TOPICS-1 東京証券取引所の最新動向 海外で米国会計基準を採用している上場会社へ開示要請 東証は,去る3月7日、開示情報の充実を図る観点から、国内ではわが国の会計基準で作成した決算資料を開示する一方、海外では米国会計基準に基づく決算資料を開示している上場会社に対して、平成13年3月期の決算発表から、国内基準に基づく決算資料に加え、米国会計基準に基づく決算資料を添付または別途開示するように要請した。 これは、米国会計基準に基づく決算資料と我が国の会計基準で開示している決算資料とでは一部に差異が生じざるを得ないことから、米国会計基準を採用した決算情報がわが国において開示されない場合、内外投資者の間で情報格差が生じるのではないかという指摘が多数寄せられてきたことを踏まえた対応である。 具体的には、少なくとも連結決算短信の1枚目のハイライト情報については、邦訳した科目で米国会計基準による開示も求めるとともに、米国会計基準での財務諸表及び主な注記事項に関する決算資料の添付を要請している。また、米国会計基準での決算発表が遅れる場合には通常の決算発表とは別に当該決算資料の追加開示を行なうことを求めている。さらに、決算発表以外に、四半期決算書類を米国当局にファイリングする場合には、決算資料に準じた開示を求めている。 株式会社化に向けた中間報告公表 東証は、去る3月15日、会員証券会社で構成する「組織形態のあり方に関する特別委員会(委員長=氏家純一・野村證券社長)」を開き、中間報告をまとめた。 本報告では国際的な市場間競争が激化するなかで、東証は日本の中核市場の役割を果たし世界的な主要市場になることが求められ、意思決定の迅速化、資金調達手段の多様化、国際的な資本提携などに対応するには株式会社化が望ましいとしている。 有価証券報告書の提出遅延等に対する処置を整備 東証は,去る3月19日、上場会社等において監査を行う監査人との契約が遅れたために有価証券報告書の提出が法定期限を大幅に過ぎた事例や、監査報告書が会社にとってきわめて不利な内容であったために故意に有価証券報告書の提出を遅延させて法定期限を超過する事例がみられたことを受け、その対応策として、適時開示規則および上場廃止基準等を改正して4月1日から施行した。 適時開示関係では、@上場会社の公認会計士・監査法人の異動があった場合には直ちに開示すること、A有価証券報告書又は半期報告書の提出遅延のおそれがある場合や遅延した場合などではただちに開示すること、B東証が上場廃止基準への該当性の判断に必要と認めた場合は公認会計士・監査法人に対して協力を求めることに上場会社は同意することを内容としている。 上場廃止関係では、@上場会社が、監査報告書または中間監査報告書を添付した有価証券報告書または半期報告書を法定期限経過後1か月以内に内閣総理大臣等に提出しなかった場合には、上場廃止とする、A法定期限の最終日から起算して8日目の日までに内閣総理大臣等に提出できない場合または提出できる見込みのない旨を発表した場合等には監理ポスト(上場廃止のおそれのある銘柄を割り当てるポスト)に割り当てることなどを内容としている。 証券知識啓発5団体プロジェクトを発足 東証は,去る2月に証券業界をあげて証券知識の一層の普及を図るため、日本証券業協会、東証正会員協会、投資信託協会、証券広報センターとともに、「証券知識啓発5団体プロジェクト」を発足させた。 同プロジェクトは、将来的には他業態や行政機関とも連携した総合的な金融教育の推進を図る予定であるが、当面は、学校向けの活動(中高校生向けに証券市場の機能・役割に関するビデオ制作配布、証券教育のための公式ホームページの立ち上げ、「株式学習ゲーム」のインターネット利用、中学・高校の先生を対象としたインターンシップ制度の導入)、地域のコミュニティ等への講師派遣、証券シンポジウム等のイベントの開催、基本的な投資知識の習得のための教材作成を予定している。 |