については,その準備作業が複雑かつ膨大であるため,法案の提出は5月上中旬になるものと見込まれている。

 

日本監査役協会「企業統治に関する商法等改正と実務対応」を作成

 日本監査役協会では,監査役制度の強化,代表訴訟制度の合理化等を図る「企業統治に関する商法等の一部を改正する法律」が成立したことから,同法により監査役が対応すべき実務指針等を取りまとめた「企業統治に関する商法等改正と実務対応」を3月15日全会員に配布するとともに,協会ホームページに掲載した。

「社外監査役候補者リストの作成と情報提供」を開始

「企業統治に関する商法等の一部を改正する法律」の成立により,大会社では「社外監査役」を半数以上選任しなければならないことになり,「社外監査役」に相応しい人材の確保が急務になっている。

 日本監査役協会は,6,000 人を超える現職の監査役を会員とする組織で,監査実務に精通した会員は改正法による「社外監査役」に相応しい人材であり,この人材を有効に活用する方策として,協会では,社外監査役に就任する意思がある者のリストを作成し,「社外監査役候補者」を求める会社に無償でその情報を提供する業務を開始することになった。