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自民党税調・政府税調,来年度の税制改正に向けて審議を開始

 自民党の税制調査会(武藤嘉文会長)は,去る11月17日に総会を開始し,例年より早く,来年度税制改正に向けて本格的に審議に入った。
 同日の総会では,宮澤大蔵大臣と西田自治大臣からの挨拶があった後,最近の経済動向・金融情勢,国と地方の財政状況・税収動向について,それぞれ経済企画庁,日本銀行,大蔵省,自治省からの説明を聴取し,論議が行われた。
 また,政府税制調査会(首相の諮問機関,会長:石弘光
一橋大学学長)も,去る11月21日,第5回総会を開催し,
来年度の税制改正に向けた本格的な検討作業に入った。
 同日の総会では,大蔵・自治両大臣が国会審議があっ
たことから,七条大蔵政務次官及び中谷自治総括政務次
官から挨拶があり,その後来年度答申に向けた審議を行
っていく際の前提となる,経済情勢,財政状況および税収
動向について,事務局からの説明を受け,質疑が行われた。
 さらに,来年度の税制改正における主要検討項目に
ついて,事務局から説明があり,自由な議論が行われた。


平成13年度税制改正における主要検討項目
 基本的考え方
  (経済情勢,財政状況,その他)
・ 法人関係税制
・ 金融・証券関連税制
・ 住宅・土地税制
・ 相続税・贈与税
・ 酒 税
・ 税理士法
・ 租税特別措置等の整理・合理化 等


日本公認会計士協会、「保険業における「責任準備金対応債権」に関する当面の会計上及び監査上の取扱い」を決定

 日本公認会計士協会は、去る11月14日に理事会を開催し、業種別監査会報告第21号「保険業における「責任準備金対応債券」に関する当面の会計上及び監査上の取扱い」を決定した。
 本報告は、平成12年10月3日付けで、金融審議会第二部会から「保険会社における金融商品の時価評価の導入について」が公表され、日本公認会計士協会に対し具体的な会計処理について、実務的なルールの策定要請があったのを受け、保険会社の財務の特性を踏まえた会計処理を適用する場合の当面お会計・監査上の取扱いを定めたもの。
 保険会社は、一般企業に見られない財務上の特性を有しており、保険会社に一般企業への適用を前提とした金融商品会計基準をそのまま適用した場合、負債側の責任準備金の時価評価が行なわれない一方、資産側の債権は時価評価されることとなる。このため、資産・負債のデュレーション・マッチングを図り資産負債の金融リスク変動を適切に管理している場合においても、資産と負債の評価方法が異なる結果、財務諸表上、資本の額が変動し、保険会社の真の財務状況が適切に反映されないこととなるおそれがある。
 そこで、保険会社が、基本準備金対応債権について、リ
スク管理を適切に行なっている等所定の用件を満たして
おり、償却原価法に基つく評価法及び会計処理を行なっ
た場合には、負債に時価評価が導入されるまで、当面、監
査上妥当なものとして取り扱うことができるとしている。
 なお、本報告は、平成12年12月1日以後終了する事業年度から適用される。

日銀、経済・物価の展望とリスク評価を公表
 10月末、日銀は「経済・物価の将来展望とリスク評価」(以下、レポート)を公表した。レポートは日銀の金融政策決定会合で決定されたものであり、経済と物価の1年間程度の展望と、政策委員がいだく経済成長率見通し、物価上昇率見通しを数値で示したものである。
 このレポートは注目を集めていた。日銀がそこでインフレターゲットを政策目標として設定するのではないかという観測も一部あったからである。これに対して日銀は、現時点でインフレターゲットを導入することに否定的であり、その代わりに政策委員の物価上昇率見通しを公表するにとどまった。
 このレポートに関して、11月8日に藤原日銀副総裁は講演を行い、物価の安定が政策目標として重要であることを認めつつも、望ましい物価上昇率を示すことに無理があり、金融政策の指針にならないことを縷縷説明した。そして大事なのは、数値よりも、将来のリスクの評価であり、それに基づいた政策判断だとした。
 実際、レポートでは物価や経済情勢について、物価の安定のもとで緩やかな経済の回復が続くとの、標準的なシナリオを示している。すなわち、設備投資が情
報・通信関連を中心に増加を続ける一方、個人消費の回
復は緩やかだと判断している。一方、物価上昇率につい
て、受給ギャップの緩やかな縮小の一方で、原油価格の
上昇と、技術進歩による趨勢的な価格低下があいまって、
ゼロ近傍ないし若干のマイナスの見通しを示している。
 以上の標準的なシナリオに対して、次のリスクも同時に指摘されている。世界的なIT関連財の需供が緩和する可能性、原油価格上昇によって一部の国でインフレリスクが表面化する可能性、世界景気やインフレの動きにともなって国際的な資本の流れが変化する可能性、国内金融機関の不良債権処理額が資産価格の下落等で拡大してリスクテイク能力が低下する可能性、国民の将来に対する不安感の台頭である。
 レポートに示された標準的なシナリオは、比較的強
めの見通しであると評価できよう。日銀が8月にゼロ金
利政策を解除した背景も、この強めの見通しにある。しか
し、標準的なシナリオに対するリスクが列挙されている
ことから、8月時点での日銀の比較的強気の見通しが少
し弱まっているのではないかと、市場は考え始めている。

