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ASB 、会計基準等の開発・公表形式を明らかに

  先般、企業会計基準委員会(ASB)は、企業会計の基準および実務上の取扱いに関する指針の開発・公表形式を明らかにした。

  1 会計基準等の体系・名称

 ASBが公表する会計基準等は、以下の体系によるものとし、この区分ごとに付番をして公表する。

 @ 企業会計基準

  会計処理および開示の基本となるルールを定める。

 A 企業会計基準適用指針

  基準の解釈や基準を実務に適用する際の指針を定める。

 B 実務対応報告

  基準がない分野についての当面の取扱いや、緊急性のある分野についての実務上の取扱い等を定める。公開草案、論点整理を公表する場合も上記の区分ごとに公表されるが、論点整理には付番はされない。

  2 公表までのデュープロセス

 会計基準は、承認されている委員会運営規則に従い@論点整理、A公開草案、B会計基準等の順に公表される。

 @Aについては、一般からの意見募集を行い、これらの意見は提出者名を含め公開されることがあるが、直接これに解答することは原則として行わない。

 なお、会計基準の開発に際し、論点整理は必要に応じて、公開草案は原則として作成する方針。

  3 会計基準等の内容構成

 会計基準等は、原則として以下の構成による。

 ・目的

 ・会計基準(適用指針)

  範囲、用語の定義、会計処理、適用時期、審議および議決

 ・結論の背景

 ・設例

 なお、適用指針、実務対応報告はQ&A形式で公表されることもあり、また論点整理はこの内容構成に従って公表されるものではない。

  4 会計基準等の公表時期及び方法

 会計基準等が本委員会で議決された際は、必要な手続きを経て遅滞なく公表する。なお、公表はHP上で行われるほか、必要に応じて記者発表を行うこととしている。

 5  日本公認会計士協会(JICPA)が公表してきた実務指針との関係

  従来JICPAが公表してきた実務指針等については個々に改廃されない限り、従来どおりの効力を有するものとする。

 今後、従来の「実務指針等」に相当する「適用指針」開発の基本方針は以下のとおりである。

  @ 新規の適用指針は、ASBが担当する。JICPAが公表した実務指針等のメンテナンスは原則としてJICPAが担当することとするが、修正の基本的方向はASBが調整する。

 A JICPAが公表した実務指針等の大幅な改訂および新規の適用指針が必要とされる場合は、ASBが担当する。この場合、ASBは協会に協力を要請することがある。ASBによる新規の基準等の公表により、JICPAの実務指針等が改廃されるべき場合は、ASBの依頼に基づき協会が改廃する。

 B 基本方針に基づき具体的に担当を決定する場合の判断は、ASBがイニシアティブをとる。

 C 業種別会計の実務指針等については、新規のものであってもASBが協会に担当を要請することがあるものとする。

 

収益と負債の認識等の新しい課題

 1月9日の審議会会合で,FASBは,収益と負債の認識に関する課題の提案を発表することを決定した。また,FASBは無形資産の開示ならびに現存する会計文献の体系化および簡素化に関する課題を加えることを決定した。

 ・ 収益と負債の認識

 FASB専門委員会(EITF)は,収益と負債の認識に関する問題を解決する難問に直面して,相当の時間を消費している。それらの問題の例としては,複数の製品またはサービスを含む収益の取り決めおよび顧客が返還権を有するときの収益の認識への影響がある。さらに収益の認識は,虚偽の財務報告および財務諸表の修正再表示の最も多い事例になっている。提案される議題は,収益認識一般に関する会計基準を開発することにより,この問題に焦点を当てようとする。

 新基準が基礎にしようとする現存の概念指針には,特定の局面で不備がある。すなわち,収益認識に関する概念指針は,それ自体の中に,また負債の認識と整合していないところがある。したがって,この議題は収益の認識に関連する概念書の一部の改訂として指針を見なおすことになろう。提案は1月下旬に60日の期限でコメントを求める予定である。

 ・ 無形資産に関する開示

 この議題は,現在財務諸表中に報告していない無形資産に関する情報の開示に関する基準を設定しようとする。その例には,ブランド,顧客名簿,実施権契約および特許権を取得した技術などを含む。その範囲には,貸借対照表中には認識していないが,個別に,または企業結合により取得したときは,基準書第141号「企業結合」並びに同第142号「暖簾および他の無形資産」により認識されるはずの無形資産を含み,取得した仕掛り中の研究開発費もその対象になる。FASBは,開示を求める情報の種類を検討するが,開示には,無形資産の公正価額またはその形成のために要した原価に関する情報を含むことになろう。

