Summary

新監査基準の実施基準は旧監査基準ならびに同監査実施準則に比べて大きく変わった。まず、監査実施準則を削除し、日本公認会計士協会の実務指針との連係を強めた。そのうえで、リスク・アプローチの監査手法を基準構成の基軸に据えて、監査の実務的な手順に沿って基準を構成した。

　これらの措置は、日本の監査実務の国際的な標準化を果たすことで、わが国の企業が発信する財務情報に付与する信頼性の水準を国際的なレベルに引き上げるためのものである。

Profile

やまうら・ひさし■

1948年福岡県生まれ。1976年一橋大学大学院商学研究科博士課程単位取得後，千葉商科大学専任講師，千葉大学法経学部教授を経て，現在明治大学教授。商学博士。また，現在日本会計研究学会評議員，日本簿記学会理事，日本監査研究学会理事，金融庁企業会計審議会委員，内閣府金融審議会臨時委員，金融庁公認会計士２次試験委員を務める。主要著書に『英国株式会社会計制度論』（白桃書房，1993年，1993年度日本会計研究学会太田賞受賞），『監査の新世紀』（税務経理協会，2001年），『公認会計士監査』（山浦久司監訳，児嶋隆・小澤康裕共訳，白桃書房，2001年），「会計監査論（第２版）」（中央経済社，2002年）他多数。