東証、インサイダー取引の未然防止に関する小冊子を全上場会社に配布
 東証は、11月1日、最近の証券取引法の改正を踏まえたインサイダー取引の未然防止の指針となる「内部者取引の未然防止のための留意事項」という冊子(A4版36ページ)を全上場会社に配布した。
 冊子では、近年のインサイダー取引規制に関する証券取引法の改正により、内部者にあたる「会社関係者」に親会社や子会社の役員等が含まれたことや、上場会社等においては子会社の会社情報が「重要事実」に追加されたことなどを踏まえ、現行のインサイダー取引規制の概要を記載している。また、証券取引法上の内部者取引規制に係る条文ごとに施行令及び総理府令を一覧できる形で関係法令を掲載している。
 そして、東証における子会社情報に関する適時開示の
取扱いを示すとともに、企業集団全体で定期的な研修を
行なうなど、インサイダー取引規制の趣旨や内容の周知
徹底及び未然防止に向けた社内体制の整備を求めている。

東証、新興企業向け市場「マザーズ」の健全性確保に関する施策を発表
 東証は、11月8日、市場創設後1年を迎える新興企業向け市場「マザーズ」について、暴力団等の反社会的勢力による証券市場への介入を排除し、一層の健全性を確保するための4点からなる緊急対応策を発表した。
 具体的に、1点目は、「上場申請の受付における事前確認の実施」である。上場申請前に、引受証券会社に対して、反社会的勢力との関わりなど、申請会社の健全性に関する確認を行った上で上場申請を受け付けるというものである。
 2点目は、「上場審査における審査精度の向上」である。上場審査については、反社会的勢力との関係に関する調査対象を、上場準備段階で退任した役員等にも拡大するとともに、業界事情に詳しい者への業界状況に関するヒアリングなどを行い、申請会社の業界における評価・風評等の把握により一層努めるというものである。
 3点目は、「暴力団等の反社会的勢力と関わりのないことを記載した「確認書」の提出要請等」である。本年4月13日以降の新規上場会社からは提出を求めている「確認書」について、それ以前にマザーズに上場した会社7社に対しても提出を要請するとともに、警察当局にも協力を仰ぎ、マザーズ上場会社に対するサポート体制の充実を図るというものである。
 4点目は、「講習会の実施等」である。上場希望会社や監査法人・ベンチャーキャピタルなどの新規上場関係者に対して、反社会的勢力への対応について、警察当局・専門家を交えた講習会を開催するとともに、実務上の留意点をまとめたパンフレットを作成・配布するというものである。
 東証は、以上の施策について実施可能となったものから可及的速やかに実施するとしている。このうち、暴力団対策セミナーは12月12日に実施する予定である。

金融庁、PTSに関する指針を公表
 金融庁は、去る11月16日、「私設取引システム(PTS)開設等に係る指針」について、総理府令の改正案及び事務ガイドラインの改正案を決定した。
 最近、証券会社等による私設取引システム(PTS)の開設といった新しい形態の証券業が展開されている。
 このような電子取引市場開設の動きは、市場間競争を通じて有価証券市場全体の効率性を向上させ、同時に流動性の低い有価証券の流通市場を整備すること等により、投資者の利便性の向上にも寄与するものではあるが、新たな形態の証券業については、公正な取引の確保、投資者保護の観点から、従来の伝統的な証券業においては想定していなかったさまざまな問題が予想されるため、投資者保護等の観点も踏まえ、有価証券取引の電子化に資する環境整備を進めるために、私設取引システムの開設に係る一定の指針(ルール)の策定がなされることとなった。
 同指針は10月26日(木)から11月8日(水)にかけて意見の募集が行われ、これらの意見を検討の上、上記の基本的考え方の下、改正案は決定された。
 なお、本指針に基づくPTS業務の認可は、平成11年
12月1日の改正証券取引法施行と同時に開始されている。

