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与党3党「平成14年度税制改正大綱」決定

 与党3党(自民党,公明党,保守党)の税制協議会は,

さる12月14日,「平成14年度税制改正大綱」を決定した。

 国税関係の主な改正の内容は,次のようになっている。

 1 連結納税制度の創設

 1 適用関係

   連結納税制度については,14年4月1日以降に開始し,15年3月31日以後に終了する事業年度から適用(14年4月に事業年度が開始する3月末決算からの適用。)

 2 連結納税制度の創設に伴う財源措置

   課税ベースの見直しや連結付加税等により,税収減への対応を図る。

   @ 連結納税制度の中での増収措置

   A 法人税の一般的な課税ベースの見直し

    ・退職給与引当金制度の廃止(4年間で段階的取崩し)

     ※中小企業,協同組合への配慮として,これらの法人については,10年間で段階的に取り崩す。

    ・受取配当の益金不算入制度の見直し 等

 B 連結付加税の導入(付加税率2%)

  ※2年間の措置として導入したことから,2年後において,改めて財源措置の見直しを行う。

 2 中小企業支援

 1 中小企業支援

  @ 同属会社の留保金課税については,特例の対象を拡大するとともに,課税留保金額に対する税額を5%軽減する。

  A 交際費課税における中小企業の定額控除額を引き上げる。

      └―u  資本金1,000 万円超から5,000 万円以下の中小企業の定額控除額300 万円〓0409〓2068400万円┌u―   

 2 事業承継への配慮

   一定の取引相場のない株式等について,小規模宅地等の特例等との選択制で,相続税の課税価格を10%減額する措置を創設する。

 3 都市再生・住宅関連

 ・登録免許税の軽減措置の創設等

   中古オフィスビルなどの不動産取引に対する登録免許税の軽減措置を創設する。

 (軽減税率 50/1,000〓25/1,000)

 4 金融・証券関連税制

 1 申告分離課税一本化に当たり,株式譲渡に係る所得計算及び申告不要可能の制度の創設

   平成15年1月からの申告分離課税への一本化に当たり,個人投資家の申告負担の軽減に配慮する観点から,特定口座にある上場株式等の譲渡について,所得計算の特例措置を講ずるとともに,納税者の選択による実額源泉徴収・申告不要可能の制度を創設。

 2 障害者等に対する少額貯蓄非課税制度への改組

   現行の老人等の少額貯蓄非課税制度の(老人等マル優)を障害者,母子,寡婦(以下「障害者等」という)を対象とする制度へ改組する。

  @ 障害者,母子,寡婦については,現行の少額貯蓄非課税制度を存続。

  A 高齢者については,平成15年1月から段階的に制度廃止

   ・平成14年末までに設定された非課税貯蓄(口座)については,設定枠内で,平成17年末まで利子非課税が継続

   ・平成18年1月からは,利子非課税の対象外となる(制度廃止)

 3 レポ取引の非課税制度の創設

   外国の金融機関が国内の金融機関との間で,日本国債,外国の国債・政府機関債などを用いて行うレポ取引の利子について,本人確認手続等所要の規定を整備した上で,非課税とする。

 5 その他

 1 租税特別措置の見直し

   経済社会の活性化につながる中立的な税制の構築を目指し,租税特別措置を整理合理化。

 2 匿名組合契約の分配利益に係る課税の見直し

   非居住者・外国法人の匿名組合に基づく利益の分配について,匿名組合員が10人未満の場合にも10人以上の場合と同様,源泉徴収の対象とする。

 

公益法人会計基準の論点整理、公表

 総務省(公益法人行政推進室)は、去る12月19日、「公益法人会計基準の見直しに関する論点の整理(中間報告)」を公表した。

 公益法人会計基準は、昭和60年改正の後、公益法人が計算書類等を作成するための基準として定着してきたが、近年の社会・経済環境の変化よる影響を受け、会計基準の新設・改訂が検討されてきた。同中間報告は、こうした状況を踏まえ、平成12年4月より、総理府(平成13年1月6日より総務省)管理室・公益法人会計基準検討会において検討されてきた事項をとりまとめたもので、骨子は以下のとおりとなっている。