 ・ 体系化および簡素化

 FASBは,構成員の懸念に応えて,EITF,米国公認会計士協会(AICPA )および証券取引委員会(SEC)の発行した指針を含む会計上の文献の複雑性と,それを容易に検索できない問題を克服するためにそれらを体系化し,また簡素化する議題を取り上げることにした。その一部として将来の基準書とその原本(CurrentText)中には,すべての適用ある米国の会計上の文献への参照を含める計画である。またこの課題中で,FASBは,EITF,AICPAおよびSECとともに,会計基準設定にかかるそれぞれの役割をより明確にすることを計画している。

 

日本公認会計士協会、問題事案の審査結果公表へ

 日本公認会計士協会は、協会会務の処分の透明性を確保するため公認会計士の粉飾決算見逃しなどの不正問題についてその審査結果をできるだけ積極的に公表する制度改革を行い、近くこれが始動する。

 具体的には、協会が行なう会員の監査業務にかかる審査、指導および監督に関連する機関の活動を第三者の有識者を中心に組織する「監査業務モニター会議」に報告、同機関の提言に基づき逐次その活動を見直し、またここからの提言に基づき個別の審査結果を公表することとされた。ここで,公表に際しては基本的には検討過程から結論に至る経緯まで出来るだけ積極的に公表する一方,会員の権利保護と監査上の守秘義務には慎重に配慮される見込み。

 なお、昨年12月に監査業務モニター会議の構成員が、江頭憲治郎(東京大学法学部教授)、大塚宗春(早稲田大学商学部教授)、金原策太郎(株式会社東京証券取引所専務取締役)、末村篤(日本経済新聞社編集委員兼論説委員)、高谷卓(富士通株式会社代表取締役副社長)、中地宏(日本公認会計士協会前会長)に決定した。

 

東証、再建企業の上場申請要件を緩和

 東京証券取引所は、1月15日、「私的整理に関するガイドライン」の策定や会社更生法等の事業再建法制の整備など、企業再建の円滑化のためのさまざまな施策が講じられていることを踏まえ、企業再建に関する上場制度の改正を行った。

 具体的な改正内容の1点目は、「新規上場の申請要件の見直し」である。これは、従来、会社更生手続が終結後3年を経ない場合には上場申請を受け付けないとしている一律的な要件を撤廃し、手続終結後3年を経ない場合であっても、上場申請を受け付けるというものである。これにより、債務の整理を経て、良好な経営状態となった会社の早期上場が可能となる。

 ただし、今回の見直しは、法的再建を行っている会社を特に優遇しようとするものではなく、上場審査基準に定める財務的要件や質的要件に適合することを求めている。その関係で、利益の額に係る基準の適用においては、審査対象期間中に再建計画の定めによる債務免除益がある場合には、当該金額を控除して取り扱うこととしている。また、再建計画の遂行途上にある会社からの上場申請が行われる場合には、当該計画による株主の権利の制約、経営管理組織の整備・運用状況等が投資家保護上問題ないかどうかを含め、審査を行うこととしている。

 改正内容の2点目は、「破産等に係る上場廃止基準の明瞭化」である。具体的な内容としては、私的整理を行おうとする上場会社に誤解されることとならないように、再建を目的とした私的整理は上場廃止にはならないことを上場廃止基準上明らかにした。また、上場会社が私的整理を行おうとする場合で、再建計画の合意が得られないこととなった場合には、破産等に係る上場廃止基準に該当するおそれが高いものとして、「監理ポスト」へ割り当てることとした。さらに、私的整理の合意の不成立時には、投資判断上、重要な影響を及ぼす事実であることから、適時開示事項として、上場会社に開示義務を課すこととした。今回の改正規則は、2月1日に施行予定である。

東証、第7回ディスクロージャー表彰会社を選定

 東京証券取引所は、1月11日、上場内国会社1,888社を対象として、伊藤邦雄座長(一橋大学教授)ら7人の委員からなるディスクロージャー表彰委員会で、ディスクロージャーに積極的に取り組んでいると認められる上場会社7社を選定した。なお、東レ、花王、ソニー、日立製作所など第3回〜第6回の表彰会社22社は、選考対象外である。