日本公認会計士協会、委託審査要領を制定
 日本公認会計士協会は、去る11月14日の理事会において、「監査意見表明のための委託審査要領」(以下、要領)を制定した。
 本要領は監査事務所内に適当な監査機能を有することが困難な個人事務所等の監査事務所が、監査意見形成過程の妥当性の審査を、外部の公認会計士(「審査担当員」)に委託することを定めている。
 また、本要領による委託審査制度は、主に個人監査事務所における審査の一方法として協会が用意したものであり、全員に強制するものではなく、各監査事務所が、それぞれの状況に適した審査体制を自主的に作ることが望ましいとしている。
 本要領の運用にあたっては、@審査を行なおうとする者は、所属地域会に「審査担当員」(5年以上の監査事務経験が必要)として登録する、A審査を受けようとする者は、登録台帳から「審査担当員」を選定する、としている。
 なお、本要領は、平成13年3月期の証券取引法に基づく監査から適用することができる。

3基準を一部改訂、農業の会計は合意に至らず
 IASCは10月16日から20日まで東京で理事会を召集し、以下の基準の一部改訂を承認した。
 IAS12(法人所得税)
 当期純利益や内部留保から配当する際、国によっては配当部分について異なる法人税率を課すことや法人税を還付をすることがある。その場合、配当支払を確定した時点で税効果を認識しなければならないとした。
 IAS19(従業員給付)
 年金資産の定義を拡張し、次の2つを資産に含めることとした。
 ・ 長期従業員福利厚生基金が保有する資産。ただし、基金は報告企業から法的に独立しており、従業員給付のみの目的で存在していること。
 ・ 適格な保険証券。ただし発行者である保険会社は報告企業の関係会社でなく、保険金は従業員給付のみに使われること。
 あわせて、いずれの資産も給付のみに使用されること。当該企業が破産した場合でも企業の債務者への返済に充当されないこと。また企業には返還されないことも条件となる。
 この改訂はおおむね公開草案E67に基づくものであるが、草案に対し寄せられた意見を取り入れて保険証券を資産に追加している。
 IAS39(金融商品――認識と測定)
 同条の基本的原則には関わらない改訂を承認した。
 ・ 売買の計上を継続的適用を条件として取引日基準と決済日基準とのいずれかの選択を認めた(従来は決済日基準のみ)。
 ・ 貸し手が借り手から取りつけた担保の貸借対照表への記載を求めないこととした(従来は一部の担保についての記載を義務づけていた)。
 ・ 減損の認識につき、要件をより明確にした。
 ・ 同条とIAS27、28、31における一時所有の有価証券に関する規定について整合性を取った。
 ・ IAS32でのヘッジ会計に関する開示内容を見直した。
 この改訂内容は公開草案E66に基づいたものである。
 上記3つの基準およびIAS39に関連する4つの基準の改訂はいずれも2001年1月1日以降に開始する会計年度より適用となる。早期適用は推奨される。
 あわせて「金融商品の会計」についての公開草案を承認した。公開後、2001年9月末まで意見を求めることとなる。
 生物資産の時価評価をめぐって審議が続く「農業の会計」については今回も合意が得られず、承認は次回12月の理事会(ロンドン)に持ち越された。

負債、持分または双方の特徴を有する金融商品
 FASBは、去る10月に基準書公開草案「負債、持分または双方の特徴を有する金融商品の会計」と概念書第6号中の負債の定義を改訂する草案を同時に公表し、3月31日を期限として意見を求めている。
 草案は、負債の定義に株式の発行により決済することを要し、または容認する債務を含めて、従来その性格が不明瞭だった非支配持分(少数株主持分と同じ)を持分に、また株主が償還請求権を有する償還優先株式を負債に分類することを提案している。一方、負債と持分の双方の性格を持つ転換社債などの複合金融商品は、負債と持分の構成部分に区分して会計処理し、また表示するよう提案している。
 複合金融商品は、発行時の公正価額を基礎にして発行価格(発行費用控除後)を負債と持分に区分する。

