TOPICS 経産省、ブランド価値基準作成へ


 経済産業省は、ブランド価値を金額に換算するための評価基準を確立するため「ブランド価値評価研究会」(委員長:広瀬義州早稲田大学教授)を設置し、7月19日に第1回会合が開かれた。

 同研究会は一年かけて、ブランド価値の客観的かつ実用的な評価方法を提案することを目的とし、評価方法についてのニーズ調査、評価方法モデル作成、シミュレーションの実施などを行っていく。

 ブランド価値は以下の視点から、その基準の必要性が指摘されている。

 1 ブランド価値評価の重要性

・ 企業経営における無形資産(ブランド、のれん、知的財産権等)、とくにブランドが企業価値に与える影響は大きく、ヒト・モノ・カネ・情報に次ぐ第5の経営資源とも言われている。

・ ブランド価値の影響力にもかかわらず、その客観的評価方法が確立されていないため、ブランド使用の許諾、投資意思決定等の場面において、ブランド価値の客観的評価の必要性が高まっている。

 2 ブランド価値の客観的評価方法の必要性

 1 グループ経営

・ 持株会社の解禁(平成9年)、株式移転制度の導入(平成10年)、現在検討中の連結納税制度導入などにより、今後、グループ経営が増加すると考えれる。そこで、各子会社が、親会社のブランドを使用し、親会社がブランド使用料を子会社から徴収するケースが増えると見込まれている。

  例:NTT 1999年からグループ経営運営費の徴収を開始

   日立 2000年からブランド使用料の徴収を開始

・ ブランド価値の客観的評価方法が確立してい

ないことから、持株会社と各子会社の間で使用料をめぐって争いが生じることがある。とくに、100%子会社でない場合、持株会社に使用料を支払う額が過大であれば子会社の少数株主が害されることになる。そのため、使用料の適切な対価性が求められる。

 2 企業組織再編

・ M&Aは企業組織再編の有効なツールであるが、これを行うためには、企業価値を適切に評価する必要がある。企業組織再編を円滑にするための基盤として、客観的なブランド価値評価方法の確立が求められる。

 3 ブランド価値の貸借対照表への資産計上

・ 現行の会計制度では、ブランドが保有企業に経済的便益をもたらす資産であるにもかかわらず、資産として財務諸表に計上することができない。また、M&Aに際しても、被買収企業から取得したブランドをのれんから分離して、資産計上することはできない。

・ のれんは5年以内に償却することとされているため、現行ではのれんに含まれるブランド資産も償却されることになる。しかし、ブランド資産の価値は必ずしも減価するわけではないため、会計処理上も償却すべきものではなく、財務諸表が企業の適正な価値を表していないとの指摘がある。

・ 財務諸表が企業価値を適正に表し、企業間の比較可能性を高め、投資意思決定が的確に行われるためには、ブランド価値を客観的に評価し資産計上することについて検討する必要がある。

・ ブランド価値が適正価額で資産計上されれば、資本市場における適正な評価が進み、企業には、適正な企業価値に見合った資金調達を行うことができる等のメリットが生じると考えられる。