 今回の表彰会社は、潟jチレイ、山之内製薬梶Aマックス梶A松下電器産業梶A潟潟Rー、潟oンダイ、ユニ・チャーム鰍ナある。マックス鰍ヘ第2回に続き、2回目の受賞である。表彰会社の評価ポイントは、総じて、決算発表の早期化、前提条件や留意事項等を明示した上での次期業績予想の開示、事業報告書の見やすさ・わかりやすさの工夫など、決算短信および事業報告書の内容等について全体としての充実度が高く評価されたものである。各表彰会社における個別の評価ポイントは以下のとおり。

〈潟jチレイ〉

・ 決算発表の早期化が図られている。

・ セグメント情報が充実しており、次期の見通しについてもセグメント別に開示している。

・ 経営目標が数値化されており、中期経営計画の内容についても詳細に解説している。

・ 前提条件および留意事項等を明示の上、次期の業績予想を開示している。

〈山之内製薬梶r

・ 決算発表の早期化が図られている。

・ 決算短信および事業報告書ともに、全体的によくまとまっていて、見やすい内容になっている。

・ 事業報告書において、中長期的な重点課題および新薬の研究開発の状況について詳細に解説している。

・ 前提条件および留意事項等を明示の上、次期の業績予想を開示している。

〈マックス梶r

・ 早期の決算発表に加え、四半期財務情報の開示を行っている。

・ 経営目標が数値化されている。

・ 前提条件および留意事項等を明示の上、次期の業績予想を開示している。

・ 前回表彰時と比較して、決算発表の早期化に加え、決算短信および事業報告書等の記載内容についても充実が図られている。

〈松下電器産業梶r

・ 連結子会社を数多く有する中で、決算発表を大幅に短縮した。(前年比13日短縮、前々年比21日短縮)

・ 四半期財務情報の開示を行っている。

・ 前提条件および留意事項等を明示の上、次期の業績予想を開示している。

・ 事業報告書において、特集として新規3ヵ年計画についてわかりやすく解説している。

〈潟潟Rー〉

・ 決算発表の早期化が図られている。

・ セグメント情報をはじめ経営成績の記述が詳細で、また、グラフを用いるなど分かりやすさに工夫が見られる。

・ 事業報告書は、財務諸表の主な科目にコメント解説があり、また、会計基準の変更の影響、売上高に対する為替の影響についてコメントがあるなど、わかりやすい内容となっている。

・ 前提条件および留意事項等を明示の上、次期の業績予想を開示している。

〈潟oンダイ〉

・ 決算発表の早期化が図られている。

・ 事業報告書は、財務ハイライト、事業別売上高、利益の額の推移がグラフ化されるなど、わかりやすい内容となっている。

・ 事業報告書においては、主力商品や事業展開などの説明をはじめとして、視覚的に奇麗で、見やすさ、わかりやすさへの工夫が見られる。

〈ユニ・チャーム梶r

・ 決算発表の早期化が図られている。

・ コーポレート・ガバナンスに関する施策について詳細に記述されており、また、経営成績についても表を用いてわかりやすく記述されている。

・ 事業報告書においては、冒頭で経営者の会社運営の方針についてQ&A形式で紹介し、また、経営方針、グループ経営の状況について図表を用いて説明するなど、わかりやすく、株主に語りかけるような内容となっている。

・ 財務諸表の主な科目についてコメント解説があるなど、わかりやすさに工夫が見られる。

 

 1月18日、投資信託協会は、MMF(マネー・マネージメント・ファンド)に関するルールを作成、公表した。昨年9月以降、MMF の元本割れが多発し、19兆円近くあった残高が12月末には7兆円台にまで急減した。新しいルールがMMF の信頼回復に結びつくのかどうか、注目される。

 MMF は証券版普通預金として、出し入れが自由で元本が保証されているとのイメージが定着してきた。しかし、昨年9月にマイカルの社債を組み入れていた明治ドレスナー社のMMFが元本割れとなり、11月にはアメリカのエネルギー会社であるエンロン社の社債を組み入れていた日興アセットマネジメントやUFJパートナーズ投信など4社のMMFも元本割れした。元本保証とのイメージが崩れたため、解約が殺到したわけである。