 「公益法人会計基準の見直しに関する論点の整理(中間報告)」の骨子

 以下は、公益法人会計基準検討会によって取りまとめられた「公益法人会計基準の見直しに関する論点の整理(中間報告)」の骨子である。骨子では、「公益法

人会計基準」の見直しの方向性を示しているが、検討会

ではこれとは異なる意見が述べられている箇所もあり、

それらの意見については中間報告の本文を参照されたい。

 1 公益法人会計の目的は、理事者、寄付者、会員等の直接の利害関係者及び所管官庁のみならず、広く国民又は納税者の視点に立って、公益法人の財産、正味財産の増減及びキャッシュ・フローの状況を報告することにある。公益法人の財務諸表は、国民又は納税者にとって理解しやすいものである必要があり、特別の理由がない限り企業会計において作成される財務諸表と同様のものとする。

 2 公益法人が作成し、かつ、公開する財務諸表は、次の通りである。

  1 収支予算書

  2 収支計算書

  3 財務諸表

   @ 正味財産増減計算書(正味財産の増加原因と減少原因を総額で表示する様式による。)

   A 貸借対照表

   B キャッシュ・フロー計算書

  4 財産目録

 3 収支計算書は、公益法人の実施した事業活動を収入及び支出によって計数的に表現し、かつ、予算の執行状況を予算額と決算額を対照表示することにより報告する。収支計算書は、予算準拠主義に基づいて作成される計算書であり、公益法人状況を外部の利用者に報告することを主たる目的とする財務諸表とは役割を異にする面があるので、財務諸表とは別の位置づけとする。収支計算書は、事業活動収支の部、投資活動収支の部及び財務活動収支の部に区分する。

 4 正味財産増減計算書は、正味財産の増加原因と減少原因を総額で表示し、その差額として正味財産増減額を示すことによって、公益法人の一期間における正味財産の変動状況について報告する。正味財産増減計算書は、永久拘束正味財産増減の部、一時拘束正味財産増減の部及びその他の正味財産増減の部に区分し、さらに、その他の正味財産増減の部は、経常増減の部と経常外増減の部に区分する。この区分により、公益法人の事業活動の結果生じた、拘束のない正味財産の増減額を表示し、もって公益法人の事業活動の効率性に関する情報を提供する。

 5 貸借対照表は、決算日における公益法人の資産と負債及び正味財産によって、公益法人の財政状態を表示する。貸借対照表における正味財産の部は、永久拘束正味財産、一時拘束正味財産及びその他の正味財産に区分する。永久拘束正味財産は永久拘束する意図で寄付された財産の額をいい、一時拘束正味財産は有限の期間において一時的に拘束する意図で寄付された財産の額をいう。その他の正味財産は、永久拘束正味財産及び一時拘束正味財産を除く正味財産をいう。

 6 キャッシュ・フロー計算書は、現金及び現金同等物の収入及び支出を活動源泉別に表示することによって、公益法人の一期間におけるキャッシュ・フローの状況を報告する。キャッシュ・フロー計算書は、事業活動によるキャッシュ・フローの部、投資活動によるキャッシュ・フローの部及び財務活動によるキャッシュ・フローの部に区分する。事業活動によるキャッシュ・フローの表示方法としては、原則として直接法を採用する。

 7 公益法人が他の営利法人又は非営利法人を出資、人事、取引等の手段によって支配する場合、当該公益法人は、当該他の法人を連結対象法人として連結財務諸表を作成する。なお、連結財務諸表制度については、実務的な対応に相当の時間を要するので、段階的に導入することを検討する。

 8 減価償却、リース取引、退職給付、金融商品等に係る会計基準は、企業会計基準に準ずる。なお、これらの特定の問題に係る会計基準の適用に際しては、段階的に導入する等の配慮をする。

 9 公益法人の主要な支出先、関連当事者間取引等に関する情報は、財務諸表に注記する。

 10 小規模な公益法人については、キャッシュ・フロー計算書や連結財務諸表の作成を求めないこと、その他実務的な負担が大きい会計処理について簡便法を認めること等の特例措置を設ける。なお、このような特例措置を認める小規模な公益法人の範囲については、例えば、外部監査が要請されていない法人とすることが考えられる。

 また、同中間報告は今後の検討に資するため、平成

14年2月28日(木)まで意見募集されている(下記宛先)。

100 ‐8926 東京都千代田区霞が関2‐1‐2

  総務省大臣官房管理室公益法人行政推進室

〈メールアドレス〉

 kanbou-kanri@soumu.go.jp

※なお、メールの場合は、一太郎,ワード,テキストファイルでお送り下さい。

 