 転換社債の転換または買入償却にあたっては、転換または買入時の公正価額(負債部分については残存期間を発行期間とするその時の割引率を使い、持分部分についてはオプション価格モデルを使って計算する)を基礎にしてその時の転換社債の時価を負債と持分に配分し、配分額と帳簿価額の差額は、それぞれ損益と資本剰余金に貸記または借記する。
 連結財務諸表中の非支配持分は、持分の定義を満たすため持分中に区分表示し、子会社株式の連結グループの外部への売却額と持分額、また子会社株式の連結グループの外部への発行額と持分異動額との差額は、その取引によって当該子会社が連結対象でなくならない限り、報告企業の資本取引と見なして損益計算に含めることはできなくなる。連結対象からはずれる場合には、損益を認識する。
 非支配持分を有する子会社の損益計算書と包括損益計算書の各項目には、支配持分と非支配持分に属する部分を含めて表示する。そのため、継続事業による利益、非継続事業、異常項目、会計原則の変更による累積影響額、純利益、ならびに包括利益の合計額および各項目については、支配持分と被支配持分に帰属する金額の開示を求められる。
 非支配持分を有する子会社を含む連結損益計算書に開示する基本的一株当たり利益は、支配持分に帰属する損益項目を分子として計算する。
 草案は、2002年6月15日後に開始する事業年度の期首から適用するよう提案している。早期適用は容認されるが、年度の期首から適用することを要する。表示する過年度財務諸表については、その間に対象となる金融商品があった範囲で、遡及して修正再表示する。
 表示期間に非支配持分のある子会社を有した連結財務諸表については、非支配持分関連の修正再表示を要する。それには、子会社株式の売却と発行による差額を損益取引から資本取引に修正する手続を含む。

日本監査役協会で、役員が一部交替
 日本監査役協会では、去る10月27日に定時会員総会を開催し、理事・監事の一部に辞任者があったことに伴う理事16名、監事3名の選任が行われた。これにより協会の役員体制は、会長以下副会長5名、常任理事8名、理事27名の計41名と監事3名になった。
 同時に、いままで常勤理事1名であったのを2名体制とし、専務理事と常勤顧問を置いた。新しく専務理事に就任した高橋弘幸氏は、前三井物産常勤監査役であり、直前までは協会の副会長職にあった。
 協会の会員数は、8月年度末現在で3,786 社、協会に登録している監査役は5,859 名で、役員名は次のとおりである。
日本監査役協会役員メンバー


役職名  氏  名  職     業

会 長    井上 輝一 トヨタ自動車鰹勤監査役
副会長   杉浦 英男  潟с}タネ常勤監査役
副会長    神田  茂   日本車輌製造鰹勤監査役
副会長    大西 昭敞  ソニー鰹勤監査役◎
副会長    笹尾 慶蔵  旭化成工業鰹勤監査役◎
副会長    大村  啓   東洋紡績鰹勤監査役◎
常任理事 飯田冨美子 滑ツ境管理センター常任監査役
常任理事 倉内 英孝 住友ベークライト滑ト査役
常任理事 塙  章次  東京電力鰹任監査役
常任理事 南  賢兒 関西電力鰹任監査役
常任理事 鬼武 孝夫 新日本製鐵滑ト査役
常任理事 友松 康夫 サントリー鰹勤監査役〇
常任理事 永井 秀哉 鰍ンずほホールディングス常勤監査役〇
常任理事 宮川東一郎 潟xネッセコーポレーション常勤監査役〇
理  事   笠原 牧雄 鞄d通常勤監査役
理  事   友枝 幹明 大成建設鰹任監査役
理  事   長岡 芳雄 潟_イエー監査役
理  事   原田 勝弘 東日本旅客鉄道鰹勤監査役
理  事   松本 重敏 札幌テレビ放送鰹勤監査役
理  事   松本 彰二 鰹ャ森コーポレーション常勤監査役
理  事   丸田 隆也 日石三菱鰹勤監査役
理  事   山本 幸雄 且O社電機製作所常勤監査役
理  事   横繁 隆壽 中国電力鰹任監査役
理  事   石附 鍬一 キヤノン鰹勤監査役
理  事   田村 節男 潟Cトーヨーカ堂常勤監査役
理  事   筑間 啓亘 近畿日本鉄道鰹任監査役
理  事   中條 邦宏 本田技研工業鰹勤監査役
理  事   林 健二郎  鞄月ナ監査役
理  事   植松 修三 三井物産鰹勤監査役〇
理  事   内田 陽介 ダイハツ工業鰹勤監査役〇
理  事   榎本 恵一 ジャスコ滑ト 査 役〇
理  事   大塩  宏 東京海上火災保険鰹勤監査役〇
理  事   大野 龍一 鞄結梹O菱銀行常勤監査役〇
理  事   岡本 克己 九州電力鰹任監査役〇
理  事   小川 明良 東京ガス鰹勤監査役〇
理  事   尾上 欽三 日本金銭機械鰹勤監査役〇
理  事   後藤 博信 野村證券鰹勤監査役〇
理  事   土山 淑郎 大阪ガス鰹勤監査役〇
理  事  中〓 啓祐 潟Gヌ・ティ・ティ・ドコモ常勤監査役〇
理  事  西 日出夫 蟹   N  A   X常勤監査役〇
理  事  松田  基 松下電器産業鰹任監査役〇
専務理事 高橋 弘幸 社日本監査役協会事務局長
理  事  鈴木 進一 社日本監査役協会常勤顧問
監  事  木村  宏 渇i谷園常勤監査役〇
監  事  森 伊津子 立川ブラインド工業滑ト 査 役〇
監  事  村田 正孝 シャープ鰹勤監査役〇