 MMFの残高が急減した背景には、「普通預金よりも高い利率」を求めてMMFに流れ込んでいた法人の資金が元本割れに失望し、流出したためである。ちなみに、元本割れの直前にはMMFの残高の8割が法人の資金だった。

 では、なぜ高い利率を生み出せたのか。

 第一に、MMFの残高が安定的で底溜まり資金があるとすると、期間の長い(それゆえに利率の高い)公社債を組み入れることが可能なためである。実際、比較的長い公社債が一部保有されている。また、この底溜まり資金に対応する公社債は満期保有目的債券とすることが可能であり、時価評価を免れる。

 第二に、銀行劣後債やマイカル債のような格付けが低く、利率の高い社債を組み入れていたことである。

 しかし、その低格付け社債の一部がデフォルトし、元本割れを招いた。そして、元本割れにともなって資金が大量に流出したため、満期保有目的債券も時価で売却せざるをえなくなり、その売却損も追加で発生した。MMFの高い利率はリスクと表裏一体だったわけである。

 投資信託協会が公表したMMFのルールのうち、組み入れ資産に関する骨子は、平均残存期間は180日以内、公社債は安全性の観点からBBB格以上の格付けに限定、満期保有目的債券はさらに安全性を重視してA格以上の格付けに限定というものである。これらは、今までのMMFの欠陥に対処したものとみられる。また、投資信託協会がすばやくルールを作ったのは、MMFが証券会社の戦略商品だったためでもある。

 

平成14年度税制改正要綱閣議決定

 政府は,さる1月17日に,「平成14年度税制改正の要綱」を閣議決定した。

 この要綱は,昨年12月14日にとりまとめられた政府税制調査会の「平成14年度の税制改正に関する答申」および同日に決定された与党3党の「平成14年度税制改正大綱」を踏まえたものである。

 この「平成14年度税制改正の要綱」では,社会経済情勢の変化や厳しい財政状況を踏まえつつ,構造改革に資する等の観点から,連結納税制度を創設するとともに,中小企業関係税制および金融・証券税制等につき所要の措置を講ずることとされており,そのポイントは次のようになっている。

 1 連結納税制度

  連結納税制度を創設することとし,次の措置を講ずる

 ・ 適用法人:内国法人である親会社と100 %子会社

 ・ 連結税額の計算:連結グループを一体として計算

 ・ 租税回避行為の防止等

 ・ 平成14年4月1日以後に開始し,かつ,平成15年3月31日以後に終了する事業年度から適用

 ・ 連結納税制度の創設に伴う財源措置

    連結納税制度の仕組みの中での措置(連結付

加税等),課税ベースの見直し,2年後の見直し

 2 中小企業関係税制

 1 同族会社の留保金課税の軽減等

 2 交際費等の損金不算入制度の定額控除限度額の引上げ

 3 取引相場のない株式等についての相続税の課税価額の減額措置

 3 金融・証券税制

 1 老人等の少額貯蓄非課税制度を障害者等を対象とする制度へ改組

 2 特定口座内の上場株式等の譲渡に係る所得計算および申告不要の特例の創設

 3 新株予約権制度の施行に伴うストック・オプション税制の拡充

 4 社会経済情勢の変化への対応

 1 山林についての相続税の課税価格の減額措置等

 2 沖縄の経済振興等に係る税制上の措置:

   金融業務特別地区(仮称)制度(所得控除と税額控除の選択適用)への創設等

 

日本監査役協会、理事会を開催

 日本監査役協会は、平成14年1月10日理事会を開催し、次のとおり審議を行ない承認された。

 1 決議事項 第29期における委員会活動について

 第29期における委員会として、従来からの監査役全国会議企画委員会、会計委員会およびケース・スタディ委員会のほかに、監査法規委員会を新たに設置すること,ならびに各委員会の委員長を次のとおりとすることが承認された。

 監査役全国会議企画委員会委員長

  宮川 東一郎(ベネッセコーポレーション)

 会計委員会委員長

  石田 治洋 (北陸製薬)

 ケース・スタディ委員会委員長

  松香 茂道 (日立製作所)

 監査法規委員会委員長

  友松 康夫 (サントリー)

 2 報告事項

 1 第1四半期の事業報告

 平成13年9月〜11月までの第1四半期における事業活動について報告がされた。

 2 商法改正について

 商法改正(太田立法)についての当協会としての取組状況および法制審議会における審議状況等について報告があり、今後の方策について意見が交換された。