事業の結合――新出発法

 FASBは,1996年にAPB意見書第16号「事業の結合」および同第17号「無形資産」の規定を再検討する計画を議題として取り上げ,昨年6月に持分プーリング法(プーリング法)の適用を禁止したFASB基準書第141号「事業の結合」ならびに暖簾の定額償却に代えて減損会計を導入した同第142号「暖簾および他の無形資産」を公表した。プーリング法を禁止するにあたり,FASBは実質的な買収でない事業の結合は稀であり,それについてはプーリング法ではなく,すべての結合対象事業の資産負債を結合時の公正価額により認識して測定する,新出発(fresh start)法を適用することが合理的であると考えるが,その基準に関しては別の議題により検討するとしていた。新出発法の適用対象となり得る取引には,結合前事業のうちで過半数持分および支配権を取得したものが存在しない複数事業の結合および新会社設立の他に,ジョイントベンチャーの設立が考えられる。関連する問題には,新出発法により会計処理する事業の結合または他の取引による暖簾および他の無形資産の認識および測定を含む。なお,この議題には,前に新しい基礎(new basis)による会計とよんだものを含んでいる。

 この議題は,国際会計基準委員会(IASC)の再編成によるIASBの発足に伴い,IASBとの共同議題として取り扱う方向で計画が進んでいるが,その話が出る前に,FASBは,新出発法による認識が適切であるかどうかを決定するために使用する作業原則の作成を承認し,また,その範囲には,ジョイントベンチャーに純資産を移転させた実体の財務諸表に,移転による損益の問題を含めるべきだと決定している。

 また、ジョイントベンチャーの設立に関連する新出発法の適用に関しては,設立によりジョイントベンチャーに拠出された純資産はある実体による単独支配から他の実体との共同支配への変更となり,共同支配対象実体の財務諸表中の純資産については,新出発法による会計処理をもたらすべきだと決定した。FASBはさらに,ジョイントベンチャーに(未認識資産を含む)資産を移転した拠出者について,その財務諸表中に移転による利得を認識するかどうかについて討議し,(未認識資産を含む)資産と交換にジョイントベンチャーの持分権益を取得した実体は,交換した資産について利得を認識するべきだと決定した。

 新出発法に関する審議をその上さらに進める前に,FASB職員はIASB職員と緊密に作業して,共同議題の範囲および計画を開発し,FASBおよびIASBに提出する予定である。

 

11月理事会開催

 IASC理事会は11月27日から30日までロンドンで開催され、以下の議題が検討された。

・ 企業結合

 営業権の回収可能性にかかわるキャッシュフローテスト等について討議。

・ 金融活動

 プロジェクトのの枠組みを討議。

・ IFRSの初回適用

 フランスからの報告書に基づき討議、現SIC8に代わる基準を作成することで合意した。

・ 現存する基準の改訂

 IAS21(外国為替レート変動の影響)、同23(借入費用)、同33(1株当たり利益)の改訂につき討議。

・ 保険契約

 Insurance Steering Committee(IASC時代の組織)作成の草案に基づいて討議を続行。

解釈指針委員会(SIC)新委員決まる

 IASBの組織改正により国際財務報告基準解釈委員会(International Financial Reporting Interpretations Comittee、IFRIC)への改組が決まっている解釈指針委員会(Standing Interpretations Comittee 、SIC)の新しい委員が発表された。

 新委員は12名で、出身国は米国4、欧州4、アジア大洋州3、南米1となっている。日本からは秋山純一多摩大学教授が引き続いてメンバーとなった。

 改組に関連して、委員の他にIASBより投票権のない議長が任命されている。

 

東証、金融庁等と「投資コンファレンス」を開催

 金融庁、日本証券業協会と東証は、11月26日に「投資コンファレンス−魅力ある証券市場をめざして」を開催した。これは、今年8月8日に金融庁が発表した「証券市場の構造改革プログラム」を踏まえ、証券税制の改革や株式投資単位の引き下げなど、市場インフラの整備に向けての様々な取り組みを個人投資家等に分かりやすく説明し、理解を促すのが狙いであった。村田吉隆内閣府副大臣(金融担当)が「改革プログラムをすみやかに実行するとともに、証券税制についても抜本的見直しを更に進めたい」との挨拶があり、その後、金融庁、証券取引等監視委員会、日本証券業協会、東証から、証券会社の信頼性の向上、証券取引等監視委員会の活動状況、個人投資家層の拡大策などについて講演し、参加した約150名の個人投資家と講演者との意見交換も行われた。