 (注) ◎=昇任,〇=新任

改正SPC 法の施行に伴う関連政令・府令公布
 金融庁は、去る平成12年11月17日、「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律」の施行に伴う関連政令・府令を公表した。また、施行期日は平成12年11月30日となった。
 なお、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律(平成12年法律第97号)の概要は、以下のとおりである。


資産の流動化に関する法律施行令案要綱
 資産の流動化に関する法律の施行に伴い、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律施行令の全部改正するこの政令を制定することとする。
 第1 総則
 1 題名の改正
  政令の題名を「資産の流動化に関する法律施行令」に改めることとする。
 2 定義
  特定資産、特定目的会社、特定社債等について、所要の定義規定を設けることとする。
 第2 特定目的会社制度
 1 業務開始提出書に記載すべき使用人、取締役の欠格事由
  業務開始提出書に記載すべき使用人として営業所の業務統括者等を定めるとともに、解散を命ぜられた特定目的会社において解散命令の前30日以内に営業所の業務統括者等であったものは、他の特定目的会社の取締役又は監査役となることができないこととする。
 2 資産流動化計画の計画期間
  資産流動化計画の計画期間の上限は、特定資産の区分に応じ、20年、25年又は50年とする。
 3 優先出資申込証等に記載する特定資産の価格を調査する者
  優先出資申込証及び特定社債申込証に記載する特定資産の価格を調査する者として、弁護士、公認会計士、弁理士等を定めることとする。
 4 会計監査人の監査を受けることを要しない特定社債の発行総額等
  会計監査人の監査を受けることを要しない特定社債の発行総額と特定目的借入れの総額との合計額は、200 億円に満たない額とする。
 5 使用人の制限
  取締役等の欠格事由に該当する者は、営業所の業務統括者等としてはならないこととする。
 6 著作権の信託に係る契約に付すべき条件
  小説等の著作物に係る著作権の信託については、著作権に関する仲介業務に関する法律による許可
を受けた者に再信託しなければならないこととする。
 7 その他 〈略〉
 第3 特定目的信託制度
 1 資産信託流動化計画の計画期間
  資産信託流動化計画の計画期間の上限は、特定資産の区分に応じ、20年、25年又は50年とする。
 2 著作権を特定資産とする特定目的信託契約に付すべき条件
  小説等の著作物に係る著作権の特定目的信託については、著作権に関する仲介業務に関する法律による許可を受けた者に再信託しなければならないこととする。
 3 社債的受益権を定める特定目的信託契約に付すべき条件
  社債的受益権を定める特定目的信託契約については、信託財産の管理又は処分により得られる利益から配当を行う時期及び配当を行う時期ごとの配当額を定めること等の条件を定めることとする。
 4 利益の特定資産組入れ
  利益を特定資産に組み入れる場合は、公租公課を控除した後でなければならないこととする。
 5 船舶登記規則等に係る特例
  特定目的信託に係る船舶登記規則等の適用に際しての特例を規定する。
 6 その他 〈略〉
 第4 その他
 1 施行期日、経過措置
  この政令は、特定目的会社による特定資産の流
動化に関する法律等の一部を改正する法律の施行の
日(平成12年11月30日)から施行することとすると
ともに、その他必要な経過措置を定めることとする。