東証、上場会社向け新広報誌「Exchange Square」を発刊

 東証は、11月20日、「取引所(Exchange)」と「上場会社のコミュニケーションの場(Square)」という位置づけで、新広報誌「Exchange Square」を今年1月より上場会社および取引参加者に向けて発刊すると発表した。

 これは、上場会社への投資単位の引下げの要請や、コーポレート・ガバナンスに関するいろいろな情報の提供、さらにはディスクロージャーの一層の充実に向けた様々な情報のやり取りなど、上場会社との多面的なつながりが深まる中で、ますます緊密な関係を構築していくことが重要であるという認識に基づくものである。

 東証には、日本を代表する会社が2,100社上場しているが、上場会社同士または上場会社と東証とのコミュニケーションの場としての誌面づくりを目指している。具体的には、東証からの一方的な要請や情報発信を行うというものではなく、企業経営に密接に関係するマーケットの話題を座談会やインタビュー等を通じて特集するなど、上場会社をはじめとする市場関係者の意見を幅広く紹介するものである。

 

大成火災,更生特例法申請

 古河グループ系の損害保険会社、大成火災が11月に更生特例法を申請した。経営破綻の直接的な原因は、9月に発生したアメリカでの同時多発テロにともなって、再保険金の支払い見込み額が744億円もの多額に達したためである。また、同様の再保険による損失は他の損害保険会社にも広がっている。

 大成火災は9月中間決算を公表する直前の11月22日、突然、更生特例法を申請した。損害保険会社の経営破綻は2000年5月の第一火災に次ぐ。

 日産火災、あいおい損保も、同時多発テロにともなう再保険金の支払いが大成火災と同額もしくはそれ以上に達する見込みであるが、経営規模が大きいために破綻を免れた。さらに、同時多発テロの直後に生じたニューヨークでの航空機墜落事故でも新たに再保険金の支払いが生じる見込みである。

 大成火災、安田火災、日産火災は損害保険ジャパンとして2002年4月に合併予定だったが、この破綻の影響を受けて合併計画が見直されることになろう。なお、破綻した大成火災の受け皿会社として安田火災と日産火災がほぼ決定している。

 生命保険契約と異なり、損害保険契約は保険事故の分散が難しく、一つの事故によって多額の保険金支払いが生じかねない。そこで保険会社は、引き受けた損害保険契約の一部の負担を別の保険会社に依頼することになる。これが再保険契約である。通常、損害保険では再保険、再々保険を締結することで全世界的に保険事故の分散を図っている。

 今回の再保険では、大成火災、日産火災、あいおい損保の3社が引き受けた再保険契約をさらに再々保険契約で分散するに際して、保険料を安くするため、ローンに近い契約ですましていたとされる。すなわち、再々保険契約に基づいていったん、保険金を受け取るものの、その保険金を分割払いで返済する形態である。オフバランスでの金融取引にも近似している。

 大成火災の経営破綻はリスク管理の甘さを浮き彫りにした。同時に、時価会計の欠陥を示したともいえる。契約内容を正確に把握し、その評価額をバランスシートに反映させ、開示することが早急に望まれよう。

 

法務省、平成13年商法改正に伴う「商法及び有限会社法の関係規定に基づく電磁的方法による情報提供等に関する承諾の手続等を定める政令案要綱」公表

 去る平成13年11月28日、「商法等の一部を改正する法律」(平成13年法律第128号)が公布されたが、ここでは1つの大きな柱として会社関係書類の電子化が認められることとなった。

 ここでは、商法及び有限会社法の関係規定に基づく電磁的方法による情報提供等に関する承諾の手続等の内容を政令に委任することとしていることを受けて、法務省は改正法の施行を前に、この内容を定める新たな政令を定める必要が生じたため、以下の政令案要綱を公表した。

●商法及び有限会社法の関係規定に基づく電磁的方法による情報の提供等に関する承諾の手続等を定める政令案要綱

 第一 電磁的方法による情報の提供等に関する承諾の手続等

  一 会社等は,書面の交付等に代えて電磁的方法により書面に記載すべき情報の提供等をしようとするときは,あらかじめ,当該株主等に対し,電磁的方法の種類及び内容を示し,書面又は電磁的方法による承諾を得るものとする。

  二 承諾を得た会社等は,当該株主等から書面又は電磁的方法により電磁的方法による提供等を受けない旨の申出があったときは,当該株主等に対し,書面に記載すべき情報の提供等を電磁的方法によってしてはならないものとする。

 第二 附則

    この政令は,平成14年4月1日から施行するものとする。